タクティカル・アセットアロケーション(戦術的資産配分)の向き・不向き

水瀬ケンイチ

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投資家のなかでも好きな人は大好きな「タクティカル・アセットアロケーション」(戦術的資産配分)に関するデータが、モーニングスターに掲載されていたので見てみます。



モーニングスター [ アナリストの視点(ファンド) 「万能」ではない戦術的資産配分、米国での実績は?  2018-05-31] モーニングスター [ アナリストの視点(ファンド) 「万能」ではない戦術的資産配分、米国での実績は?  2018-05-31]


バランス型ファンドの資産配分を、「経済環境や市場動向などに応じて機動的に変更する」(モーニングスターより)のが、タクティカル・アセットアロケーション(戦術的資産配分)です。

これは昔からある戦略で、時おり話題になって投資家の期待を集めては、いつのまにか話題から消えていく。個人的にはそんな印象です。(ごめんなさい)

米国のデータですが、固定資産配分のバランスファンドとタクティカル・アセットアロケーション(戦術的資産配分)のバランスファンドを、過去10年間で比較したデータが興味深いです。

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※ ドルベース
※ 期間:2008年4月末~2018年4月末
出所:モーニングスター作成


上記のモーニングスターのコラムから引用したグラフを見ると、タクティカル・アセットアロケーション(戦術的資産配分)のバランスファンドは、2008年のリーマン・ショックの下げ相場では下落を軽減していましたが、その後の上げ相場で固定資産配分に遅れを取りはじめ、10年後には、株式比率15~30%という低リスクな固定資産配分にも負けてしまっているという結果です。

もちろん、相場の動向によって結果は変わると思います。対象期間の前半が上げ相場で、後半が下げ相場という形であれば、また違った結果になったと思われます。

でも、タクティカル・アセットアロケーション(戦術的資産配分)のバランスファンドは、モーニングスターのコラムにあるように、決して「万能」ではなく、向き・不向きがあることは、知っておいた方がよいと思いました。

下げ相場に強く(下落を軽減)、上げ相場に弱い(上昇についていけない)。

また、タクティカル・アセットアロケーション(戦術的資産配分)のバランスファンドは、運用にひと手間かけているため、シンプルな固定資産配分のバランスファンドと比べて運用コストが高いことが多いです。

「経済環境や市場動向などに応じて機動的に変更する」と聞くと、なんとなく良さそうな気がしますが、向き・不向きがあるその運用方法は、運用コストに見合うものなのかどうかを考える必要がありそうです。

下げ相場に備えて運用資産のリスクを下げたいのであれば、債券クラスの配分比率を高めたり(グラフの赤い折れ線のように)、投資金額自体を抑えるだけで、コストをかけることなく簡単に実現できるのですから。

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Posted by水瀬ケンイチ