機関投資家はインデックス運用、個人投資家はアクティブ運用の日本はこれでいいのか
水瀬ケンイチ

日経電子版に、日米のインデックス運用の違いについての記事が掲載されています。
世界を覆う指数連動投資、遅れる日本の個人 :日本経済新聞
2017/5/8 5:30
指数に連動した運用をするインデックス投資の勢力が世界的に増大している。米国は2016年にインデックス投信に5048億ドルが流入、運用者が銘柄を選別するアクティブ型からは逆に3401億ドルが流出した。国内でも日本株投信では、日銀や機関投資家の保有が大半の上場投資信託(ETF)を含めると8割がインデックス型だ。ただ日本の個人に焦点をあてると様相はがらりと変わり、実はアクティブ投信の保有が今も大半だ。
詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、主旨をまとめると以下のような内容だと思います。
・各国でアクティブ型の「負け」目立つ
・インデックス型の恩恵少ない日本の個人
・積み立てNISAの「厳格条件」でも米国上位投信は8割が適格
米国などに比べて、日本の個人投資家がインデックス運用の恩恵をあまり受けていないという話は、そのとおりだなと思います。

(世界を覆う指数連動投資、遅れる日本の個人 :日本経済新聞より引用)
上記図表のように、日米の純資産上位5投信を比較すると、米国は5本中4本がインデックスなのに、日本はすべて高コストのアクティブで、販売手数料、信託報酬、収益率のいずれにおいても、日本が米国におおきく劣っていることは歴然です。現状では、日本の上位5投信は、いわば高コスト&低リターンだと言えるでしょう。
なぜか日本の個人投資家の間ではあまり知られていませんが、日本においても機関投資家の間では、10年以上前からインデックス運用が中心です。個人向けのまともなインデックスファンドがほとんどなかった時代から、インデックス運用が中心です。最近では、日銀を中心としたETFの買いで、ますますインデックス運用の比率が高まっています。
一方、個人投資家は、いまだに高コストなアクティブファンドが中心です。記事によると、インデックスファンドの残高比率は5年前より5ポイント下がっているとのこと。
日米差に注目が集まりますが、実は、日本のなかでも、機関投資家と個人投資家の間に大きな差が生まれているのです。
日本の個人投資家は、金融機関になんだかんだ理由をつけられて、高コスト&低リターンの「ババ」をつかまされ続けてきたように見えます。個人投資家が金融機関にすすめられるがまま、適当に投信を購入してきた結果かもしれません。
よく言われるとおり、投資は自己責任の世界です。いくら金融機関が熱心に高コスト&低リターンな投信を勧めても、それを勝手に投資家の口座に放り込むことはできません。投信を購入するという最終判断は、投資家自身がくだしている(ことになっている)のです。
私たち投資家側も少しだけ賢くなって、金融機関ばかりが儲かる高コスト&低リターンな投信には、堂々と「No」と言えるようになりたいものです。
P.S
個人的には、すべてのアクティブファンドがダメなわけではなく、なかには良いものもあることを知っています。しかし、数が少なすぎるのと、今後はもっと低コスト&高リターンなアクティブファンドが増えてくれることを期待しています。
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