「何かを表現したい」という欲求の塊みたいな人たちで飲むのは途方もなく楽しい!

水瀬ケンイチ




先日、投資漫画「サクラ姫ネリマ証券」の作者スダさんと、投信ブロガーのセロンさんと3人オフ会をしてきました。控えめにいって、ものすごく刺激を受けました。



スダさんを初めて知ったのは、むかーし昔、セロンさんが飲み会でちら見させてくれた「サクラ姫ネリマ証券」の1巻でした。かわいい絵柄ですが骨太の投資理論を学べるハイクオリティな本でした。

よくある投資本の通り一遍の説明ではなく、株式投資の本質、いわば「ゲームのルール」を漫画の登場人物たちの会話や行動でていねいに描いていました。

当時、既に100冊以上の投資本を読んでいた私にとっても、類書がないと感じるオリジナリティ。でも、この漫画が買える場所が「コミティア」(コミケじゃないよ)と聞いて、それ以上は腰が引けていました。

そして月日は流れ、いつしか私はコミティアを知り、初めてスダさんとお会いしたのも当然コミティアの会場でした。ブースで何度かお会いしているうちに、「今度飲みましょう」という話になり、先日実現したというわけです。

前置きが長くなりましたが、オフ会では4時間以上ノンストップで投資トークでした。

それも、「いったいどうしたら投資のことを世の中にわかってもらえるか」「個人が投資家として独り立ちできるために必要なこととは」「より広く伝えるにはどうすればよいか」「より深く伝えるにはどうすればよいか」といったテーマで、熱量MAXで持論をぶつけ合って議論しまくるという展開でした。

話の中でよくわかったのは、スダさんは「クリエーター」であるということです。

ネリマ証券は漫画のなかでの説明シーンにオリジナリティがあふれているのですが、例えば、冒頭のアイキャッチ画像の漫画(掲載許諾済み)では、「リスク」を「台風の予想進路図」で例えて説明するなんて見たことない! いったいどこからその発想は生まれてくるのか。

伝えたくて伝えたくて仕方がないものが己の中に存在している。それを満足いく形で表現するために、朝から晩までそのことだけを考え、描いては捨て、描いては捨て、修行のような試行錯誤を繰り返す。

そこにあったのはクリエーターの孤独な姿であり、私たち読者の目にとまるのは、そんな途方もない時間と努力の結果、無数の試作品との比較検討をくぐり抜けようやく産み出された最優秀作品のみといいます。決して、ハイクオリティな作品が思いつきでポンポンできたのではないということがよくわかりました。

私は仕事のかたわら、何年かに一度(2010年、2015年、2017年)、半年くらいの土日祝祭日をすべて投げうって投資本を執筆してきて、それなりに大変だったと思っていましたが、それとは比べ物にならない裏舞台を見た気がします。

だからこそ、自分の作品がどう見えるか、どう伝わっているのか、なにか改善点はないのか、というフィードバックがほしいと盛んに仰っていました。セロンさんと私は、バンバン感想と思うところを伝えました。

話はそれだけでおさまらず、本当に伝えたいことを伝えるためには、文章、マンガ、というメディアだけでなく、音楽や動画といった他のメディアも活用していったらどうかという話にもなりました。

実は昔からいくつかの構想はあり、時間ができれば挑戦したいと考えています。来たるべき時に備えて、いまは構想を練り練りしています。

そんなこんなで、あっという間に閉店時間。隣のテーブルから見たら、「このラフな格好のおっさんたちは、いったい何を熱くなって話しているんだ???」「どう見ても金融マンじゃないよな???」と訝しがられたであろう謎の集まりになっていました。まだまだ語れる感じがしましたが、電車があるうちにお開きとなりました。

そこにいた個人投資家たちは、なぜ自分を削ってまで何かを伝えようとするのか。べつに投資が仕事でもないのに、不思議に思うかもしれません。

これはもう投資に限った話ではなく、「何かを表現したい」という欲求の塊みたいな人種なんだろうと思います。大いに刺激を受けました。





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Posted by水瀬ケンイチ