「勉強不要の投資デビュー」論争についての手打ち案のご提案

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先日、「勉強不要の投資デビュー」をすすめるFP(ファイナンシャル・プランナー)からの水瀬名指し批判への反論記事を書きました。

「勉強不要の投資デビュー」という珍妙な意見を熱弁するFPへの反論 - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)

これに対して、くだんのFPからエクスキューズのコラムが届きました。

※予め申し上げておきますが、当ブログ記事で取り上げるFP山崎俊輔氏(以降、山俊氏)は、一緒にお仕事をしたこともある優秀な人物であり、サッカーやアニメなど個人的趣味も合う仲の良い友人です。一種の「プロレス」だと思ってご笑覧ください。


投資デビュー「卵が先か鶏が先か」問題 投資ブロガーとはぐれFPのバトルの結末は?まさかの共闘路線へ?(山崎俊輔) - 個人 - Yahoo!ニュース 投資デビュー「卵が先か鶏が先か」問題 投資ブロガーとはぐれFPのバトルの結末は?まさかの共闘路線へ?(山崎俊輔) - 個人 - Yahoo!ニュース


山崎俊輔氏(以下、山俊さん)がコラムタイトルで、「鶏が先か卵が先か」問題と言うからには、投資デビューを境にその前に勉強するか、その後に勉強するかの違いはあろうとも、いずれかのタイミングで投資の勉強は必要であると認めたことを示していると思います。

私の主張は「勉強をほとんどしない投資デビューは、デビューしないことよりベター」ということにつきます。

それは水瀬さんの言う「きちんと勉強をしてから投資デビューをしたほうが、勉強をほとんどしない投資デビューよりベター」なことのさらに下の話をしているだけなのです。

この2つの論説はひとつの式に合体できます。

「A:きちんと勉強をしてから投資デビュー」>「B:勉強をほとんどしない投資デビュー」>「C:投資デビューもせず勉強もしない」

このうち水瀬さんは「A>B」論を、私は「B>C」論を言っているような感じです。そして両者も「A>C」については同意しています。

分析すればするほど、両者の見解はほとんど隣接しているような感じがしてきました。

投資デビュー「卵が先か鶏が先か」問題 投資ブロガーとはぐれFPのバトルの結末は?まさかの共闘路線へ?(山崎俊輔) - 個人 - Yahoo!ニュース


上記のコラムの引用を読むと、山俊さんとて、なにもずっと勉強しなくてもよいと考えているわけではないということがわかり、胸をなでおろしました。

「勉強不要の投資デビュー」とイキってしまったのは、山俊氏が世間の耳目を集めたくてつい筆が滑っただけだと思いましたが、その裏には、「勉強をほとんどしない投資デビューは、デビューしないことよりベター」というお考えがあったとのこと。

本当は、「国は投資デビューについて政策的にもっと強制を効かせる選択肢を取るべきだ」と書きたかったとも告白しています。

それが国民の自由な権利行使を制限する面もあることから、国民の反発必至で現実的ではないとして、苦渋の選択として「勉強不要の投資デビュー」をすすめる記事を書いたということです。

私が「カジュアルに投資デビューしちゃえ」という背景には、政策や仕掛けをまじめに考えても、やっぱり数千万レベルの証券投資口座の開設を国民に自発的に行わせることは難しいだろう、と考えていての発言であったりするわけです。

自分の意思で口座開設を手続きしなければならない以上、とにかくやる気を止めてはいけない、というわけで「適当な『カジュアル』発言」というより「苦渋の『カジュアル』発言」であるわけです(←なんか政治家の発言みたいになってきた)。

投資デビュー「卵が先か鶏が先か」問題 投資ブロガーとはぐれFPのバトルの結末は?まさかの共闘路線へ?(山崎俊輔) - 個人 - Yahoo!ニュース


なんとも苦しいピッチングですが、言わんとしていることはだいたい伝わります。

勉強してから投資を始めましょうという正論をいくら言っても、言われて素直に勉強する人は限られていて、その他大勢はまったく投資をしないから、次善の策として、「勉強なしでデビュー」と言ってでもまずは投資を始めてもらいさえすれば、そのなかで自発的に勉強をする人が出てくるだろうから、何もしないよりはベターだ、ということだと思います。

まあ、そういうことなら、私も8割くらいは理解できます。これで手打ちとしたいところです。

しかしながら、ここで山俊さんと私が安易に手打ちにしてはいけない理由が、たったひとつだけあります。

それは、

お金のことに関しては、世の中には想像もつかないおにぎりがたくさんいる

からです。

(なお、「バカ」という言葉はインパクトが強すぎて語弊があるので、「おにぎり」と言い換えてお送りしております)

しかも、おにぎりな彼らは少数勢力ではなく、庶民の大半を占める規模をほこります。それを無視して、安易に広くあまねく全員に「勉強しないで投資デビュー」とすすめてしまうことは危険すぎるのです。

おにぎりと言っても、世の中の大半の人たちは真面目に働き、人間的にも善良な人たちです。むしろ、こんなくだらない投資論争でインターネットのリソースと時間を無駄に浪費している私と山俊さんこそ、人間的には幼稚なおにぎりと言えましょう。

ただ、こと、お金のことに関してだけは、世の中の大半の人たちは、悲しいまでにおにぎり過ぎます。

今の日本では、小中高と学校へ行って、毎回テストで満点を取ってオール5を取っても、お金に関する教育を受ける機会がまったくないため、大人になってもお金に関してはおにぎりなのが普通なのです。したがって、会社でバリバリ昇進していたとしても、お金に関してだけは、ずっとおにぎりのままという信じられない状況が続いています。

実例として、宝くじ売り場に殺到する人たちがいます。宝くじ100円から胴元のテラ銭を除いたリターンの期待値は約50円しか残りません。これを購入者同士で奪い合うわけです。期待値は50%と言い換えることができます。

ラスベガスのルーレットの期待値は 95%、パチンコは 97%、カジノでもっとも人気のあるバカラの期待値は 99%だ。競馬などの公営競技でも期待値は 75%ある。期待値が 50%を下回る宝くじやサッカーくじは、世界でもっとも割の悪いギャンブルだ。

臆病者のための億万長者入門 (文春新書)


ギャンブルの世界でも最も割に合わないのが日本の宝くじなのです。だから、「宝くじは愚者の税金」と言われています。しかし、たくさんの人たちが、今日も売り場に行列をなしています。

株式投資の期待リターンは105~106%くらいと言われています。そもそも期待値がマイナスのギャンブルとは違い、期待値がプラスなわけです。しかし、彼らは期待値というものをまったく理解していません(しようとすらしません)。

一部上場の株式会社で、素晴らしい業績をあげて偉くなった部長クラスでも、「うちの株価が暴落しているけど、俺は投資していないから関係ないや」などと言い出す始末です。株式会社とその利益が誰のものであるか(正解は株主のもの)をまったく理解していません(しようとすらしません)。

たとえ投資家を自認している人でも、投資信託の経費率である「信託報酬」のことを、報酬という語感からか、「払うもの」ではなく「もらうもの」だと認識している投資家が、ヤフー知恵袋を大いに賑わせたこともありました。彼女は投資信託の手数料について知りません。

それどころか、お金の必要に迫られると、自分の銀行口座の預金額と、消費者金融(アコムやアイフルなど)の借入限度額の区別すらつかなくなってしまう人たちがたくさんいます。消費者金融のローン地獄に落ちた人たちは口を揃えて、「借入限度額が増えるという通知をもらうと、使えるお金が増えてうれしい」と言うそうです。

今まで一度も習っていないことを知らないのは仕方ないので、おにぎり扱いされるのは心外だというご意見はごもっともです。

しかし、「学校で習っていない」というのは、市場では言い訳になりません。前回の記事「「勉強不要の投資デビュー」という珍妙な意見を熱弁するFPへの反論」でも書いたとおり、市場は安全な学校や公園ではなく、外国法人や証券会社、生損保など生き馬の目を抜くプロがひしめく「戦場」なのです。

おにぎりが転がりこめば、またたく間に食われて養分となってしまいます。(あれ、上手いこと言った感じになってる?)

エリートで都内の一等地に住む山俊さんは、市場の厳しさは十二分にご存知かもしれませんが、世の中の一般的な庶民のおにぎりっぷりは、あまり身近ではなく、ご存じないのかもしれません。

なんなら、今度、私が住む蒲田の立ち飲み屋にお連れして、今まで山俊さんが見たこともないようなおにぎりな世界をお見せしましょう。

おっさん「今日は競馬で勝って200円が350円になった。これでもう1杯飲めるで~~」
山俊さん「こ、こいつらに投資なんかやらせちゃあかん……」

と実感されることと思います。

山俊さんの手打ちコラムには8割がた賛成ではあるものの、まわりを見渡すとやはり、私は「勉強なしで投資デビュー」とは言えませんし、お金に関して悲しいまでにおにぎりな人にまで、無理やり投資をさせるべきだとも思いません。

「自分が理解できないものには投資しない」のが鉄則です。やりたい人が勉強して理解できれば始めればよいと考えます。

一方、「数千万レベルの証券投資口座の開設を」という世界を目指す山俊さんは、「勉強なしで投資デビュー」などとベター案に逃げないで、FPとして堂々と、本来ベスト案だと考えている「国は投資デビューについて政策的にもっと強制を効かせる選択肢を取るべきだ」という意見を主張してほしいと思います。

もしかしたら、国が本気になれば、私が諦めている国民皆保険ならぬ国民皆投資家という世界も開けるのかもしれません。国民全体のマネーリテラシーが高まれば、人々が投資家目線でものごとを判断するようになり、より良い世の中になるのかもしれません。

奇しくも、今年2018年から、「つみたてNISA」という投資デビューに格好の制度が始まっています。

金融庁によって厳選された低コスト投資信託に少額ずつ積み立てるという投資方法しか認められていないかわりに、利益に対する税金が全額非課税という特大メリットを用意してくれています。

これは、たとえ勉強なしで始めたとしても、方向性として大きな失敗をしづらい仕組みになっています。また、手間がかからないため、後から勉強する時間も確保しやすい仕組みにもなっています。

以上のことから、長々と続いてきたこの投資デビュー論争の落としどころは、

「山俊さんの本を読んでから投資デビュー」
もしくは
「まずつみたてNISAでデビューして実践しながら勉強」

あたりではないかと思います。

また、非課税制度つながりでいえば、企業型確定拠出年金を導入する企業が着実に増えていますし、個人型確定拠出年金(iDeCo)の対応者が拡大して、商品も低コスト化して良くなっています。

投資を始めるための環境はどんどん良くなってきています。世の中のFPの方々には、ぜひ、雑な割り切りではなく、理にかなったまっとうな投資デビュー方法を個人にすすめ、そして、継続的に勉強できるような情報発信をしていってほしいと思います。

山俊さんのコラムにもあったように、両者に共通の敵があるとしたら「おかしな投資情報」だという話は私も完全に同意です。

市場の懐は深いのでいろいろな投資法が成り立つと思います。自分が良いと考える投資法について研究して情報発信してきましたが、理論的に明らかにおかしい情報には、「No」を突きつけていきたいと思います。

たまには、このような「プロレス」スタイルを取ることもあるかもしれませんが、今後ともお付き合いいただけたら幸いです。



※繰り返しになりますが、当ブログ記事で取り上げるFP山崎俊輔氏(以降、山俊氏)は、一緒にお仕事をしたこともある優秀な人物であり、サッカーやアニメなど個人的趣味も合う仲の良い友人です。一種の「プロレス」だと思ってご笑覧ください。

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