インデックスファンドの10割すべてがインデックスを上回れない?(その2)

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前回の記事「インデックスファンドの10割すべてがインデックスを上回れない?(その1)」の続きです。

記者 「でも水瀬さん、アクティブファンドの6~7割はインデックスを上回れないって言いますが、インデックスファンドは10割すべてがインデックスを上回れませんよね?」
水瀬 「どういうことですか?」

笑顔をうかべた記者さんはゆっくりと続けます。

記者 「インデックスファンドは、インデックスに連動するように運用されますよね。でも、投資信託である以上、運用コストである信託報酬は必ずかかる」
水瀬 「はい」
記者 「信託報酬の分、必ずインデックスを下回るということでしょう」
水瀬 「そうですね」
記者 「これはインデックスファンドの10割すべてがインデックスを上回れないということでは?」
水瀬 「うっ……」
記者 「ということは、アクティブファンドより、実はインデックスファンドの方がダメなのでは?

これは苦しいピッチングです。

たしかに、きちんとしたインデックスファンドの運用において、組入比率や売買コストなどベンチマークからの下ブレ要因は多々あっても、上ブレ要因はほとんどありません。いちばん確実な下ブレ要因である信託報酬の分、必ずインデックスを下回るはずだという指摘は、ごもっともな部分があります。

ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)や「敗者のゲーム」(チャールズ・エリス著)などのインデックス投資の古典や、各種の調査データでは、アクティブファンドの比較対象はインデックス(指数)そのものであり、信託報酬がかかるインデックスファンドではないことが多いようです。

さて、問題は、インデックスを6~7割が上回れないアクティブファンドと、(記者さん曰く)インデックスを10割すべてが上回れないインデックスファンドを比べた場合、実はインデックスファンドの方がダメなんじゃないの?という指摘です。





結論としては、「インデックスに対する、インデックスファンドとアクティブファンドのダメさ加減の程度問題だと思います」と答えました。

たしかに、インデックスファンドはインデックスを下回るものの、下ブレの程度はアクティブファンドほどではないので、それをもってインデックスファンドの優位性がひっくり返ることはないというのが私の意見でした。

前出の「敗者のゲーム」(チャールズ・エリス著)で指摘されているように、アクティブファンドがインデックスを下回る主因が「コスト」であるならば、コストが高いアクティブファンドと、コストが低いインデックスファンドのどちらが平均的に勝つのかは明白です。

記者さんも、「なるほど、道理ですよね」となり、次の話題に移行しました。ふー。

直近のデータで言えば、日本の国内株式投信の平均信託報酬は年率1.44%、たとえば老舗インデックスファンドの「SMT TOPIXインデックス・オープン」の信託報酬は年率0.3996%と、実に3分の1以下のコストです(2015年3月末現在)。

今年設定された「ニッセイTOPIXインデックスファンド」にいたっては、年率0.3132%と5分の1程度のコストです。いずれも1%以上のコスト差があります。(信託報酬はいずれも税込)

そもそも期待リターンが年率5%程度しかない資産クラスにおいて、この年率1%以上のコスト差を、平均的にアクティブファンドがひっくり返せる合理的な理由は見当たりません。そこを「運用力」でひっくり返すことをアクティブファンドは目指すのですが、現実を見れば相当難しいのが実態です。

ちなみに、共著を書いた山崎元氏は、「手数料支払いを正当化するためには、期待値ベースでのアクティブ・リターンが手数料の2倍必要」と論じています。数式が苦手でない方はご参照ください。
<該当記事>
第241回 運用商品の選択と手数料の関係 | 山崎元「ホンネの投資教室」 | 楽天証券

なお、当ブログ記事は、「インデックスファンドを上回るアクティブファンドは絶対に存在しない」と主張しているわけではありません。あくまで「全体的な傾向」の話をしているので、あらかじめご了承ください。

(つづく)

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