投信の回転売買が下火になったら、ラップ口座が急拡大……自分でやるべき投資判断を他人に任せると高くつく
水瀬ケンイチ

金融業界は投信の回転売買から、ラップ口座で手数料を取る方向にかじを切ったのでしょうか。日経電子版に、ラップ口座が急拡大しているという記事が掲載されています。
日経電子版 マネー底流潮流
2014/06/30 「国策に売り無し」と、ラップ口座急増の光と影
ラップ口座というのは、「個人が証券会社や銀行と投資一任契約を結んで、運用から管理を任せるサービスで、対象は国内外の株式や投資信託など様々だ。残高は3月時点で1兆3760億円に達し、1年前から8割も増加した」とのこと。
そのあと、記事には私水瀬のコメントが掲載されています。読んでいただければわかるように、私はラップ口座というサービスは、投信の回転売買よりはマシであるものの、積極的に使いたいとは考えていません。問題になるのは、コストと投資結果に対する納得感です。
個人投資家の取るべき戦略は、回転売買かラップ口座かの二者択一ではありません。自分で運用すればよいだけのことです。インデックスファンドをはじめとした投資信託を組み合わせた運用。それは、それほど難しいものではありません。
必ず儲かるものではありませんが、それはプロが運用しても同じこと。「自分よりはうまくやってくれるのでは?」と思ってしまうのが心情ですが、プロの実績と、ラップ口座の手数料がその対価として見合うものかどうかは、よく調べた方がよいかと思います。
自分でやるべき判断を他人に任せると高くつきます。投資判断は自分で行い、小口資金なので投資信託を活用する。確定拠出年金(DC)でも、少額投資非課税制度(NISA)でも、ふつうに行なわれているスタンダードな運用法です。
金融業界はもっと手数料がほしいのでしょうが、投資信託の信託報酬という正当な報酬を毎年払う(それを販売会社・運用会社・信託銀行の3社で山分け)のですから、それ以上の手数料を払う義理はありません。
<ご参考>
2012/08/29 インデックス投資の具体的方法 8ステップ
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