「下手くそタイミング投資家」がファンドのインベスターリターンを押し下げる

水瀬ケンイチ

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当ブログでは主にインデックスファンド・ETFの積み立て投資(バイ&ホールド)について書いていますが、タイミングを見て安い時に買って高い時に売ってリターンを得ようとする「タイミング投資」も、投資法としてはあります。

しかし、タイミング投資は、世の中で思われているよりも実際ははるかに難しいというお話です。



なぜ個人投資家のリターンは市場平均を下回るのか | トウシル 楽天証券の投資情報メディア なぜ個人投資家のリターンは市場平均を下回るのか | トウシル 楽天証券の投資情報メディア


上記トウシルのコラムは、ファンドの投資家が得たリターンと、インデックス(S&P500)を比較したデータが掲載されています。

ファンドのリターン(トータルリターン)はバイ&ホールドし続けた場合のリターンですが、ファンドの投資家が実際に得たリターンのことを「インベスターリターン」といいます。

インベスターリターンは、投資家が実際に得たリターンが売買のタイミングによって異なるため、ファンドに資金が流入した時期の比重を高く、資産が流出した時期の比重を低くして算出しています。ファンドでタイミング投資をした人たちの影響を加味したリターンとも言えると思います。

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(出所:“Quantitative Analysis of Investor Behavior, 2016,” DALBAR, Inc. www.dalbar.com)

なぜ個人投資家のリターンは市場平均を下回るのか | トウシル 楽天証券の投資情報メディア より


1年(12ヶ月)、3年、5年、10年、20年、30年、どの期間を見ても、インベスターリターンはインデックス(S&P500)を大幅に下回っています。

ここからは、ファンドの投資家の「高い時に買って、安い時に売った」という姿が伺えます。

本当は、タイミング投資をやるからには、安い時に買って、高い時に売るのが良いに決まっているのですが、現実は、その逆になっています。

「余計なことをしないでバイ&ホールドしていればよかったのに…」という結果です。

今までは米国のデータでしたが、日本のファンドでも同じような傾向が見て取れます。

モーニングスターで、ファンドごとのインベスターリターンを見ることができます。たとえば、輝かしいパフォーマンスでテレビでも取り上げられ、人気のアクティブファンド「ひふみプラス」のインベスターリターンを見てみましょう。

ひふみプラスの場合
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(モーニングスターより)

青色の棒グラフのインベスターリターンは、灰色のトータルリターンの6~7割程度しかありません。これは、平均的に見れば、投資家が実際に受け取ったリターンは、運用報告書に書いてある素晴らしいトータルリターンの6~7割程度だということです。

せっかく運用会社がうまい具合に運用しているのに、投資家が余計な自分の思惑で、ファンドを売ったり買ったりしてしまったばかりに、結果的に高い時に買って、安い時に売って、リターンを下げてしまっているのです。

こちらでもやはり、「余計なことをしないでバイ&ホールドしていればよかったのに…」という結果です。

ちなみに、インデックスファンドの場合は、積み立て投資家が多いからか、人気がないからかかわかりませんが、トータルリターンとインベスターリターンに比較的差がないケースが多いようです。

eMAXIS TOPIXインデックスの場合
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(モーニングスターより)

eMAXIS 先進国株式インデックスの場合
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(モーニングスターより)

eMAXIS NYダウインデックスの場合
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(モーニングスターより)

インデックスファンドでもアクティブファンドでも、純資産の流出入が激しいと、「下手くそタイミング投資家」が大挙して押し寄せ、ファンドのインベスターリターンを押し下げてしまうのかもしれません。

自分の思惑で余計なタイミング投資をせず、バイ&ホールドを貫き通すと、運用報告書やモーニングスターで示されている、ファンドのトータルリターンそのものを享受することができます。

もちろん、タイミング投資が上手いかたも、中にはいらっしゃると思いますので、そういうかたはどんどんタイミング投資で儲けていただければ良いと思います。

ただ、平均的には、タイミング投資でファンドのリターンを落としている投資家が多いということは、知っておいて損はない知識だと思います。

これは、自分の投資手法と違う投資法をdisる云々みたいな矮小化された話ではないし、よくあるインデックス vs. アクティブ論争すら関係ありません。

当ブログ記事で言いたいことは、ファンドのリターンにおいて、投資家のうまくないタイミング売買によって実際のリターン低下が現にデータに表れているので、タイミング投資は簡単ではないと認識したうえで、お互いに気をつけて運用しましょうという話です。


※当ブログ記事は、タイミング投資の難しさについて述べたものであり、「バイ&ホールド」すれば必ず儲かると述べているわけではありません。言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。

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Posted by水瀬ケンイチ