GPIFがスマートベータ指数やJ-REIT採用と話題になっていますが
水瀬ケンイチ

公的年金を運用するGPIFが、国内株式運用に、JPX日経400などスマートベータ指数を採用したとのことです。
GPIF:国内株運用に日経400、スマートベータ採用-J-REITも
4月7日(ブルームバーグ):世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は国内株式での資産運用で、新株価指数の採用や「スマートベータ型」アクティブ運用、J-REIT(不動産投資信託)投資などに踏み切った。7年ぶりに委託先を見直し、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントなどを採用した。
(ロイター 2014/04/07より)
かねてより、これには賛否両論あるようですが、個人的には、状況はあまり変わらないのではないかと予想しています。なぜなら……
今回は、日本株式クラスの資産配分(アセットアロケーション)は変わらないからです。
JPX日経400などのスマートベータ指数に賛否両論があり、また、J-REIT投資にも踏み切ると報道されていることから、一部で話題になっていますが、それらはしょせん日本株式クラスの「中身」の話でしょう。
アセットアロケーションの重要性の解説でよく引き合いに出される、「投資成果の8~9割はアセットアロケーションで説明できる」という研究成果に照らして考えれば、日本株式クラスの中身がインデックスだろうが、アクティブだろうが(実際、両方混ざっています)、スマートベータであろうが、ポートフォリオ全体の投資成果に与える影響はそう大きくないであろうという考えです。(正確には、「時系列変動の8~9割はアセットアロケーションで説明できる」ですが)
「でも、ロイターにはJ-REITに踏み切ると書いてあるので、アセットアロケーションの変更では?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
これは、J-REITクラスという新たなアセットクラスが登場するということではなく、JPX日経400にREITが一部含まれることになるというだけかと。JPX日経400に含まれるJ-REITの比率を調べてみると、1%にも満たないことがわかります(2014年3月31日時点)。日本株式クラスについてくる「オマケ」みたいなものだと思います。
そもそも、MSCIコクサイ指数やS&P500などの外国株式インデックスにもREITは含まれているのですが、なぜそこはスルーして、日本株式インデックスにREITが含まれることを大きく取り上げるのかがよくわかりません。
個人のインデックス投資を行なう中で、GPIFの運用は大いに参考にしているところですが、今回のGPIFの方針発表は静観しております。
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