東京証券取引所「ETF・ETN市場に関する意見交換会」で指定参加者やマーケットメイカーさんのホンネに迫る

東京証券取引所

東京証券取引所の「ETF・ETN市場に関する意見交換会」に、要請をいただき参加してきました。

<主催>
・東京証券取引所 マーケット営業部

<参加者>
・ブロガー 7名
・日興アセットマネジメント 商品企画部 ETFセンター長 今井幸英氏
・野村證券 グローバル・マーケッツ本部 ETFマーケティング・グループ長 塩田誠氏
・三菱UFJ投信 営業企画推進部企画グループマネージャー 佐々木康平氏

東京証券取引所の方々に加え、ブロガー7名はほぼ相互リンクブロガーさんたち、野村證券が指定参加者の立場、日興アセットと三菱UFJ投信が運用会社の立場での参加でした。

事前に集められていた質問に、取引所・指定参加者・運用会社が回答するという形式で意見交換会は進められました。途中でツッコミや逆質問なども入り乱れて、大いに盛り上がった意見交換会となりました。

以下に、要点をまとめたいと思います。

FTSE Global All Cap Index連動ETFを組成することは可能か?

→技術的には可能。ただ、運用において海外資産でも日本時間で最新の価格を使う等のルール上のハードルがあるので、工夫が必要。

株式と債券も含んだバランス型のETFはできないのか?

→東証にETFとして上場するには、連動する指数が必要。また、運用会社の株式部門と債券部門は分かれていて、スプレッドの大きさが違い、お互いの運用に違和感を感じる面もあり難しい。

日本債券ETFは無理か?

→日本国債は値動きが小さい。取引所での呼値が1円単位だと荒すぎて厳しい。

(上記質問に関連して)日本債券ETNならできるのでは?

→たしかに、ETFよりは作りやすい。1日の売買高が多ければビジネスになる。ただ、現状は機関投資家は生債券を売買しており、クレジット・リスクを伴うETNは嫌うと思われる。

→個人投資家の勝手な願いとしては、期待リターンが低い日本債券クラスこそ、投資信託ではなく(コストが低い)ETFを望んでいる。ハードルはあろうが、少しずつ乗り越えて、商品化してほしい。(水瀬注:私のコメント)

フリーETFとして、日本株式と先進国株式を保有しているが、新興国株式全体に投資できるETFがほしい。
(水瀬注:個人的には販売会社であるカブドットコム証券に要望すべき内容という気がしますが……)

→先進国株式で40億円程度の純資産(水瀬注:三菱UFJ投信のお話)であり、新興国株式ETFを新たに設定すると「また小粒なETFを作って!」と怒られてしまう水準。

(上記質問に関連して)新興国株式が難しいなら、人気のG-REITクラスならどうか?

→今はJPX400が伸びてからと言われているので、まずはそこからということで……(会場笑)

ETNには長期投資向けの商品がないのでは?

→日経VIや海外のレバレッジ指数など、ETFだとコストが高くなってしまうものをETNで提供している。短期投資向けに作っているわけではない。例えば、アセアン高配当など、ETFだと高コストになってしまい現実的でないものをETNにしている。また配当再投資をETNで自動化したという面もある。

バンガードETFが東証に上場できないのはなぜか? (水瀬注:私の事前質問のひとつ)

→バンガードとも話して模索はしているが、現状は上場に至っていない。米国ETFの海外での重複上場は、ドキュメントの日本語化や日本のマーケットメイカーとの関係構築など、コストがかかるので、それをペイできるリターンが彼らにないと厳しいだろう。これはバンガードに限らず、運用会社全般に言えること。

→一方で、アジアの投資家はいままで米国ばかり見てきたが、税制等の理由(米国では最高税率30%がかかってしまうケースもある)から、米国ETFの重複上場ではなく、地場マーケット組成ETFにも目が向けられ始めている。特に日本のETF市場の伸びは、世界中から注目されている。

MSCIコクサイ連動ETF、MSCIエマージング連動ETFの信託報酬値下げは可能か?

→現状でも戦略的な信託報酬水準になっているが、純資産残高さえ積み上がれば値下げも可能なので、どんどん投資してほしい。

同じ指数に連動するETFが何本も上場されているが、流動性の観点から2本程度にとどめておくべきでは?

→ETF最大の投資家は機関投資家。彼らは同指数でも銘柄が多い方がオペレーションしやすいというニーズがあり、2本どころか4本でも少ないと言われている。

指定参加者について教えてほしい。

→ETFの設定・交換をする役割。1銘柄に2社存在する(東証WEBサイトで公開中)。ETF設定のコストとして、(1)最初に買い建てと同時に行なう空売りの金利、(2)借株の金利、(3)スプレッドがある。これをペイできるように運用している。

→ETFの市場価格と基準価額が乖離に対して、裁定取引を行なうが、裁定するには同時間で動く投資対象が必要になる。時間差があれば乖離する。

→米国のように売買が厚ければ、裁定しなくても自然に適正な値段がつく。投資家があまり手を出さない状況だと、裁定がしんどい。米国では、売買が少ないETFはどんどん上場廃止に一方で、日本では上場廃止するレピュテーション・リスクが大きい。日本もETFが売買がもっとこなれてくれば、よりスマートな市場になるだろう。

ETFの乖離解消は指定参加者の義務になっているのか?

→義務ではある。数値的な制限はなく努力目標に近い。米国では上場コストが高く、集めたお金を指定参加者にキックバックするのでインセンティブが働いている面はある。日本では上場コストがもともと低いため、そのような仕組みはなじまない。

前場に乖離しまくっていて「マーケットメイカー仕事しろ」とツイッターで揶揄されている状態のETFが、後場にキッチリ乖離解消してくるケースをよく見るが、乖離中は本当に仕事をしていないのか?(水瀬注:私のコメント)

→市場開始時間の影響。日本が一番最初に市場が開き、次にアジア各国、次に・・・と開いていくが、先ほどの乖離要因の説明にもあったとおり、裁定には同時間に動く対象が必要。マーケットメイカーの敵は同業他社であり、ぬるい取引をすると根こそぎ持っていかれるため、前場は慎重になる面はある。

米国では昔からあるDRIP(分配金再投資サービス)が日本で実現しない原因は、証券会社にあるのか、それとも取引所にあるのか?(水瀬注:私の事前質問のひとつ)

→近いものは、株式積み立て(るいとう)が既にある。その中で配当・分配金は再投資される。ただし、証券会社によりやっていなかったり、ETFは対象外だったりするケースもあるようだ。

→逆に、機関投資家は配当・分配金をキャッシュでほしがる。米国のように投資主体が50%以上個人投資家になればスキームができるかもしれない。

ETFの投資対象株式から出る株主優待を、投資家に還元できないのか?

→ルールが決まっていて、換金できるものはすべて換金してファンドの純資産に戻している。換金できないものは寄付や廃棄処分している。株主優待をエンジョイしたいのであれば、ETFではなく個別銘柄に投資を。

最後に、レバレッジ型ETFは長期保有で減価することを示すデータが配られ、「ご意見を聞かせてほしい」という話がありましたが、ブロガーの皆さんは「あたりまえ」といった感じでした。

一般にレバレッジ・インバース型ファンドは、販売資料に大きな文字で、「当ファンドは長期保有には向きません」と書いてありますし、あれを読んでなければ、むしろ投資家側の不注意と言えるのではないでしょうか。


レポートは以上です。取引所、指定参加者、運用会社の皆さまから、かなり突っ込んだお話をきくことができました。同時に、ブロガー側の言い分が偏っている部分も明らかになり、たいへん勉強になりました。

特に、ETFは個人のインデックス投資家だけでなく、機関投資家をはじめ様々なプレーヤーの取引対象であり、それぞれの利害を調整しながら運用されていることがよくわかりました。

このような貴重な機会を企画していただいた東証の方々に感謝するとともに、このレポートが読者の皆さまの何かお役に立てば幸いです。

なお、このレポートは水瀬のメモと記憶を頼りにまとめたものなので、曲解や誤りがあるかもしれません。他のブロガーさんのレポートと合わせて読めば、より真実に近づくでしょう。また、関係者の皆さまにおかれましては、ご指摘いただければ可及的速やかに対応いたします。

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