国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」(2018年3月)、新興国株式の1681がより酷く乖離

水瀬ケンイチ

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個人投資家の期待を集めながらも、「市場価格と基準価額の乖離」の大きさが課題と言われてきた国内ETF。

海外資産クラスの主要銘柄の乖離率について、2018年3月の状況をチェックしてみます。



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日興 上場MSCIコク株 (1680) +0.69%
日興 上場MSCIエマ株 (1681) +2.44%
MAXIS 海外株ETF (1550) +0.38%
野村 NYダウ30種ETF (1546) -0.01%

3月はウォッチ銘柄のうち新興国株式ETFの1681が、先月2月に引き続き個人的許容範囲の±1.0%におさまらず、大きく乖離してしまいました。2か月連続ビョーーーンと大幅に上ブレしてます。しかも月平均でこれです。

1681の +2.44% という乖離水準は、私が記録をしてきたなかでは7年前の乖離水準と同等です。

仮に運用コストがインデックスファンドより0.1%安いからと国内ETFを選んだ投資家がいたとします。買った時点で2.44%割高に買うということは、インデックスファンドに基準価額で投資した他の投資家に、運用コストの差(年0.1%)で取り返すためには、単純計算で24年以上もかかってしまうことになります。

割高・割安をリアルタイムで示す頼みの「iNAV」も、海外資産に投資する国内ETFについては非対応のため、投資家が売買する時には、割高・割安が判別がつきません。そんななかで、時おり特大級の乖離をするようの状況だと、国内ETFで投資するデメリットが大きすぎます。

ただ、東証の「マーケットメイク制度」(取引所がマーケットメイカーにインセンティブを設定し、常時気配提示を義務付ける制度)が導入されれば、国内ETFの乖離が小さくおさまって良くなるのではと期待します。東証の発表によると、実施時期は2018年中頃を目途としています。

国内ETFはここで踏ん張らないと、少なくとも積み立て投資家にとっての存在意義を失いかねない状況のように私には見えます。

投資家が安心して、買う時も売る時も、いつでも適正価格で国内ETFを売買できるように、関係機関はがんばってほしいと思います。


<ご参考>
「なぜ乖離するのか?」「ベンチマークが違うものを比較できるのか?」等々、このシリーズ記事に対してよくあるご質問に対する見解は、以下の過去記事参照のこと。

2012/06/02 日興アセット・東証とのETF勉強会に参加。国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」主因が判明!
2014/01/21 ETFの乖離問題についてのよくある誤解
2014/05/22 東京証券取引所「ETF・ETN市場に関する意見交換会」で指定参加者やマーケットメイカーさんのホンネに迫る
2017/03/22 「ETF懇談会」参加レポート
2017/05/30 金融庁と個人投資家の意見交換会で感じた利害の一致
2017/07/29 金融庁による第4回「個人投資家との意見交換会」はしびれる販売会社編。参加レポートと感じたこと

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Posted by水瀬ケンイチ