知らずに買ってしまったダメ商品は、サンクコスト(埋没費用)としてスッパリ切り捨てて未来に目を向けよう

水瀬ケンイチ

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ニッセイ基礎研究所に、「サンクコスト」(埋没費用)についてのレポートが出ています。

サンクコストの呪縛-もったいないから、やめられない? | ニッセイ基礎研究所

サンクコストとは、「既にかかってしまっていて、いまさらとりかえせない費用のこと」(上記レポートより)で、過大視されやすく、人は、サンクコストにこだわり過ぎて、ついつい不合理な判断をしてしまうとのこと。



先日、金融庁主催のイベント「つみたてNISA Meetup 女子部」(該当ブログ記事はこちら)にゲスト登壇した際の懇親会で、ある若い参加者から、「銀行で勧められて積み立てている商品をどうしようか迷っています」と打ち明けられました。

聞けば、某銀行に投資の相談に行ったら「外貨建て保険」を勧められて申し込んでしまったとのこと。本当に、本当に、よくあるパターンです。

銀行では投資未経験者が窓口に来たらまずはこれを売れとでも言われてるかの如く、外貨建て保険を買わされたかたのお話を聞くことが多いです。

幸い、彼女はまだ積み立てはじめたばかりとのことで、このまま外貨建て保険を積み立てるより、非課税の「つみたてNISA」口座で自分で積み立て投資した方がよいのではないかと思い、「つみたてNISA Meetup 女子部」に参加したとのこと。これは素晴らしい慧眼、グッジョブです👍

悩んでいるのは、外貨建て保険を解約すると、解約返戻金が少ししか戻ってこないので損になってしまうということ。それはもったいないので、このまま続けるのも仕方ないかもしれないと、一方では思っているようでした。

まさに「サンクコスト」です。

積立金額や解約返戻金がどの程度のものか詳しく教えてもらったわけではないので、無責任なアドバイスはできません。ただ、「もし自分だったら」という前置きで、「今まで投資した分はスパっと諦めて、今後積み立てる分から、より良い商品に積み立てをすると考えると思います」とお伝えしました。

金融庁の資料を見るまでもなく、長期投資は、コスト(手数料と税金)ができるだけ低い商品で運用することが重要です。

個人的な感覚論で申し訳ありませんが、明らかな商品選択のミスを精算するのに、数万円程度の損で済むのであれば、私ならサンクコストとして切り捨てて、口座と商品を切り替えます。

おそらく、彼女にとって今後20年以上続ける積み立てです。開始初期の商品選択のミスを、何十年も続けてしまうことの方が、取り返しがつかない大きなミスに繋がります。

過去のサンクコストは、頭ではわかっていてもなかなか切り捨てることが難しいものですが、大事なのはこれからです。既にかかってしまったサンクコスト(解約にともなうコストを含め)よりも、今後何十年かかり続けるコストを抑える方がよほど重要です。

よくわからないうちに勧められて買ってしまったダメ商品は、サンクコスト(埋没費用)としてスッパリ切り捨てて、未来に目を向けましょう。未来がある若いかたは特に。


***


以降は完全に蛇足です。

上記ニッセイ基礎研レポートで、サンクコストの例として、サッカーの試合チケットを買ったのに当日大雨だった場合が取りあげられていました。

大雨の中の観戦は壮絶なので、効用を考えてサンクコストとしてチケット費用は捨てて行かない方がよいのに、みんな試合に行きます。かかった費用の分だけ試合を観戦して効用を得ないと損だと考えるからだ、という説明です。

これはサッカーのサポーター心理をまったく理解していない誤った認識だと思います。

サッカーのサポーターは、選手・クラブを応援するためにチケットを購入しており、当日の天気が晴れだろうと雨だろうと雪だろうと関係なく、雨なら雨の装備を、雪なら雪の装備をして、スタジアムに向かいます。目的は快適に過ごすことではなく、選手・クラブを応援することですから。
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Posted by水瀬ケンイチ