国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」(2018年9月)。ウォッチ銘柄全体はまずまずで、iシェアーズ優勢
水瀬ケンイチ

個人投資家の期待を集めながらも、「市場価格と基準価額の乖離」の大きさが課題と言われてきた国内ETF。
海外資産クラスの主要銘柄の2018年9月末までの乖離率について見てみましょう。

1680 日興 上場MSCIコク株 (信託報酬 年0.25%) 乖離率 -0.34%
1681 日興 上場MSCIエマ株 (信託報酬 年0.25%) 乖離率 +0.86%
1550 MAXIS 海外株ETF (信託報酬 年0.25%) 乖離率 -0.28%
1657 iシェアーズ・コア MSCI 先進国株 (信託報酬 年0.19%) 乖離率 +0.16% ※
1658 iシェアーズ・コア MSCI 新興国株 (信託報酬 年0.23%) 乖離率 +0.04% ※
※iシェアーズの2銘柄はマーケットメイク制度対象
2018年9月のウォッチ銘柄の乖離率は、個人的許容範囲の±1.0%以内におさまっていました。
上記のとおり、ウォッチ銘柄のなかでは、iシェアーズの2銘柄が東証のマーケットメイク制度対象銘柄になっています。非対象銘柄よりも乖離率が相対的に小さくなっており、今のところいい形です。
マーケットメイク制度は、東証がマーケットメイカーにインセンティブを設定し、常時気配提示を義務付ける制度で、2018年7月から開始されています。
いまのところ、売買代金の増加という形で効果が出はじめているようです。いずれ「市場価格と基準価額の乖離」の縮小にも役立つはずだと期待しています。
売買手数料面でも追い風です。2018年6月6日より、楽天証券がiシェアーズETF(15銘柄)の売買手数料を0円とする発表をしました。買う時も売る時も、現物取引も信用取引も、1万円でも1億円でも、売買手数料が0円。
<ご参考>
2018/06/01 楽天証券、東証上場のすべてのiシェアーズETFが売買手数料0円に!
投資家がいつでも安心して国内ETFを売買できるように、国内ETFの関係機関にはがんばってほしいと思います。
マーケットメイク制度の影響を含め、今後も、海外資産クラスの主要国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」に注目していきたいと思います。
<ご参考>
「なぜ乖離するのか?」「ベンチマークが違うものを比較できるのか?」等々、このシリーズ記事に対してよくあるご質問に対する見解は、以下の過去記事参照のこと。
2012/06/02 日興アセット・東証とのETF勉強会に参加。国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」主因が判明!
2014/01/21 ETFの乖離問題についてのよくある誤解
2014/05/22 東京証券取引所「ETF・ETN市場に関する意見交換会」で指定参加者やマーケットメイカーさんのホンネに迫る
2017/03/22 「ETF懇談会」参加レポート
2017/05/30 金融庁と個人投資家の意見交換会で感じた利害の一致
2017/07/29 金融庁による第4回「個人投資家との意見交換会」はしびれる販売会社編。参加レポートと感じたこと
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