今後、日本は「年金」格差社会に襲われるそうですが、インデックス投資家は準備万端では?
水瀬ケンイチ

日経電子版に、今後、日本は「年金」格差社会に襲われるという記事が掲載されていました。
運用利回りに10倍の開き あなたを襲う「年金」格差社会 :日本経済新聞
企業年金が、個人の運用次第で受取額の変わる確定拠出型に移っている。そこにあるのは10倍の運用利回り差。「年金格差」社会とも言えそうな状況だ。確定拠出の拡大は、企業が個人を丸抱えする時代の終わりも示している。
要するに、企業が確定給付年金から確定拠出年金に移行しているなか、よくわからず元本確保型商品ばかり選択している人と、ある程度リスクを取って株や債券などの投資信託を選択している人で、この1年で年金の増え方が大きく違ってきているという、ごく当たり前の話です。
ただ、私たちインデックス投資家からすれば当たり前の話でも、今まで投資のとの字も知らなかった、ごくふつうのビジネスマンにとっては、そうではありません。
ある日突然、「用意した運用商品から好きなモノを選べ、リスクが低いモノから高いモノまでいろいろ取り揃えたぞ?さあ今週中に選べ?」と選択を迫られても、周辺知識も判断基準もなにもない状態では、どうしたらいいのか分かるわけがありません。それはいくら仕事ができる課長でも部長でもみんな同じです。
自分は、べつに確定拠出年金のためにインデックス投資を研究してきたわけではないのですが、いざ、自分の勤務先が確定拠出年金を導入した時に、その研修内容がインデックス投資の教科書ほぼそのものだったことに驚き、親和性の高さを実感しました。
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インデックス投資オタクが、ついに確定拠出年金対象者になった感想 - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
拙書「全面改訂 ほったらかし投資術 (朝日新書)」でも書きましたが、私たちインデックス投資家にとっては、確定拠出年金(DC)や少額投資非課税制度(NISA)は、インデックス投資の「お得に使えるツール」のひとつという位置づけです。
自分のリスク許容度を把握し、高い期待リターンが見込めるハイリスク資産部分を、一番税制的に有利な場所に置いておくという発想を持ったインデックス投資家にとって、確定拠出年金は恐れるに足らず。
むしろ、旨味をしゃぶり尽くしてやりましょうという心構えで、自社の確定拠出年金導入に準備万端といきたいものですね。
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