公的年金を運用するGPIFの運用は学べることがいっぱい

水瀬ケンイチ

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公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が2017年度運用報告を発表しました。収益額プラス10.1兆円、収益率プラス 6.90% ということで、好調な年度だったことがうかがえます。



NIKKEI STYLE に、GPIFの運用から学ぼうという記事が掲載されていますので、取り上げさせていただきます。

GPIFに学ぶ長期投資 鉄則は分散とリバランス|マネー研究所|NIKKEI STYLE GPIFに学ぶ長期投資 鉄則は分散とリバランス|マネー研究所|NIKKEI STYLE


GPIFの運用資金は大半がバイ&ホールドのインデックス運用されており、かねてより、私たち個人投資家のインデックス投資の参考になると考えてよく見ています。

上記記事では、2014年10月までの旧・資産配分と、2014年11月以降の新資産配分で、バックテストのリターン推移を比較しています。実際のリターン実績はその中間くらいであることがわかります。

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(出所:GPIFに学ぶ長期投資 鉄則は分散とリバランス|マネー研究所|NIKKEI STYLE

国内債券クラスが60%だった旧・資産配分に対して、新・資産配分では、国内債券クラスを35%まで下げて、代わりに国内外の株式クラスを増やしています。

そのおかげで、上げ相場の波に乗り、新・資産配分ではリターンが大きくなっているのがわかります。その分、リスク(ボラティリティ)も大きくなり、下げ相場での下げ幅も大きくなっています。

保有資産のリスク水準を大きく左右するのは、国内債券(日本債券)クラスです。意外と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、国内株式と先進国株式をどういう割合で組み合わせるかよりも、国内債券をどれくらいの割合にするかの方が影響が大きい。

<ご参考>
【第5回】 保有資産の値動きの9割を決める資産配分の「肝」は意外にも日本債券だった! - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)

私の保有資産の資産配分は、国内債券クラスが約30%なので、GPIFの新・資産配分よりも少し高いリスク水準になっていることになります。

さらに、上記記事では、国内債券クラスについて、「ちなみに国内債券の金利は現在ほぼゼロだ。今後もしも金利が上がって債券の価格が下がれば損失になる。当面は、価格変動リスクのない預貯金で代替するのが無難かもしれない」と指摘しています。

ここでも、同様の理由から、国内債券クラスを元本の価格変動リスクのない「個人向け国債」にしている私の考え方と合致していて心強いです。

上記記事では、「リバランス」の重要性も指摘しています。GPIFは想定通りの資産配分になるように淡々とリバランスを実施しており、2008年のリーマン・ショックでも、暴落した株式を売却せずに、逆に買い増しして資産配分を堅持してきました。

そのおかげで、株式を安く仕込めたことで、その後の堅調な運用にひと役買っているわけです。

私自身も、リーマン・ショックの時には、積み立てたそばから資金が溶けていくような暴落相場の中で、歯を食いしばって積み立て続け、資産配分が崩れたら機械的に年1回のリバランスを実行してきました。

他にも、GPIFの「ESG投資」への取り組みなども、今後の参考になります。

日本でまともなインデックス投資ができる環境(繰り上げ償還しないインデックスファンド、安易に取扱廃止をしない販売会社など)が整ってきたのは、まだここ10年くらいのことです。ですから、物理的に、まだまだベテランのインデックス投資家が少ない状況です。

GPIFの運用は、日本では貴重なインデックス投資家の長期実践記録として重宝していますし、今後も注目していきたいと思います。

願わくばマスコミ諸兄も、公的年金について、運用で損失が出た時ばかり、「私たちの年金が○○兆円の大損!」「消えた年金を調査せよ!」などと張り切って騒ぎ立てるのではなく、上記記事のように、運用が好調な時にも、個人投資家の資産運用に役に立つような情報を取り上げてほしいものです。

ほんと、公的年金を運用するGPIFの運用は学べることがいっぱいです。


<ご参考>
管理・運用状況 | 年金積立金管理運用独立行政法人


<ご参考 2>
まだまだ希少な長期インデックス投資家のひとりとして、実践記録を本に盛り込んでまとめたのが拙著「お金は寝かせて増やしなさい」です。インデックス投資の基本的方法に加えて、灼けつくようなリーマン・ショックの実体験を含めた長期インデックス投資実践記を、生々しく書き綴りました。ご興味があればどうぞ。


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Posted by水瀬ケンイチ