何度でも何度でも何度でも、胸に刻むべき投資の大原則
水瀬ケンイチ

先週末、国内外の株価が下落して、投資家界隈がざわついているようです。でも、自分のリスク許容度の範囲内でポートフォリオをつくっていれば、べつに大騒ぎすることでもないように思います。
2015/06/11 「投資は自分のリスク許容度の範囲内で」と何度でも言います より
自分のリスク許容度は、「なんとなくヤバいと思う」とか「まだまだいけると感じる」といった「感覚」ではなく、「年○○%の値動きであれば耐えられる」、または、「年○○円の損失であれば耐えられる」といった「数字」で把握することが重要なポイントです。
自分のリスク許容度の範囲内で投資をすることは、投資の大前提です。相場の調子が良い時だからこそ、自分のリスク許容度とポートフォリオを見比べて、いつ暴落が来てもある程度対応できるように備えておきたいものです。
2015/04/16 国際分散投資派にとっては、日経平均が2万円を超えるかどうかよりも重要なことがある より
日経平均が2万円を超える寸前であり、新聞やニュースでは、「まだまだ上がる」「もうバブル崩壊だ」等々いろいろ言われており、いったいどうなるんだ!?と気が気でない方々もいらっしゃると思います。
お気持ちは分からないでもありませんが、バイ&ホールド戦略をとっているインデックス投資家にとっては、ほぼ無駄な悩みです。現在の日経平均がどうとかダウ平均がどうとか心配するよりも、自分のポートフォリオがリスク許容度の範囲内に収まっているかの方がずっと重要です。
2015/03/18 日経平均が15年ぶりの高値だそうですが より
これがずっと続くと思ってはいけないと思います。
なぜなら、日本株式の期待リターンはせいぜい年率 +6% 程度のはずであり、+26% といういまのリターンは、「めったにない幸運」に過ぎないからです。
仮に、公的年金の推計に合わせて、日本株式の期待リターン +6.0%、リスク 25.1% とすれば(出典:GPIF「年金積立金管理運用独立行政法人 中期計画の変更について」)、+26%というのは、発生確率 15% くらいの幸運といえます。
これがずっと続くと思ってはいけません。
それどころか、おなじくらいの発生確率(15%)で、下方向にもググっとブレる可能性もあると考えなくてはいけません。その場合の想定リターンは年率 -19%です。
自分のリスク許容度を超えて、投資資金をつっこんでしまったり、資産配分の株式比率を上げてしまったりしないようにしましょう。
上記のブログ記事等で口を酸っぱくしてくり返し書いてきましたが、「投資は自分のリスク許容度の範囲内で」というのは、何度でも何度でも何度でも、胸に刻むべき投資の大原則です。
もし、「まだ株価は下がるの!?」「いったいどこまで下がるの!?」と気が気でなく、夜も眠れないとか、仕事や家事が手につかないということであれば、ポートフォリオが自分のリスク許容度を超えてしまっていることを疑った方がよいかもしれません。
対応はかんたんで、リスク資産の投資金額自体を減らすか、ポートフォリオの株式比率を下げることです。それでリスクは下がります。
本来、市場がぐんぐん上昇している時にこそやっておくべきことなのですが(関連記事「資産配分を見直すのは、今みたいな時じゃないですかね 」)、まちがいを訂正するのは早いに越したことはありません。
逆に、自分のリスク許容度の範囲内でポートフォリオをつくっていれば、たとえ今後暴落に見舞われても、市場の阿鼻叫喚(あびきょうかん)とは無縁でいられ、夜もぐっすり眠れることでしょう。
※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いいたします。
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