高い信託報酬に加え、一定以上の利益は一部を抜かれるベトナム投信はいかがですか

水瀬ケンイチ

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日本アジア・アセット・マネジメントの「ベトナム株式オープン」という投信が新規設定されました。



日本アジア・アセット・マネジメント WEBサイト
ベトナム株式オープン

SBI証券と楽天証券で今月から取り扱いが始まるというお知らせがあり、この投信のことを知りました。単一国に投資する投信なので、あまり興味がなかったのですが、昔からベトナム関連にはボッタクリ商品が多かったこともあり、販売用資料目論見書を読んでみました。

ああ、やっぱりなという感じでした。

まず、信託報酬が年 0.7884% と一見、新興国株式投信としては安い印象を抱くかもしれませんが、ファンド・オブ・ファンズ方式であり、投資先のファンドの運用コストを足し合わせると、実質的な負担は年 1.4866% と特段安くありません。

さらに、目論見書をよく読み込むと、後ろの方に、ファンド・オブ・ファンズの投資先のファンド情報として、「追加的記載事項」がいろいろ書かれています。そのなかに、「上記の信託報酬等のほか、毎年の運用実績のハイ・ウォーター・マーク超過分に対して10.8%(税抜 10%)の実績報酬が発生します」と書かれています。

ハイ・ウォーター・マーク超過分に対する実績報酬。これは、ある一定以上の利益は一部を運用側がもらうよ、ということです。ヘッジファンド以外で久々に見ました。

そもそも、損益にかかわらず信託報酬により恒常的にリターンが削られるなかで、儲かったら儲かったで、リターンが更に削られることになります。

ベトナムの株式市場に個人投資家がアクセスする手段がなかなかなかった10年前ならまだしも、様々な選択肢がある現在において、このような設計の投信が新規設定されるとは。

上記のことは目論見書の後ろの方に書いてありますが、販売用資料にはハイ・ウォーター・マーク超過分に対する実績報酬のことは、いっさい書かれていません。おそろしや。

ちなみに、日本アジア・アセット・マネジメントでは、「ベトナム株式プラス・オープン」という似た名前の別投信が、5年前に設定されています。こちらは、信託報酬に投資先のファンドの運用コストを足し合わせた実質的な負担が、年 2.56716%±0.5%(最大で年 3% 超え!) という「豪胆」な高コストで、思わず鼻水出ました。

個人的には、ベトナム単一国に投資することはおすすめしません。新興国全般に広く分散した投信の方がよいと思います。しかし、なにかの事情があって、どうしてもベトナム一国に投資したいという方もいらっしゃるかもしれません。

海外ETFになりますが、「マーケット ベクトル ベトナムETF」(VNM)の運用コストは年 0.7% と控えめで、ハイ・ウォーター・マーク超過分に対するの実績報酬もないことを、参考までにお伝えします。

将来のリターンは「不確実」ですが、コストは「確実」です。できるだけ低コストな商品を選びたいものです。


※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。


<ご参考>
「マーケット ベクトル ベトナムETF」(VNM)は、下記のネット証券で取り扱っています(ベトナム株式オープンもですが…)。以下から口座開設できます(無料)
楽天証券
SBI証券
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Posted by水瀬ケンイチ