銀行「生損保系の投信会社の売り込みは節操がない」 個人投資家「お前が言うな」

水瀬ケンイチ

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タイトルとイラストだけですべて終了してるのですが、ご興味があるかただけ読み進めてください。



日経電子版 R&I ファンド情報
2014/11/06 評価低い保険系投信 親会社との関係で明暗

上記の日経記事には、地銀等の販売会社が、生損保系の投信運用会社に対して不信感を抱いていると書かれていました。

典型的な事例として、ある地銀いわく、

地銀顧客向けに保険商品の勉強会を開催したとき、保険会社が同行に講師として派遣したのは子会社の投信会社の担当者だった。投信の話をされては勉強会の趣旨と合わないので、地銀は急いで講師を変更させたが、「親会社の陰から忍び込もうとするなんて不愉快だ」


とのことです。

要するに、地銀が「勉強会に保険の先生をお願いしたら投信の先生が来て営業しやがったので不愉快だ」とのこと。

これは傑作。まさに「おまえが言うな」です。

世間が銀行に対して抱いている信頼感を悪用し、預金しにきた高齢者に対して、本人は望んでもいないような高コスト&ハイリスクな投信を節操なく売りつけて、手数料稼ぎにまい進してこられた銀行様。

ついには、顧客のニーズを無視した説明不足の手数料稼ぎが社会問題になり、営業マンの手数料重視の評価基準を変えるよう金融庁に「指導」までされてしまった銀行様。

個人相手にニーズを無視した営業を散々してきたのに、いざ、自分がニーズに合わない営業をされて「不愉快」とは、これをブーメランと言わずして何をブーメランと言いましょう。

しょうもないなと思いますが、話はこれで終わりません。

日経記事によると、ぶつくさ文句を言いつつも、「販売会社と生損保会社の連携が評価されるケース」がたまにあり、それが「私募投信を組み入れた変額年金保険」だというから救いようがありません。

株式や債券など多様な資産を組み入れるバランス型ファンドは説明に手間が掛かり、地銀が扱うには荷が重い。しかし、変額年金ならば「10年経てば年金原資を保証する」というセールストークが使えるので、地銀でも提案しやすい。(中略) このように、保険会社との連携も販社のニーズをくみ上げたものなら評価されるわけだ。


おーい、顧客のニーズを忘れてませんか?

販売会社と生損保会社の内輪で、お互いのニーズの連携がどうのこうのと言っていますが、肝心の顧客のニーズは一体どこへ行ってしまったのでしょうか。

販売会社は、顧客のライフプランからどのようなニーズがあるかを聞き出し、どのような金融商品を活用すれば効果的かを提案するのが仕事だと思います。そうでなければ、顧客から販売手数料を取る正当性などありません。

ふつうに考えれば、「私募投信を組み入れた変額年金保険がベスト」という顧客は考えにくいです。ただでさえ、金融商品のリターン・リスク・コストの評価は難しいのに、「増やす機能のついた保険」(変額年金)などという複合型の金融商品は、リターン・リスク・コストが本当に見合っているかどうかを判断するのが非常に難しくなります。

顧客の金融知識が乏しいのをいいことに、商品の仕組みを複雑化して高い手数料を取るというのが、昨今の金融業界のトレンドです。本来、貯めるニーズには預金、増やすニーズには投信、備えるニーズには保険。それぞれシンプルな機能のものを選ぶのが、顧客にとって最も効率的なはずです。

そもそも、バランス型ファンドの説明ですら「荷が重い」という販売員が、「私募投信を組み入れた変額年金保険」をきちんと説明できるのでしょうか。後者の方が説明が難しいと思うし、仕組みやコストを本当にきちんと説明できたなら、買う人は誰もいないだろうと思うのは私だけでしょうか。

上記の日経記事は、なんというか、「どっちもどっち」な金融業界の内輪もめにしか見えず、嘆かわしい気持ちになります。

ただし、顧客から見たら嘆かわしくはあるものの、金融機関もボランティアではないので、手数料が高い商品を開発・販売するのは、営利企業の行動として必ずしも間違ってはいません。彼らも飯を食っていかなければなりません。場合によっては、粗悪品だって売れるものは売るでしょう。

そして、顧客にとって良い商品を作る金融機関や、販売している金融機関も少数ながらあるのも事実です。顧客側がそれを見極める選択眼を持てばよいだけです。

弱肉強食の世界で、口を開けて待っているだけでは、食べカスみたいなえさにしかありつけないのは道理です。

私たち個人投資家としては、巨大なブーメランを投げて自分の頭に刺さってしまうような金融機関のセールスなど放っておいて、自ら、低コストで高品質な金融商品を賢く選択したいものです。


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Posted by水瀬ケンイチ