インデックスファンド vs 国内ETFの戦いの行方に変化あり

水瀬ケンイチ

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インデックス投資に使う投資ビークルには、投資信託であるインデックスファンド、国内ETF、海外ETFの3種類があります。そのうち日本の個人投資家に身近な2つが、インデックスファンドと国内ETFです。

相対的に高コストだけど、利便性が高いインデックスファンド。
相対的に低コストだけど、利便性が低い国内ETF。

このインデックスファンド vs 国内ETFの戦いの行方に、最近変化が出てきました。



モーニングスター [ アナリストの視点(ファンド) もう一つのコスト競争で異変、“投信”VS“ETF”  2017-11-09] モーニングスター [ アナリストの視点(ファンド) もう一つのコスト競争で異変、“投信”VS“ETF”  2017-11-09]


上記モーニングスターのコラムでは、「コスト水準としてETFの優位性が保たれているのは確かだが、インデックス運用の投信でコスト引き下げ競争が過熱する中、ETFが現状のコスト水準を維持すれば相対的な優位性はさらに低下するだろう」との見通しを述べています。

たしかに、来年2018年に始まる「つみたてNISA」を見据えて、運用会社はより低コストなインデックスファンドを新規設定したり、既存インデックスファンドの信託報酬を引き下げしたりといった動きを活発化させています。

それに対して、国内ETFのコストは引き下げの動きはほとんど見られません。

もともと、ETFはインデックスファンドに対して利便性で負けている部分がありました。たとえば、金額指定で売買できなかったり、分配金再投資ができなかったり、といった部分です。

また、上記モーニングスターの記事では触れられていませんが、日本株式クラス(TOPIX・日経225)以外のETFには「市場価格と基準価額の乖離」がつきまとっています。ETFの価値(基準価額)よりも、市場で売買される価格(市場価格)が、妙に割安だったり割高だったりするのです。それが無視できないレベルで大きくなったり小さくなったりを繰り返しています。過去には4~5%もの乖離をしていた時期もあります。

国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」(2017年10月)、低位安定で推移。このまま冬を乗り越えられるか? - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)

もし、この乖離が大きいと、自分が売買したい時に、フェアな価格で取引ができない恐れをいだきながらの運用になってしまい、不安です。インデックスファンドは仕組み上、必ず基準価額どおりで売買することができます(というより、市場価格というものが存在ない)。

しかし、今まで国内ETFはインデックスファンドに対して圧倒的な低コストを誇っていたため、インデックスファンドとETFは、そのコスト水準と利便性で、一長一短の「良い勝負」を演じてきました。

ここへ来て、インデックスファンド側の低コスト化が進んだことにより、相対的に国内ETFの優位性が薄れつつあります。上記モーニングスターのコラムに、投信と国内ETFの最安コスト比較が掲載されています。

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(出所:モーニングスター [ アナリストの視点(ファンド) もう一つのコスト競争で異変、“投信”VS“ETF”  2017-11-09]


インデックスファンドと国内ETFはコスト水準で差がなくなってきたことに加えて、一部の資産クラスではまったく同等か、むしろインデックスファンドの方が国内ETFよりも低コストな「逆転状況」が見て取れます。

国内ETF市場に関しては、来年2018年からマーケットメイカーによる裁定が促進される「マーケットメイク制度」が導入される予定と聞いており、乖離問題が緩和される見込みもあるのですが、国内ETFは相当苦しい局面に追い込まれつつあるように私には見えます。

関係する証券取引所や運用会社の努力も見ているだけに、なんとかしてくれるのではないかという期待もありつつ、実態的には、インデックスファンド vs 国内ETFの戦いの行方は、インデックスファンドの優勢側に変化ありといったところでしょうか。

もちろん、国内ETFにはインデックスファンドと同じ長期的なバイ&ホールド目的だけでなく、空売りも含めた短期的なトレード目的でも使えるという面もあります。インデックスファンドとの勝負だけで、存在意義が決まるわけではないと思います。

ただ、短期トレードに活用するとしても、割高でも割安でもない適正価格である方が使いやすいのは言うまでもありません。

国内ETFは、市場価格と基準価額の乖離解消と、コスト水準の引き下げの両面からがんばってほしいと思います。


P.S
海外ETFはコスト水準やバリエーションで、国内ETFやインデックスファンドをぶっちぎっており、少し話が違うのでまたの機会に。

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Posted by水瀬ケンイチ