いざという時に投資信託が解約できない!? これはちょっとした恐怖……
水瀬ケンイチ

ふつうのオープン型の投資信託は、いつでも解約できるものだと思っていましたが、解約できない事例が出ているようです。
トルコリラの急落を受け、日本で販売されているトルコの債券や株式を組み入れた投資信託が大幅に値下がりしている。前年末比の下落率が5割を超えるケースもあり、トルコ関連投信全体では資産額が約2000億円目減りした。地理的には遠く離れたトルコ発のショックが、日本の個人投資家に打撃を与えている。
「トルコの通貨や債券の売買が困難で、必要な取引ができない」。大和証券投資信託委託や三菱UFJ国際投信は、リラ建て債券で運用する投信の購入と解約申し込みを一時停止した。リラ急落の影響でトルコの金融市場が混乱し、売買注文を出しても取引が成立しにくくなっているためだ。
(トルコ投信、大幅値下がり 資産、2000億円に半減 個人に打撃、解約停止も :日本経済新聞より)
上記の日本経済新聞によると、トルコの債券に投資する投資信託が解約停止になっており、理由は、「リラ急落の影響でトルコの金融市場が混乱し、売買注文を出しても取引が成立しにくくなっているため」とのこと。
過去に、JPMザ・ジャパン(旧JFザ・ジャパン)など、人気が出すぎて購入の申込みを一時停止する投資信託は見たことがあります。これは投資家にとって直接の損失にはならない(機会損失と考えることも可能ですがそれは割愛)からあまり問題視されません。
しかし、解約したい時に解約できないとなると話は別です。
特定の国や銘柄に集中投資しているようなニッチな投資信託の場合、基準価額が暴落している時に、「しまった!」と思って逃げようとしても逃げられず、損失が膨らんでいくのをただ指をくわえてみているだけという事態がありえます。
今回、大和投信が購入と解約を停止した「トルコ・ボンド・オープン」は、8月13日の1日だけで基準価額が22%も下落。前年末比では53%安と半値以下に下落している状況で、8月14日から解約停止となっています。
自分の資産なのに、いざという時に自分の意志で解約できない。これは、自分が破産した会社でもないのに、勝手に資産凍結されてしまっているようなもので、ちょっとした恐怖です。
もちろん、今回のケースはレアケースではあると思います。でも、特定の国や銘柄に集中投資するようなニッチな投資信託には、もの珍しさも手伝って興味を引かれたとしても、安易に飛びつかない方がよさそうです。
長期、分散、低コスト。王道でいきましょう。
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