米国バンガード訪問レポート(その2) バンガードの低コスト運用の秘密に直接迫る

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前回の記事「米国バンガード訪問レポート(その1)」の続きです。今回はバンガードの運用についてです。

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(バンガード・インベストメンツ・ジャパン提供)

バンガードのファンドは低コストです。上記のデータでは、業界の平均経費率が年 1.01% に対して、バンガードの平均経費率は年 0.18% です。ミーティング時の配布資料の直近データでは、年 0.15% となっており、圧倒的に低コストです。

しかも、これは運用資産の約3割を占めるアクティブファンド(後述)を含んだ経費率です。そして、年々さらに低下しています。

その理由は、まず会社形態にあるとバンガードの Chris Mclsaac 氏は言います。投資家が所有するファンドに所有されているというユニークな会社形態により、米国バンガードは一般の運用会社と違い、株主利益≒投資家利益となっています。コストを下げてリターンを上げることが投資家の利益であり、かつ会社の利益でもあるという形です。

この会社形態は、日本からの参加者たちもなかなか腑に落ちないようで、株主総会はあるのか?経営の監視はどうなっているのか?等々たくさんの質問が投げかけられていました。私はある参加者が言っていた「日本の保険会社のような“相互会社”に近いのかもしれない」という説明がピンときました。この仕組み、日本でも相互会社の条件を緩和する等して実現できないものでしょうか。

そして、「規模の経済」という言葉を何度も使い、運用資産が増えることにより、運用にかかるコストを下げることができ、それにより顧客のロイヤリティが増し運用資産が集まり、さらにまたコストを下げられるという話と、このサイクルのことを「フライホイール」と呼んでおり、回し始めるのには大きな力が必要で非常に大変だったが、回りはじめるとじつにうまく回ってくれているという話をしました。

やはり、バンガードも最初から順風満帆だったわけではなく、産みの苦しみがあったようです。

ところで、私は米国バンガードのETF(VTやVWO等)を、日本のネット証券を経由して保有しています。米国のETFを日本で販売するためには、各種事務手続きや資料の翻訳等、コストがかかっているはずです。それでも日本を含めた海外に商品を提供することについて、米国バンガードはどう考えているのか。聞いてみました。

「こう言うと思い上がりと思われてしまうかもしれないが、我々は米国の投資家だけでなく、全世界の投資家を助けることができると自負している。あなたもです」

ズキューーーーーーーン!!(ハートを撃ち抜かれる音)

他にも、顧客の多様化による経営の不確実性の低減、規模の経済のさらなる拡大が見込めるので、グローバル展開を進めているとのことでした。

実際の運用は効率的に行われています。

エクイティ・インベストメント・グループの Ryan Ludt 氏によると、70以上のインデックスに連動する200以上のポートフォリオを、平均経験年数19年のベテラン・ポートフォリオマネージャーたちが、アメリカ・イギリス・オーストラリアの3拠点にて32時間体制で運用しているそうです。

ポートフォリオ・マネージャーとトレーダーを同じ人(組織)が兼ねて運用することで、スピード感をもって効率的に運用しており、これは同業他社でも珍しいのではないかという話でした。なお、リスクマネジメントについては別部署が統制しています。

また、ミューチャルファンドとETFの一体的運用、利用料が安いベンチマークへの変更など、コストを下げるために徹底的な取り組みを実施していました。

特に、 バンガードの代表的インデックスファンドである Vanguard Total Stock Market Index Fund は、投資対象の広範化とコスト削減のため、
Dow Jones Wilshire 5000 Index
MSCI US Broad Market Index
CRSP US Total Market Index
とベンチマークを変更してきています。このファンドは、私もベンチマークが Wilshire 5000 の頃から保有していたので、その経緯を直接体験してきました。

ベンチマークに連動することを目的とするインデックスファンドが、そのベンチマークを変更するということは、実績データの連続性や投資家への説明など課題がたくさんありそうで、正直よくやるなぁと思っていました。

「ベンチマークの移行は大変でしたか?」と質問すると、苦笑いして「大変でした」と言いつつ、「運用コストの大部分をインデックスのプロバイダーに払うのは納得できないのでやった」と言っていました。コスト低下へのあくなき執念を感じました。

バンガードはインデックスファンドの運用で有名ですが、アクティブファンドも運用しています。

Dan Newhall 氏によると、バンガードの運用資産の1/3はアクティブファンドで、しかも、すべて社外に運用を委託しているとのことです。

アクティブ運用で社外委託と聞くと、いかにもコストが高くなりそうな気がしますが、アクティブファンドでもバンガードではコストは低く抑えられています。

業界の平均経費率は年 1.14% に対して、バンガードのアクティブ運用の株式ファンドの平均経費率は年 0.39%、債券ファンドの平均経費率は年 0.16% ですから、アクティブファンドも圧倒的に低コストです(2016/6/30)。

その理由は、ここでもやはり「規模の経済」にありました。つまり、バンガードが運用を委託しようとする資産が巨額なので、委託される運用会社から見ると、たとえ経費率が低くても大きな収益が見込めるというのです。

場合によっては、運用内容は同じにもかかわらず、委託会社の自社ブランドファンドよりも、バンガードから委託を受けたファンドの方が低コストということもあるとのこと。「規模の経済」恐るべし。

バンガードの運用は、独自の会社形態や規模の経済など、あの手この手で徹底的な低コスト運用が行われていることが、バンガード内部のかたに直接聞くことでよくわかりました。

その結果、バンガードのファンドは1年で86%、3年で92%、5年で91%、10年で93%のファンドが、同カテゴリのファンドの平均リターンを上回るという実績につながっているのだと理解しました。

(次回に続く)


<本シリーズ記事>
米国バンガード訪問レポート(その1) バンガードの低コストなインデックスファンドはどのような環境で生み出されているのか
米国バンガード訪問レポート(その2) バンガードの低コスト運用の秘密に直接迫る
米国バンガード訪問レポート(その3) バンガードで個人アドバイスサービスが伸びている?
米国バンガード訪問レポート(その4) 全米からインデックス投資家が集まるイベントに参加して考えたこと

<ご参考1> 米国バンガード社 公式WEBサイト
Vanguard: Helping you reach your investing goals | Vanguard

<ご参考2> 米国バンガード社のETFが以下のネット証券で買えます。会社名をクリックで口座開設できます(無料)
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SBI証券
マネックス証券

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