ウォール街のランダム・ウォーカーの訳者あとがきに、インデックス投資の「不都合な真実」が?

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読者のかたから、「ウォール街のランダム・ウォーカーの訳者あとがき」について、質問メールをいただきました。

件名:日本市場でのインデックス投資

インデックス投資を前向きに考えて思い切って始めてみようと思っていたところ気になることが出てきました。それはウォール街のランダムウォーカーの訳者のあとがきにあった不都合な真実です。(p.478 )
日本の場合インデックスファンドは25年保有してもゼロだったとのこと。米国ではうまく行っても日本の株式市場ではつうようしないのでしょうか?どう考えたらいいのか全くの素人なのでわかりません。ご教示いただければ幸いです。


結論から申し上げると、個人投資家がインデックス投資を行なうにあたっては、不都合でもなんでもないと考えております。

「ウォール街のランダム・ウォーカー」はバートン・マルキール氏の著書で、インデックス投資の有用性について書かれた、「インデックス投資のバイブル」ともいうべき古典です。

当然ながら原著は英語です。翻訳をしたのが訳者の井手正介氏で、「訳者あとがき」を書かれています。質問者さんが気にされているのは、訳者あとがきの以下の部分になります。

我が国におけるインデックス・ファンド投資については、さらに「不都合な真実」がある。過去1年、5年、10年、20年のいずれの期間をとっても、日経平均で見た市場平均はかなりのマイナスに終わっているということだ。(中略)
つまり、我が国では市場インデックス・ファンドを過去25年間保有し続けたとしても、得られたタイム・バリューはゼロだったのだ。
(ウォール街のランダム・ウォーカー P.478より引用)


著者のバートン・マルキール氏はさんざんインデックス投資を持ち上げてきたのに、訳者にあとがきでそのようなことを言われたら、「今まで読んできたことは一体何だったのか?」と不安になる気持ちもわからなくはありません。

私が生意気にも「不都合でもなんでもない」などとと結論づけた理由は、大きく分けて2つあります。


理由その1 インデックス投資は国際分散投資が基本だから


上記で引用したあとがきだけを見るとわからないかもしれませんが、これはあとがきのごく一部で、インデックス投資の有用性全体に疑問を投げかけているのではありません。

何を言っている部分なのかというと、過去、日本の上場企業が株主価値の最大化を目指してこなかったという、日本の株式市場独自の事情に対して、「日本企業も欧米企業と同じようにしっかりやれ」と提言している部分なのです。井手氏もインデックス投資全体を否定しているわけではありません。

私たちは日本人ですから、日経平均がダメだった=インデックス投資がダメだったと思ってしまいがちです。でも、これは「ホームカントリー・バイアス」であり、投資法全体の評価としてはやや偏った見方といえます。

ウォール街のランダム・ウォーカーでも、米国株、先進国株(日本含む)、新興国株に分散投資することをすすめています。日経平均100%のポートフォリオを作れなどとはひと言も述べられていないし、あとがきにもそのようなことは書かれていません。

インデックス投資の基本である国際分散投資をしていれば、ここ20年間、日本という一国のインデックスがふるわなかったとしても、米国や欧州の株式インデックスの上昇により、ポートフォリオ全体ではしっかりとした資産形成が可能でした。

<ご参考>
2011/05/09 インデックス投資への「過剰期待」と「過小評価」 その2


理由その2 インデックスの良し悪しを語るのに20年は短いから(日経平均はもうプラス)


たしかに、あとがきに書かれていた時点(2011年5月)では、日経平均は過去1年、5年、10年、20年のいずれの期間をとってもマイナスに終わっていました。

しかし、データは日々動いています。直近(2014年9月21日)のデータで私が単純計算したところ、日経平均は過去1年で +11%、5年で +12%、10年で +4%、20年で -1%(いずれも年率換算) となっています。

たった3年、評価時期がズレただけで、インデックスの評価のイメージはまったく違うものになることがわかると思います。

順調なイメージがある米国株式市場でさえも、1960年から50年以上の歴史で見れば、何度もバブルをふくらませては弾けさせてきました。そのあたりは、ウォール街のランダム・ウォーカー第3章~第4章に詳しいです。

たとえば、1970年代にもダウ平均が長期低迷して、当時は「株式の死」とまで言われていました。

ここで言いたいことは、インデックスの良し悪しを語るのに20年という期間は短いということです。その程度の期間では、どこか一国のインデックスがずっと下がったままということはよくあることです。

そして、いつ、どの国で、どのくらいの損益が出るのか、将来の相場動向はわからないから、全体にまんべんなく投資しておくというのがインデックス投資の発想です。世界中から「永遠のダメ市場」と思われていた日経平均ですら、復活してきたのですから、本当にわからないものです。


まとめ


理由その1で述べたように、国際分散投資により、世界経済「全体」の成長の分け前にあずかることができるという考え方が、インデックス投資の基本です。

そして、理由その2で述べたように、インデックス投資という投資法の評価は長期で考えるべきものということです。

質問者さんが気にされていた訳者あとがきの一節は、日本というある一国の、ある一時期の、ある一面でしかありません。

私たち個人投資家がインデックス投資を行なうにあたって、ウォール街のランダム・ウォーカーがすすめる「長期」「分散」「低コスト」をしっかり守っている限り、べつに不都合でもなんでもないということだと思います。

これが質問者さんのご質問に対する、私の個人的考えです。質問者さんの何かのお役に立てば幸いです。


※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いいたします。


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