日経記事「投信『毎月分配』曲がり角」の先の展開がおかしい

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本日の日本経済新聞朝刊に「投信『毎月分配』曲がり角 運用難、シェア低下 証券会社、長期運用シフト促す」という記事が掲載されています。

これは一見、良記事に見えますが、個人投資家の立場から見ると、大きな矛盾がある記事のように思います。

投信「毎月分配」曲がり角 運用難、シェア低下
証券会社、長期運用シフト促す

 国内の投資信託で主流の「毎月分配型」が曲がり角に差し掛かっている。株式投信全体に占める純資産の比率は4月に45%と10年ぶりの低水準になった。世界的な低金利で運用難が深刻になり高い分配金の支払いが難しくなったためだ。分配金の減額や、元本を取り崩し分配金とする投信も増えている。証券・運用業界では、長期の資産形成につながる投信に切り替えてもらおうと懸命だ。

投信「毎月分配」曲がり角 運用難、シェア低下 証券会社、長期運用シフト促す :日本経済新聞


タイトルの第一印象、そしてリード文を読むと、「証券・運用業界では、長期の資産形成につながる投信に切り替えてもらおうと懸命だ」とあり、個人投資家にとって良記事の予感がしました。

投信の分配金は「普通分配金」と「特別分配金」があるとして、特別分配金の場合は、単に自分の資産を取り崩しているだけだと解説しています。

はい、そのとおりです。

そして、三井住友アセットマネジメントの元本を大幅に減らさないような分配金の基本方針や、金融庁幹部の「若年層の資産形成に適した投信が主軸になってほしい」というコメントを掲載しています。

そう、そのとおりです。

しかし、記事はここから急転直下、斜め上の結論への強引な展開を見せます。

 証券各社は顧客から運用を一任してもらう「ラップ口座」を長期運用の柱に位置づけ営業に懸命だ。株価指数などに連動し手数料が安い上場投資信託(ETF)に期待する声もある。

 世界的な低金利時代に入り運用環境は様変わりした。もはや安定した高分配の維持は困難だ。証券会社や運用会社は過去の成功体験にとらわれず新たな商品を普及させる必要に迫られている。

投信「毎月分配」曲がり角 運用難、シェア低下 証券会社、長期運用シフト促す :日本経済新聞


はぁ?

なぜ、問題がある毎月分配型投信をやめた後に、あたかも良い代案であるかのように「ラップ口座」が勧められているのか。そして、なぜラップ口座が「長期運用の柱」という位置づけになるのか。

「手数料が安い上場投資信託(ETF)に期待」との取ってつけたような記載もありますが、ETFを構成ファンドにすることを売りにしているラップ口座サービスも実際に登場している事実もあり(どことは申しませんが)、なんだかおかしいです。

ここに、論理の飛躍があります。

もし、「毎月分配型投信」が問題なのであれば、その代案は「毎月分配ではない投信」であるのが道理です。少なくとも「ラップ口座」ではありません。たとえば、手数料が安い上場投資信託(ETF)を、自分で長期運用すればいいだけです。

日経記事が、なぜか「長期運用の柱」としているラップ口座とは、「資産運用、管理などを金融機関に一任する制度」のことです(出典:コトバンク)。資産配分の決定や変更を金融機関に任せる制度ですので、これは運用商品の分配の頻度というような末節の話とはレイヤーが違う(上位の)資産配分や資産管理の話です。

「ラップ口座」がよいかどうかは、「自分で運用すること」と比較されるべき話であり、その運用商品の投信が毎月分配か否かとはレイヤーが違う話です。

そもそも、投信販売会社が、毎月分配型投信を積極的に投資家に売り込んでいた毎月分配型投信「全盛期」には、上位レイヤーの話である資産配分や資産管理は、投信販売会社が販売手数料を徴収して、その対価として個人投資家にコンサルティング提案していたのではなかったのでしょうか。

百歩譲って、「ラップ口座」が良い仕組みだとしても、それは、既存の投信販売会社が提案していた資産配分や資産管理のコンサルティング提案に、販売手数料に見合う価値がないと断じているのとほぼ同意になりはしないのでしょうか。

……。

まあ、こんな感じでロジック的には矛盾というかツッコミどころ満載の日経記事ですが、もしかしたら、私が個人投資家目線で見るから疑問に思うだけのことかもしれません。

というのも、個人投資家目線ではなく、証券・運用業界といった金融機関目線で見た場合、自分たちの利益の源泉が、分配金の高さをエサにした毎月分配型投信の回転売買による販売手数料&高信託報酬から、ラップ口座での資産管理手数料に変わっただけ。

つまり、既存のボロ儲けの「手段」が変わったという業者向けの情報であり、その点においてはなんの問題も矛盾も存在しません。

業者向けに書かれた記事と、個人投資家向けに書かれた記事の内容が相反する、「大人の事情」を汲み取るリテラシーが日経新聞読者にも求められている好例だと思います。

ところで、5月も終わろうとする今日このごろ、企業に入社した新入社員さんたちは、そろそろ現場配置される頃でしょう。現場の昭和生まれの上司たちから、「ビジネスマンなら日経新聞を読め!」と言われている方も多いかもしれません。

それはある意味正しいのですが、本ブログ記事で指摘したように、日経新聞の記事には、もっと言ったら世の中の情報には、一般読者向けの情報と業者向けの情報が混在していることを、見分けられるようになってほしいと思います。

「誰が」「誰のために」発信している情報なのか、注意してほしいと思います。自戒を込めて。


<ご参考>
インデックス投資の具体的方法 8ステップ - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)

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