「NISA口座でなくても、分配金を出さなければファンド内は非課税で再投資される」ことに気づいてほしい
水瀬ケンイチ

日本の個人投資家に根強い人気を誇っていた毎月分配型ファンドの売れ行きが鈍ってきたそうです。
モーニングスター アナリストの視点(ファンド)
2014/05/13 毎月分配型から低分配型にシフト、「NISA」機に資産配分見直しを
上記記事によると、純資金流出入額で毎月分配「以外」のファンドが、毎月分配型ファンドを3カ月連続で上回っています。これは、2011年10~12月以来2年以上ぶりとのこと。
モーニングスターは、「要因はやはりNISAだろう。分配金の再投資分も非課税枠を消費してしまうというNISAの制度上の問題によって、分配頻度の低いファンドに注目が集まった」と分析しています。
たしかに、NISAの制度上の問題のせいという面はあると、私も思います。一方で、これはNISAの功績でもあると思います。なぜなら、資産形成層にとって、毎月分配型投信は非合理的だと気づくキッカケになると思うからです。
世の中には、「分配金等こそが利益である」という間違った直感にもとづいて投資している方々が少なくありません。私のブログにも、「無分配のファンドでは、どうやって利益を得られるのか分かりません」というような質問がよく来ます。それも、高齢者ではなく、若者からです。
言うまでもなく、投資のリターン=キャピタルゲイン(価格変動によって得られる収益)+インカムゲイン(配当・分配金等の収益)です。毎月分配型投信のインカムゲインだけを見て投信を選ぶのは、あまりよい言葉ではありませんがまさに片手落ちです。
毎月分配型投信に、資産の自動取り崩し機能を求めるニーズが、特に高齢者層を中心にあることは事実です。ただ、そういう方々は、NISA口座でも頑なに毎月分配型投信を選ぶはずです。資産取り崩しが第一目的だからです。
逆に、NISA導入以降、毎月分配型投信を選ばなくなった方々は、毎月分配型投信に自動取り崩し機能を求めていなかった層であると言えると思います。彼らは、資産取り崩し世代ではなく、若い資産形成世代ではないかと推測します。
NISA口座のメリットを最大限に活かそうという知恵がある彼らなら、「NISA口座でなくても、分配金を出さなければファンド内は非課税で再投資される」ことにも、いずれ気づいてくれると信じています。
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