日本の投資信託環境は先進国どころか中国・韓国・インド以下

水瀬ケンイチ

米国モーニングスターが、北米、欧州、アジア、アフリカの24か国で投資信託の投資家が置かれた環境を分析したレポートを発表しました。

Morningstar Newsroom
2013/05/15 Morningstar Announces Findings from Third Global Fund Investor Experience Report

金融先進国である米国が1位であることには何の驚きもないのですが、問題は我が国、日本です。日本はABCDのうちC評価。これは24か国中、下から4番目で、米国やドイツのような先進国どころか、中国・韓国・インドのような新興国よりも下に位置しています。



米国モーニングスターのソース情報によると、24か国の投資信託市場がどれだけ投資家にとって望ましいかについて、「制度と税金」「情報公開」「手数料」「販売とメディア」の4項目で評価したもののようです。日本の総評は、「前回よりダウンして平均以下」という厳しい評価です。

United States: A
Korea: B+
Netherlands: B
Singapore: B
Taiwan: B
Thailand: B
China: B-
Denmark: B-
Germany: B-
India: B-
Norway: B-
Spain: B-
Sweden: B-
Switzerland: B-
United Kingdom: B-
Australia: C+
Belgium: C+
Canada: C+
France: C+
Italy: C+
Japan: C
Hong Kong: C-
New Zealand: C-
South Africa: D

それぞれの項目における日本の評価を確認すると以下のとおりでした。(カッコ内は前回対比)

■ Regulation & Taxation (制度と税金): B (↑)
日本は良さと悪さが混在している状態で、わずかに平均以上である。海外ファンドの容易に投資できる一方、税制は付加価値税(消費税のことかしらん?)のような政策のせいで平均以下である。

■ Disclosure (情報公開): C+ (=)
日本は良い慣行と悪い慣行が混在している状態である。簡素化された目論見書は、パフォーマンスやファンド固有のリスク説明のような、投資家にとって重要ないくつかの要素が欠落している。一方、目論見書を毎年更新していること等に関してはベストな慣行である。

■ Fees & Expenses (手数料): D+ (↓)
日本は手数料が最も高い国のひとつである。また販売手数料交渉ができるのが機関投資家のみであるという事実が日本を平均以下に押し下げている。成功報酬手数料だけあって失敗による手数料減額の仕組みがないのも、この項目の評価を落としている。

■ Sales & Media (販売とメディア):B- (↓)
平均レベル。80%以上のファンドが公募投信であり投資家はいろいろな投信を選べる。しかしながら、投資アドバイザーが特定のファンドを販売することで過度の報酬を受け取ることが許されているので、おすすめ投信でアドバイザーと投資家に利益相反が起きている。そして、日本のメディアは、投信のコストと長期投資については時々しか取り上げない。

(上記は水瀬の意訳なので正確ではないことをご承知おきください)

米国から見ると、日本の投資信託事情がよく見えるようです。

日本の投信業界からは、たびたび「日本の投信コストは高くない」とか「ディスクローズは十分やっている」というような意見が出ますが、国際的に見ると「平均以下」であるという事実を、日本の投信業界はしっかり受け止めるべきではないでしょうか。

海外には成功報酬だけでなく、失敗による手数料減額という実にいかした制度があること自体初めて知りましたし、(銀行・証券会社のセールスを含めた)投資アドバイザーのおすすめと投資家の利益相反の指摘も鋭いですね。

メディアについても、米国モーニングスターの指摘はもっともだと感じます。日本の新聞やマネー誌では、コストや長期投資の重要性について、まったく取り上げられないわけはありませんが、頻度はごくたまーにです。(もっとも、これはてっとり早く儲かるものや流行ネタばかり求める投資家側の問題でもありますが)

米国モーニングスターのこのレポートを、日本の投信業界関係者は刮目すべきでしょう。また、私たち個人投資家も、年々上がる信託報酬(該当記事)や年々短くなる平均投信保有期間(該当記事)は、日本国内のガラパゴス現象であり、国際的に見たら「異常」であるかもしれないことを知っておくとよいと思います。

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Posted by水瀬ケンイチ