日銀保有ETFの含み益5,501億円はどのようにして生み出されたか

水瀬ケンイチ

日本銀行

日銀が平成24年度決算を発表しました。その中で、日銀保有ETFの含み益が、なんと5,501億円にのぼることがわかりました。

日本銀行 会計・決算
2013/05/29 第128回事業年度(平成24年度)決算等について

昨年の決算では847億円だった含み益が5,501億円と、1年で一気に含み益が拡大した形になります。1兆5,726億円の買値に対して5,501億円の利益というのはなかなかの運用実績です。

これは日銀の資産運用能力が高いということでしょうか?
いいえ、そうではありません。なぜなら……


日銀のETF買い入れの目的はお金儲けではなく、金融緩和の一環としての市場への資金供給だったからです。

日銀は、市場の強い要望に押される形で、2010年に「資産買入等の基金」を創設、以来、株式市場が下落するたびに断続的にETFやREIT等を買い入れてきました。市場参加者から、「誰も投資したがらないからお前買い支えろよ」と迫られて、日銀はETFを採算度外視で渋々買っていたようなものです。

日本の株式市場が1%以上下がると買いを入れるという「1%ルール」がまことしやかに囁かれていました。現在でも市場が大きく(1%以上?)下落すると日銀はETFを買い入れており、そのルールは生きているようにも見えます。もしそうならば、市場が下落した時に、「機械的」に買いを入れてきたということになります。

そうやって、下げ相場で「機械的」に買いを入れてきた結果、たった3年程度で5,000億円以上の巨額の利益を得ることになってしまたのです。

もちろん、相場がうまいぐあいに急回復したからこのような形になったという面はあります。今後相場が急落してまた含み損に戻ることもありえます。

それでも、低迷相場で安く仕込んでおくことの大切さがわかるひとつの実例であることは間違いありません。これは、コツコツ投資家が下げ相場でも積み立てを継続するうえで、役に立つ逸話のひとつになると思います。

将来、損失を抱え積み立てを続けるのが辛くなった時、保有資産を売り払いたくなった時、この逸話を思い出してみてはいかがでしょうか。


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Posted by水瀬ケンイチ