【お詫び】「今年中にクロス取引やっておくべき」は誤りでした。正しくは「今年中にクロス取引してはダメ」

前回、「日本版ISAより重要!?運用資産がそれなりに大きいかたが今年中にやっておくべきこと」というタイトルで、優遇税率が終了する前の今年中に、「クロス取引」を検討すべきだという記事を書きました。

結論から書くと、私が間違っていました。正しくは、「ほとんどのかたはクロス取引してはダメ」でした。

気づいた後すぐに記事を取り下げ、ツイッターやFacebook等各種SNSへのブログ更新情報も削除しましたが、ツイッター等で一部拡散しかかっていたようです。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。これから、何が間違っていたのか、本当はどうすればよいのかについて書きます。

まず、現在10%の軽減税率が、2014年1月からは20%に戻るのは事実です。放っておくと税負担が増えてしまうのだから、節税できることはないかと考えるのは間違いではありません。

そこで、課税が10%のうちに保有している株式・投信をいったん利益確定(売却)して、すぐに同じものを買い直すという「クロス取引」が有効ではないかと考えました。

現在含み益がある場合、利益確定して今年中に課税されておけば、今まで利益に対する税率は10%で済みます。かつ、同じ資産を買い直すことで取得価格が現在値に置き換わり、将来、税率が20%に上がった後の課税対象額を減らし、税負担の軽減を図るという考え方です。
将来の投資対象の値動きは同じでも、クロス取引をすることにより、払う税金の合計は減るという節税ワザです。

ここまでの考え方としては、それほど間違ってはいないと思います。実際にシミュレーションしてみた結果、たしかに払う税金の合計は、クロス取引した方が小さくなり「節税」になります。

しかし、節税効果を重視するあまり、利益確定による課税で投資元本が減ってしまうことを軽視していました。シミュレーションの結果、利益確定による課税で投資元本が減ってしまうと、その後の将来、投資対象が何倍に上昇しても(逆に何分の一に下落しても)、ほとんどの場合税引き後の最終利益は、クロス取引しなかった場合より小さくなってしまいました。

クロス取引後の値動きの違いによる最終利益への影響

節税効果があるにもかかわらず、利益確定による課税で投資元本減少の影響を、ほとんどの場合その後投資対象がどれだけ上昇しても、取り返せないという結果です。にわかには信じられませんが、シミュレーションの結果、これは紛れもない事実でした。ただし、クロス取引が常に損であるということではないので、応用を考える時にはご注意ください。

というわけで、検証の結果、私が間違っていました。正しくは、「ほとんどのかたはクロス取引してはダメ」でした。無用な混乱を与えてしまい、申し訳ありませんでした。


<追記> 2013/05/13 22:40
計算間違いがあり、図表を差し替えました。将来大きく値上がりするとクロス取引が逆効果なのは変わりませんが、値上がり率が比較的小さい場合は、クロス取引効果が認められるパターンが出てきました。将来目指すリターンは人それぞれだと思いますので、ご自身で計算してみてください。


<追記> 2013/05/14 22:15
複数の読者さまから、「将来2.25倍まではクロス取引が有効で、それ以上上昇すると逆効果」との意見をいただき、損益分岐点が明らかになりました。説明がいちばん分かりやすかった hisshi~ さんのコメントを掲載します(掲載許諾済み)。ご参考まで。

<クロス取引による節税効果の分岐点について>

文字の定義 :
投資元本をa、現在の資産評価額を投資元本のx倍、将来さらに現在からy倍になるとする。
例えば、投資元本を100とし、現在の資産評価額が200、将来の資産評価額が300になるとすると、a=100、x=2、y=1.5となる。

前提 :
クロス取引は税率が10%の時に行い、将来の売却は税率が20%に上がった時に行うものとする。
追加投資は行わず、投資元本は定額であるものとする。
現在の資産評価額が元本割れの場合、クロス取引による節税にはならないためx>1とする。
将来の売却時に資産評価額が元本割れの場合も、節税にはならないためx*y>1とする。

クロス取引を行う場合 :
クロス取引後の資産をbとすると b={a*(x-1)*0.9+a} ・・・式1
将来の売却後税引き残高は b*(y-1)*0.8+b・・・式2

クロス取引を行わない場合 :
将来の売却後税引き残高は a*(x*y-1)*0.8+a・・・式3

クロス取引により節税効果が認められるのは式2>式3となる場合であり、式2-式3>0のときである。
式2-式3>0にそれぞれの式をあてはめ、bに式1を代入し、全体を整理すると
-0.08*x*y + 0.08*y + 0.18*x - 0.18 > 0 となる。
両辺を-100倍し、左辺を因数分解すると、
(8y-18) * (x-1) < 0・・・式4
ここで、前提よりx>1であるから、(x-1)は正となり、式4を満たすのは(8y-18)が負のときである。

8y-18<0 より、y<2.25 ・・・式5

したがって、クロス取引によって節税効果が認められるのは、クロス取引後からの資産評価額が2.25倍以下の時に売却を行った場合である。

ここで、aやxが式5に含まれないことから、投資元本の額や、税率が上がる前までの資産の値上がり率は関係ないことが分かる。

以上
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