米国バンガード訪問レポート(その1) バンガードの低コストなインデックスファンドはどのような環境で生み出されているのか

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先日、米国ペンシルバニア州のバンガード社を訪問してきました。何回かに分けてブログでレポートします。

まず、米国バンガード社について簡単にふりかえっておきたいと思います。

ザ・バンガード・グループ・インクについて

設立 1975年
運用総資産 3.6兆米ドル
運用ファンド数 327本(グローバル)
会社形態 バンガードのファンドがバンガードを所有※
本社 米国ペンシルバニア州バレーフォージ
会長兼CEO F・ウィリアム・マクナブⅢ世(ビル・マクナブ)
従業員(クルー)数 14,000人以上(グローバル)
2016年6月末現在

※ザ・バンガード・グループ・インクは投資家によって所有されているバンガードのファンドによって所有されています。


バンガード・インベストメンツ・ジャパン WEBサイトより

正式な日本語名称は「ザ・バンガード・グループ・インク」で、運用総資産3.6兆米ドル(約360兆円!)の“超”巨大運用会社です。1976年に初の個人投資家向けインデックスファンドを売り出し、それ以来、低コストのインデックス運用における第一人者です。

投資家が所有するファンドに所有されているというユニークな会社形態により、米国バンガードは一般の運用会社と違い、株主利益≒投資家利益となっています。投資家にとっての低コストを徹底的に追求できる環境になっており、実際に、“超”低コストのファンドやETFを運用しています。

私も資産運用のメインを、"Vanguard Total World Stock Index Fund ETF (VT)"(経費率 年0.14%)や"Vanguard FTSE Emerging Markets ETF(VWO)"(経費率 年0.15%)などで運用しており、日本にいながらにして低コストの恩恵に預かっています。

このあたりのことを、「インデックス・ファンドの時代―アメリカにおける資産運用の新潮流」(ジョン・C. ボーグル著)などで昔から調べていたので、実際にどんなものか、いつか米国本社に行ってこの目で見てみたいと思っていました。それが今回実現したわけです。



バンガード・インベストメンツ・ジャパンさんのご案内で、マネックス・セゾン・バンガード投資顧問さんやマスコミ各社の方々とともに、米国バンガード社を訪問する機会をいただきました(なお全額自費)。

実際に訪問してみると、明らかにふつうの運用会社とは違いました。

本社の場所が「ペンシルバニア州バレーフォージ」と聞いて、それがどこにあるのか即座にわかる日本人はあまりいないと思います。ニューヨークのウォール街のような摩天楼などまったく存在しない地方です。

広大な敷地に低層ビルがポツンポツンと点在しており移動は主に車です。運用会社というよりは、地方の大学といった雰囲気でした。これもバンガードの低コストに寄与していると思われます。

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メインの棟がある場所。たしかに、金融機関というよりも大学のようです

バンガードでは「クルー」と呼ばれている社員の採用も、近郊で行なっているとのこと。それでも採用の倍率は相当なものであり、優秀な人間でないと通らないそうです。

社員の賃金は「競合他社と比べて遜色ない水準」との説明がありましたが、同時に、バンガードの急成長を考えると、「GoogleやAppleが成長した時のような億万長者もいない」との話でした。一方、リタイアメントプランに関する会社の補助は他社と比べてもかなり充実しているとのこと。

オフィスはシンプルですが広く、快適そうです。社内ですれ違う社員たちは、飾らないけれど洗練された感じの方が多い印象でした。身近な実例ですが、社屋への入館に戸惑っていたり、Wi-Fi接続などで困っていると、近くの社員さんたちがみな自然に手を差し伸べて助けてくれました。このあたりが自然にできる方々が集っている感じです。

現地の社員にお話を聞く機会があったのですが、社内のジョブトレーニングプログラムが充実していて、希望により様々な業務を経験できるほか、社内レクレーションでテニスやフットボール、バスケットボールなどのスポーツサークルも盛んとのこと。記念日のBBQ企画とかも。お話を聞いた方は、サークルがきっかけで旦那さまと出会い、社内結婚されたそうです。結婚、出産にまつわるサポート制度も充実しており、「ありがたかった」とのこと。

話を聞いていて、社員には報酬をひたすら上げるというよりも、長く働ける制度を充実させていることに関して、米国の会社なのに、どこか日本的だと思いました。転職が多い米国金融業界において、お金にガツガツせず、入社以来ずっとバンガード一筋という人が多いというのもわかる気がしました。

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本邦初(?)、これが米国バンガードのトレーディングルームだ!

一方で、トレーディングルームに通されましたが、ここはバンガードのなかでも、ジョブトレーニングで複数の仕事をという部署ではなく、この仕事のみを15年から20年以上継続しているスペシャリスト集団でした。オフィスはトレーディングをしているとは思えないほど、意外に静かでした。

ちなみに、上記のトレーディングルームの写真の場所は、たしか、私も投資していた"Vanguard Total Stock Market ETF (VTI)"などを運用する担当で、「え?メジャーファンドなのに誰もいないやん!?」と思ったら、大半の方がミーティング中だったそうです。

バンガードは運用総資産が巨大(約360兆円)な割には、運用ファンド数が少なく(327本)、トレーディングも少人数で運用しています。かつ、ポートフォリオ・マネージャーとトレーダーを一気通貫で同じ人(組織)で兼ねて効率的に実行しているということで、これは珍しいのではないでしょうか。

また、ひとり3本ほどのファンドを担当しているというお話でしたが、私が日本で別の某運用会社のマネージャーに聞いたところ、ひとり10本くらいは担当していると仰っていたことがあります。単純比較では、過去に乱造された多数のファンドを抱える日本の運用会社のトレーダー(もしくはポートフォリオ・マネージャー)よりも、バンガードのトレーダー兼ポートフォリオ・マネージャーの方が、煩瑣な作業に追われず、運用に集中できる環境にあると思われます。

ここでも、長期・分散・低コストの哲学に合わないようなファンドは作らないというバンガードの戦略が見て取れるなと思いました。

運用については、インデックス運用、アクティブ運用で別ながら、それぞれすさまじいまでの低コスト追求を行なっています。これらは、また別途詳しくレポートしたいと思います。

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もりだくさんの内容でメモが追いつかない!

バンガードの低コストなインデックスファンドは、どのような環境で生み出されているのかについて、写真と実例を中心にレポートしました。次回以降に、運用やサービス、投資家のコミュニティなどについてレポートします。

次回に続く


<本シリーズ記事>
米国バンガード訪問レポート(その1) バンガードの低コストなインデックスファンドはどのような環境で生み出されているのか
米国バンガード訪問レポート(その2) バンガードの低コスト運用の秘密に直接迫る
米国バンガード訪問レポート(その3) バンガードで個人アドバイスサービスが伸びている?
米国バンガード訪問レポート(その4) 全米からインデックス投資家が集まるイベントに参加して考えたこと

<ご参考> 米国バンガード社 公式WEBサイト
Vanguard: Helping you reach your investing goals | Vanguard

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