国内ETF市場活況!これからは「量」より「質」の向上を

2013年の国内ETF市場は、レバレッジ型・インバース型の急伸により活況でした。2014年3月にはETF売買代金の75%をレバレッジ型・インバース型が占めていたようです。

東証ETF・ETN売買代金(立会内)の推移
(引用:野村総合研究所 金融ITフォーカス2014年6月号 短期資金で急伸する国内ETF市場より)

どんどん儲かった会社、指をくわえて見ていた会社


ETF市場が活性化して、売買高や売買代金が伸びることは良いことです。投資家のETF売買により、証券会社には多くの手数料(株式委託手数料)がもたらされたことでしょう。

レバレッジ型・インバース型ETFは長期投資向きではなく、短期売買向きです。長期では減価していく特性があるからです。これは当ブログで何度も指摘しているとおり(例えばこの記事など)。

短期売買ばかりということは、証券会社は株式委託手数料(売買時にかかる手数料)で潤ってよいですが、運用会社はあまり面白くないかもしれません。なぜなら、ETFの純資産額が積み上がらないと、彼らの手数料である信託報酬(運用中にかかる手数料)の拡大があまり見込めないからです。

そこで、長期投資家向けの銘柄も盛り上げていこうという話になります。

実のところ、「そろそろ証券会社ばかりでなく運用会社にも手数料を」ということなのかもしれませんが、上記の野村総研のレポートでも、「個人投資家をはじめとする長期の資産運用ニーズに応える施策が期待される」と書かれています。


最大の課題はラインナップなのか


レポートでは、長期の資産運用ニーズに応えるための最大の課題は「ラインナップ」であると主張しています。

私は少し意見が違います。ラインナップが最大の課題だった時期は、そろそろ過ぎ去ろうとしているのではないかと考えています。

たしかに、日本のETFは立ち上げからしばらくの間、同じような日本株ETFが何本もあるだけで、ラインナップが非常に貧弱でした。東証は2008年からETF100本上場を目標に、(順序はともかく)銘柄数の拡大に奔走しはじめました。

その結果、十分ではないものの、資産運用のコアになりうる銘柄、つまり、日本・先進国・新興国株式などの基本的ラインナップは「ほぼ」そろったと言えるところまできました。(関連記事「日本のETF市場が最悪期を脱しつつある!?」)

あらゆるコモディティとかカバードコールとかリスク・コントロールなど、マニアックな銘柄も充実してきている昨今です。(まだ国内債券ETFがありませんが、個人向け国債などで代替できるし、その方がコストがかかりませんので)


個人投資家が安心して長期投資できるために


これからは、ラインナップよりも、ひとつひとつのETF銘柄の「品質」を上げてほしい。具体的には、個人投資家が安心して投資できるように、「市場価格と基準価額の乖離」をできるだけ抑えてほしい。

当ブログではこの課題をここ数年ずっとウォッチしています。全体的に、だんだん改善傾向にあるように見えるものの、なかには適正価格から10~20%も乖離したまま1年以上にわたって放置されているものもあります。

そのような乖離を放置していると、適正価格で購入した投資家までもが「自分が投資したETFも、将来売る時に乖離して損するのではないか」と疑心暗鬼になりかねません。

個人投資家にとって、市場リスクを取るだけでも大変なのに、ETF銘柄固有の不安を抱えたまま、何十年も運用するのはしんどいです。

日本のETF市場は、「量」だけでなく「質」の向上に着手する時期にきているのではないでしょうか。


<特に関連するブログ記事>
2014/03/21 これはひどい。バカげた乖離を続ける「問題ETF」たち
2014/06/01 国内ETFの「基準価額と市場価格の乖離」(2014年5月末時点)、ついにフロンティア株が正常化か


P.S
野村総研のレポートでは「配当再投資プログラム」の話もすこし出ています。これには大賛成です。ETFに限った話ではなく、個別株投資にも役に立つサービスだと思います。

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