国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」(2018年7月)。東証マーケットメイク制度開始でどうなったか?

水瀬ケンイチ

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個人投資家の期待を集めながらも、「市場価格と基準価額の乖離」の大きさが課題と言われてきた国内ETF。

海外資産クラスの主要銘柄の乖離率について、2018年7月の状況をチェックしてみます。この7月から東証の「マーケットメイク制度」(取引所がマーケットメイカーにインセンティブを設定し、常時気配提示を義務付ける制度)が導入された結果、どうなったのか?

いつものウォッチ銘柄の乖離率を見てみましょう。



海外資産クラスの主要銘柄の乖離率について、2018年7月の状況をチェック

日興 上場MSCIコク株 (1680) -0.14%
日興 上場MSCIエマ株 (1681) +1.11%
MAXIS 海外株ETF (1550) +0.06%
iシェアーズ・コア MSCI 先進国株 (1657) +0.35%
iシェアーズ・コア MSCI 新興国株 (1658) +0.35%


7月のウォッチ銘柄の乖離率は、おおむね個人的許容範囲の±1.0%以内におさまっていましたが、「日興 上場MSCIエマ株」(1681)だけは、+1.11% と乖離が大きくなっています。

先月は、「iシェアーズ・コア MSCI 新興国株」(1658)だけが、+1.02% と乖離が大きかったので、同じ資産クラス(新興国株式)の中で、乖離率が大きな銘柄が入れ替わってしまった形です。

東証の「マーケットメイク制度」が導入されれば、国内ETFの乖離状況がさらに小さくおさまって良くなるのではと期待していました。ウォッチ銘柄はいずれも、マーケットメイク対象銘柄だったこともあり、特に期待していました。

しかし、ウォッチ銘柄に関しては、1ヶ月の平均で見る限り、乖離率にそれほど劇的な影響があったようには見えませんでした。むしろ、7月に悪化してしまった銘柄もあるくらいでした。ちょっとガッカリ……。

個人的なウォッチ銘柄に限定せず、国内ETF全体ではどういう影響があったのか、東証マネ部に検証記事が掲載されていました。

ETFマーケットメイク制度スタート!制度開始後1か月間の検証 | 東証マネ部! ETFマーケットメイク制度スタート!制度開始後1か月間の検証 | 東証マネ部!



上記記事を見ると、日本株式クラスのETFで、特に「高配当指数」と「業種別指数」を対象指標とするETFにおいて、売買代金の増加が見られました。「高配当指数」のETFは売買代金 121% 増、「業種別指数」は 106% 増となったそうです。

f4a1b0aed5dc02442c433030ff24c031.png(出所:ETFマーケットメイク制度スタート!制度開始後1か月間の検証 | 東証マネ部!


上記の東証マネ部の記事では、「ニーズが高かったこれらのカテゴリーのETFを中心に流動性が向上し、実際の売買も増加する傾向が表れ始めた」と分析されていました。

流動性の向上。日本株式クラスだけでなく、先進国株式クラスや新興国株式クラスには、その恩恵がまだ回ってきていないだけなのか、あるいは回ってこないのか。

もっとも、「マーケットメイク制度」自体の認知度はまだまだ低いでしょうし、流動性向上の影響が、乖離率の低下という目に見える形で出てくるようになるまでは、少々時間がかかるものなのかもしれません。

「マーケットメイク制度」の影響を含め、今後も、海外資産クラスの主要国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」に注目していきたいと思いますが、うーむ……🤔


<追記> 2018/08/08
読者のかたからご指摘いただき、老ブログ記事のウォッチ銘柄は、マーケットメイカーが付いていない状況ということがわかりました。どうりで変わり映えしないはずですね…。

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Posted by水瀬ケンイチ