経験論をブチあげる時は「構造的な盲点」に気をつけろ (その2)

前回の記事「経験論をブチあげる時は「構造的な盲点」に気をつけろ (その1)」では、実社会で見られる「構造的な盲点」に気づかない人たちと、気づかない理由について取り上げました。

今回は、投資の世界にあてはめて見てみたいと思います。


FX会社「当社のお客さまはこんなに儲かっています!」

たとえば、証券会社やFX会社が、顧客の平均リターンを表示して「当社のお客さまはこんなに儲かっています!」と宣伝することがあります。

Klug PRESSに、『「顧客の七割が儲かるFX会社」の真実に迫る』という記事が出ています。某FX会社が、顧客の約7割が儲かっているという驚異的なFX業者として、下記グラフとともに紹介されています。

fig02.gif
Klug PRESS 2012/09/19 業界ニュースより引用)

このデータが本当だとすると、つい自分も約7割の確率で儲けられるような気がしてしまいます。しかし、ここに盲点があります。「生き残りバイアス」です。

この手の実績データは、相場で生き残った顧客だけのデータになっています。早々に損を出してFXをやめてしまった多くの人たちのデータが、スッポリ抜け落ちてしまう構造にあります。

同じようなことが、ヘッジファンドのセールスでも多く見られます。絶対収益を目指すという勇ましい文言とともに、過去の素晴らしい平均リターンが提示されます。しかし、そこには運用に失敗して潰れたヘッジファンドのデータが入っていません。

業者が嘘を言っているわけではないのでしょうが、私たち投資家からはそこが見えず、まさに盲点になっています。


投資家「私は相場状況にかかわらず、合理的な判断ができる」

行動経済学の「プロスペクト理論」によると、人間は、同じ金額でも自分の買値の上と下では、感じ方が違うことがわかっています。

①損失回避的傾向:一般的に、人々の利益と損失に対する態度を比較すると、同程度の利益よりも、損失の方を相対的に大きく評価しがちである。

②鏡映効果:意思決定者は、利益が出ている局面ではリスク回避的になる(現状の利益で満足する)一方、損失が出ているときは、リスク許容度が拡大し、リスク愛好的に行動する(リスクをとってでも事態の改善を待つ)傾向がある。

プロスペクト理論
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「行動経済学入門 今日と明日とで変わる心損失回避、プロスペクト理論、価値観数」より)



これは、血液型のように「こういうタイプの人もいる」という類型の話ではなく、あなたにも私にも存在する「人類共通の傾向」です。

買値にこだわりちょっとした損失でも過度に嫌がる一方、損失が大きくなると、逆に過度なリスクを取ってしまう。一発逆転に賭けて、「もうどうにでもな~れ!」というやつです。

これを読んで、「ああ~…あるある!」と苦笑いする初心者はまだマシです。より問題なのは、「私は相場状況にかかわらず、合理的な判断ができる」と思ってしまうベテランかもしれません。

ギャンブル依存症患者が「自分はいつでもやめられる」と本気で信じているのと同じように、本人に自覚がなく、まさに盲点になっているからです。


自分が自覚していないことを自覚する

投資の世界には、ここで取り上げたこと以外にも様々な盲点があります。統計学や行動経済学が、そのあたりをよく分析して明らかにしてくれていますので注目に値します。

私たち個人投資家は、「自分が自覚していないことを自覚する」必要があると思います。初代ドイツ帝国宰相ビスマルクは、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言いましたが、投資においては、特にそうであるとつくづく思います。

投資判断は、経験や直感に頼り過ぎず、自分に向けて健全な懐疑心を抱きながら、できる限り合理的に判断すること。自分でもできているか分かりませんし、なかなか難しいものですが、とても大切なことだと思います。

「私の経験によれば」には要注意です。

(おわり)


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