国内ETFばかり乖離乖離って騒いでるけど、実は海外ETFの方が乖離してるんじゃないの?という疑問
水瀬ケンイチ
読者のかたから、以下のご質問をいただきました。
「貴ブログでは毎月、国内ETFの乖離ばかり取り上げて騒いでいますが、貴殿オススメの海外ETFの乖離はどうなっているのでしょうか?まったく取り上げないところを見ると、実は国内ETFよりも海外ETFの方が乖離しているのではないですか?」
ご質問ありがとうございます。
乖離というのは、ETFの「市場価格と基準価額の乖離」のことだと思われるので、その前提で回答します。
国内ETFの方が海外ETFよりもずっと後発であり、期待に反して主要銘柄も乖離が酷かった(+5~6%もの乖離があった)ため、当ブログでは今まで国内ETFの乖離率の推移を追って来ました。
<関連記事>
2012/06/03 国内ETFの「基準価額と市場価格の乖離」(2012年5月末時点)、1680が健闘
当然のことながら海外ETFも、国内ETFと同様のスキームを持つETFなので、「市場価格と基準価額の乖離」は存在しています。
しかし、海外ETFの主要銘柄の乖離レベルは比較的小さく、乖離の仕方も自然です。
おおむね安心して投資できるレベルなのではないかと考えているため、特に乖離率の推移は追っていません。
以下のデータを見ていただければ、よく分かると思います。
主要銘柄ということで、私が投資している米国市場上場のスタンダードな3銘柄の、市場価格と基準価額の月平均乖離率です。
■ iShares S&P 500 Index (IVV)

IVVは、米国株式ETFです。
年初来の乖離率は平均 ▲0.05%と、0.1%以内の非常に小さな乖離レベルで、しかも若干のディスカウント状態です。(最高時 +0.03%、最安時 ▲0.08%)
まぁ、米国市場上場の米国株式ETFなので、乖離が小さいのは当然でしょう。
(日本市場上場の日本株式ETFの乖離も小さいので)
■ iShares MSCI EAFE Index (EFA)

EFAは、先進国株式(除く米国)ETFです。
年初来の乖離率は平均 +0.03%と、こちらも0.1%以内の非常に小さな乖離レベルです。(最高時 +0.40%、最安時 ▲0.65%)
米国から見たら外国資産に投資するETFということもあり、「百年に一度」と言われた2008年のリーマン・ショックあたりには、一時的に乖離が大きくなっています。
ただ、乖離方向は、データ取得期間全体を通じて、プラス側だけでなくゼロを挟んでプラス側にもマイナス側にも乖離しており、これが自然な形だと思います。
これに対して、国内ETFは、プラス圏に偏って乖離し続けています。
■ Vanguard MSCI Emerging Markets ETF (VWO)

VWOは、新興国株式ETFです。
年初来の乖離率は平均 +0.04%と、こちらも0.1%以内の非常に小さな乖離レベルです。(最高時 +0.24%、最安時 ▲0.20%)
過去には、乖離がやや大きかった時期もありますが、EFA同様、データ取得期間全体を通じて、乖離方向はゼロを挟んでプラス側にもマイナス側にもわたり、やはり自然な形に見えます。
以上のとおり、海外ETFにも「市場価格と基準価額の乖離」は存在するものの、比較的乖離幅が小さく、乖離方向も自然です。
これは米国市場では、多様な市場参加者がETFを活発に売買していることや、マーケットメーカーがきちんとワークしていることが要因だと思われます。
海外ETFについては、特にブログで乖離率の推移は追っていませんが、もし気になるようであれば、以前ご紹介した海外ETFのiNAVを調べる方法で、お目当ての海外ETFの乖離率を調べてみるとよいでしょう。
ここからは参考ですが、国内ETFも、最近は乖離幅が縮小傾向にあるように見えます。
以下のグラフは、上記関連記事から引用した、主要国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離率」です。

年初来の平均乖離率が、1680が +0.20%、1681が +0.79%、1550が +0.14%です。
相変わらずプラス方向だけに乖離しているのは気になりますが、乖離率が+5~6%もあった状況からは改善しつつあると思われます。
上記海外ETF3銘柄(IVV、EFA、VWO)のように、年初来の平均乖離率が0.1%以内とは言わないまでも、せめて継続的に1%以内に収まってくれれば、ある程度安心して投資できるのではないでしょうか。
それが、国内ETFの乖離に対する個人的な許容レベル感です。
ご覧のとおり、いいところまで来ています。
国内ETFには、この調子で乖離が小さい状況をキープすることを期待したいと思います。
「貴ブログでは毎月、国内ETFの乖離ばかり取り上げて騒いでいますが、貴殿オススメの海外ETFの乖離はどうなっているのでしょうか?まったく取り上げないところを見ると、実は国内ETFよりも海外ETFの方が乖離しているのではないですか?」
ご質問ありがとうございます。
乖離というのは、ETFの「市場価格と基準価額の乖離」のことだと思われるので、その前提で回答します。
国内ETFの方が海外ETFよりもずっと後発であり、期待に反して主要銘柄も乖離が酷かった(+5~6%もの乖離があった)ため、当ブログでは今まで国内ETFの乖離率の推移を追って来ました。
<関連記事>
2012/06/03 国内ETFの「基準価額と市場価格の乖離」(2012年5月末時点)、1680が健闘
当然のことながら海外ETFも、国内ETFと同様のスキームを持つETFなので、「市場価格と基準価額の乖離」は存在しています。
しかし、海外ETFの主要銘柄の乖離レベルは比較的小さく、乖離の仕方も自然です。
おおむね安心して投資できるレベルなのではないかと考えているため、特に乖離率の推移は追っていません。
以下のデータを見ていただければ、よく分かると思います。
主要銘柄ということで、私が投資している米国市場上場のスタンダードな3銘柄の、市場価格と基準価額の月平均乖離率です。
■ iShares S&P 500 Index (IVV)

IVVは、米国株式ETFです。
年初来の乖離率は平均 ▲0.05%と、0.1%以内の非常に小さな乖離レベルで、しかも若干のディスカウント状態です。(最高時 +0.03%、最安時 ▲0.08%)
まぁ、米国市場上場の米国株式ETFなので、乖離が小さいのは当然でしょう。
(日本市場上場の日本株式ETFの乖離も小さいので)
■ iShares MSCI EAFE Index (EFA)

EFAは、先進国株式(除く米国)ETFです。
年初来の乖離率は平均 +0.03%と、こちらも0.1%以内の非常に小さな乖離レベルです。(最高時 +0.40%、最安時 ▲0.65%)
米国から見たら外国資産に投資するETFということもあり、「百年に一度」と言われた2008年のリーマン・ショックあたりには、一時的に乖離が大きくなっています。
ただ、乖離方向は、データ取得期間全体を通じて、プラス側だけでなくゼロを挟んでプラス側にもマイナス側にも乖離しており、これが自然な形だと思います。
これに対して、国内ETFは、プラス圏に偏って乖離し続けています。
■ Vanguard MSCI Emerging Markets ETF (VWO)

VWOは、新興国株式ETFです。
年初来の乖離率は平均 +0.04%と、こちらも0.1%以内の非常に小さな乖離レベルです。(最高時 +0.24%、最安時 ▲0.20%)
過去には、乖離がやや大きかった時期もありますが、EFA同様、データ取得期間全体を通じて、乖離方向はゼロを挟んでプラス側にもマイナス側にもわたり、やはり自然な形に見えます。
以上のとおり、海外ETFにも「市場価格と基準価額の乖離」は存在するものの、比較的乖離幅が小さく、乖離方向も自然です。
これは米国市場では、多様な市場参加者がETFを活発に売買していることや、マーケットメーカーがきちんとワークしていることが要因だと思われます。
海外ETFについては、特にブログで乖離率の推移は追っていませんが、もし気になるようであれば、以前ご紹介した海外ETFのiNAVを調べる方法で、お目当ての海外ETFの乖離率を調べてみるとよいでしょう。
ここからは参考ですが、国内ETFも、最近は乖離幅が縮小傾向にあるように見えます。
以下のグラフは、上記関連記事から引用した、主要国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離率」です。

年初来の平均乖離率が、1680が +0.20%、1681が +0.79%、1550が +0.14%です。
相変わらずプラス方向だけに乖離しているのは気になりますが、乖離率が+5~6%もあった状況からは改善しつつあると思われます。
上記海外ETF3銘柄(IVV、EFA、VWO)のように、年初来の平均乖離率が0.1%以内とは言わないまでも、せめて継続的に1%以内に収まってくれれば、ある程度安心して投資できるのではないでしょうか。
それが、国内ETFの乖離に対する個人的な許容レベル感です。
ご覧のとおり、いいところまで来ています。
国内ETFには、この調子で乖離が小さい状況をキープすることを期待したいと思います。
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