「ETF・ETN Annual Report 2015」がパワーアップして今年も登場。勉強になるし課題も明らかに

水瀬ケンイチ

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(ETF・ETN Annual Report 2015 表紙より)

東証から「ETF・ETN Annual Report 2015」が発行されています。無料ですが、2014年版よりもパワーアップしており、ETF・ETNに関する有用なデータを見ることができます。



東京証券取引所 WEBサイト
2015/03/25 ETF・ETN Annual Report 2015を発刊しました

目次はこんな感じです。

目次

はじめに
1. 1年の動き
 (1)全体概況
 (2)投資部門別動向
 (3)期末受益者動向
 (4)2014年の新規上場
 (5)ETFに係る法令改正、制度改正
2. 個別銘柄情報
 (1)各銘柄の個別情報
 (2)ランキング情報
3.制度等
 (1)内国ETFの上場審査・廃止基準(概要)
 (2)外国ETFの上場審査・廃止基準(概要)
 (3)ETNの上場審査・廃止基準(概要)
4. 拡大するREIT−ETF
5. 指定参加者一覧
6. 内国ETFの組成根拠法別一覧

(ETF・ETN Annual Report 2015 目次より)



1章~3章は、昨年のアニュアル・レポートと同様で、ETF・ETN市場の概況、投資部門別動向、受益者動向、新規上場銘柄、法令改正等について、データとともに紹介されています。

ざっくり言えば、1章の全体概況にあるとおり、「2014年のETF・ETN市場は、純資産総額は10兆円を突破、一日平均売買代金も1,356億円と、ともに過去最高を記録するなど、市場が拡大した」ということです。銘柄数も21銘柄増え、190銘柄に拡大しています。

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(ETF・ETN Annual Report 2015 5ページより)


1章~3章を読んだ感想です。

ETF・ETN市場全体が拡大していることは良いことなのですが、昨年同様、売買代金の約7割を、レバレッジ型・インバース型ETFが占めており、売買されるのは一部の銘柄に偏っている状況がすこし残念に思います。

残念なことに、先日、日興アセットマネジメントが運用する5銘柄のETFが、繰上償還されるとのお知らせがありました(該当記事)。

せっかく作ったETF・ETNも利用されなければ、こうして繰上償還になってなくなってしまいます。

ETF・ETNの繰上償還は、企業の倒産等とは違い、株価が0円になってしまうわけではありません。しかし、希望しないタイミングでの損益確定は、個人投資家としてはうれしくありません。代替銘柄がない銘柄なら、なおのこと困ります。

ETF・ETNは、量を求めるフェーズから、質を高めるフェーズに移ってきていると思います。認知向上や利用促進、そして、昨年のアニュアル・レポート紹介ブログ記事で取り上げてほしいと要望した、「市場価格と基準価額の乖離」の縮小等に注力してほしいと思います。(ETF・ETN Annual Report 2016 ではぜひ取り上げてほしい!)

さて、今年のアニュアル・レポートでは、4章~6章が新たに追加されています。

4章は、REIT-ETFに関するトピックス的なコラムでした。REITのETFについて、金融機関の利用が拡大しているとのこと。おもしろい動きです。

5章は、個人投資家にあまり馴染みのない「指定参加者」の一覧表です。しかも、ETF・ETN各銘柄ごとに、どの指定参加者がついているのかがわかるようになっています。自分が保有しているETFに、どの指定参加者がついているのかを調べてみるのも一興です。

6章は、ETFの組成根拠法一覧です。これも各銘柄ごとに、税法上の分類がまとめてある、かなりマニアックな作りです。

全体を通して、無料で読めるレポートしては、全体概況から各銘柄の詳細なデータまで、内容がとても充実していると思います。個人投資家として、よい勉強になりました。

また、市場関係者の皆さまにおかれましては、このようなデータをもとに、ETF・ETN市場の課題を洗い出し、さらなる発展につなげていってほしいと思います。


<特に関連が深い過去記事>
梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー
2014/03/18 東証の「ETF・ETN Annual Report 2014」が無料なのに有用なデータ満載
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Posted by水瀬ケンイチ