公的年金の2013年度の運用は大幅プラス。でもマスコミ各社は……

新聞を読む男

公的年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、2013年度の運用実績を発表しました。10兆2207億円の黒字、運用利回りがプラス8.64%であり、これは目標利回りのプラス3.2%を大きく上回っています。

今までブログで取り上げてきたように、マスコミ各社は年金運用がマイナスになった時は鬼の首を取ったように大騒ぎする一方、プラスの時には報道しない(あるいはごく小さな扱い)という傾向がありました。

過去2番目に大きな黒字金額だったという2013年度運用実績、マスコミ各社の反応はどうだったのでしょうか? ネット報道内容をチェックしたいと思います。

報道内容のチェック項目は過去のブログ記事と同様、(1)損益金額、(2)運用利回り、(3)運用開始からの累計実績、とします。

公的年金の運用実績に対するマスコミ各社のネット報道状況(2013年度)

  損益金額 運用利回り 累計実績 備考
日本経済新聞 ×
ロイター ×
ブルームバーグ
朝日新聞
毎日新聞 ×
読売新聞 × 利回り表記はないが、資産総額表記があるのでいちおう計算可
産経新聞 × 利回り表記はないが、資産総額表記があるのでいちおう計算可
共同通信 ×
時事通信
NHK × × 利回り表記がなく、資産総額も概算のため計算不可
日本テレビ --- --- --- 報道なし
TBS ×  
フジテレビ --- --- --- 報道なし
テレビ朝日 --- --- --- 報道なし
テレビ東京 × × 利回り表記も資産総額も表記なし
※マスコミ各社のニュースサイトより水瀬ケンイチ調べ(2014年7月5日15時現在)

まず、テレビ放送局の報道状況の悪さが目立ちます。

日本テレビ、フジテレビ、テレビ朝日は、報道自体がありません。年金は国民の最大級の関心事ではないのでしょうか。NHK、テレビ東京は、報道はあるのですが、損益金額しか示しておらず、運用利回りがわかりません。

これは、過去に損益がわずか数%のマイナスであったにもかかわらず、「年金が○兆円もの損失!」と金額の大きさのみを前面に出して騒ぎ立てた時と同じ構図です。公的年金は運用総額が126兆円と巨額なので、損益の金額だけを示すのはミスリードを誘います。

新聞社は、最低限の報道はしているようですが、読売新聞、産経新聞は損益金額は示しているものの、運用利回りが示されていません。前述のNHK、テレビ東京と同様に、ミスリードを誘う報道になっています。運用総額が併記してあるので、読者が自分で計算すれば利回りを計算できなくもありませんが、不親切な報道です。

そんななか、時事通信、ブルームバーグ、朝日新聞は、損益金額・運用利回り・累計実績の3点セットがすべて示されていました。特に、朝日新聞はパーフェクトです。上記3点セットだけでなく、資産配分(アセットアロケーション)が円グラフで表示されているなど、とてもわかりやすい報道になっていました。

全体を通しての所感です。過去2番目に大きな黒字金額だったという2013年度の公的年金運用実績でしたが、マスコミ各社の報道はまだら模様でした。また、以前は報道していたところが今回は報道なしだったり、反対に、以前は報道なしだったところが今回はよい報道だったり、ムラがあるようです。

公的年金に関しては、人口増加を前提とした制度設計であることや、未納問題、マクロスライド方式の未実施等、多くの問題を抱えていることは事実です。しかし一方で、資産運用については、真面目に行われており、情報公開も進んでいるというのが、運用をウォッチしている私の認識です。

年金は国民の最大級の関心事であり、マスコミ各社は不安を煽るマイナス方向だけに張り切るのではなく、良いことも悪いことも含め、きちんと「事実」を伝えてほしいと思います。


P.S
本文にも書いたとおり、ネットで公開されている範囲での情報収集なので、「ニュースサイトには掲載していないが、新聞本紙では掲載している」等の事情はあるかもしれません。だからといってネットには非掲載でよいということにはなりませんが。
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