週刊東洋経済2018年11月24日号「保険の罠」に恐ろしい業界圧力が垣間見える

水瀬ケンイチ

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いま発売中の週刊東洋経済2018年11月24日号を、とても興味深く読みました。

特集は、「保険の罠 いらない商品すべて教えます」です。保険相談室後田亨氏や生活設計塾クルー内藤真弓氏をはじめとした識者が、生命保険・医療保険・がん保険などの保険商品の必要性について、消費者目線で容赦なく斬っていました。



目次からの引用をご覧いただきましょう。

【第1特集】保険の罠 いらない商品すべて教えます
医療保険、がん保険、介護保険、認知症保険、終身保険、貯蓄性保険、外貨建て保険、変額保険……。あなたは不要な生命保険に入りすぎていないか? 長い人生を考えたとき、役立つのは実は保険より貯蓄。ムダな保険の断捨離の仕方を教えます。

◆日本の社会保障は充実 「生命保険は最小限」が正しい選択
◆日本の売れ筋保険 大半が必要性に疑問 
◆医療保険:公的医療保険が充実し、民間保険の必要性は薄い
◆がん保険:傷病手当金で「がん離職」は避けられる
◆介護保険、認知症保険:30年以上も先を予測した保険は必要か
◆健康増進型保険:わざわざ保険に加入しなくても、自分でできることばかり
◆終身保険:相続対策には有用だが、持ち出し費用も多い
◆貯蓄性保険:預貯金との安易な比較は禁物
◆外貨建て保険:手数料が高く、運用に回るおカネが少ない
◆変額保険:保障と運用の二兎を追うのは難しい
◆トラブル実例集 
(1)メガバンクが売りたがる外貨建て保険
(2)郵便局員が高齢者を相手に保険を売り付ける
(3)大手生保の告知書をめぐる怪
◆誌上診断 「わたしの家庭 保険に入りすぎでしょうか?」

週刊東洋経済 2018年11/24号より)


当ブログで扱っている投資信託では、運用コスト 年0.1%~0.3%の水準でのコスト競争が繰り広げられているのと比べて、売れ筋の医療保険で 30% くらいのコストを取っていると推測される(しかも開示されていない)日本の保険って、いったい何なのでしょう。

社会・組織の構成員同士が互いに助け合う「相互扶助」の精神は素晴らしいと思います。でも、相互扶助に使われる資金は 30% を引いた 70% の部分で行われているということになります。

お金を増やすための投資信託と、いざという時に備える保険では、サービス内容が違います。利用者が払った金額に対して、金融業界側が取る手数料の水準という意味では、同じ土俵に立っているともいえます。

「検討に値する保険は、現役世代が一定期間の死亡に備える『定期保険』『収入保障保険』、長期の就業不能状態に備える『就業不能保険』、ほかは相続対策に使える『終身保険』くらいだろう」(P.24「要注意 売れ筋保険を疑え」より)とあります。

テレビCMで流れているのは、それ以外の医療保険とかガン保険とかばかりなのですが……(汗)

そして、編集部のあとがきに恐ろしいことが書かれていました。

今年1月に第1段となる「保険に騙されるな」という特集を組んだところ、驚くほど多くの反響をもらい、旧知の経営者から「生命保険について無知だったため大損してきたことがわかった」と感謝までされ、今回第2段を届けることになったが、その企画が生損保各社に多大な心配をかけたらしく、業界を代表する企業の広報から東洋経済の記者に「不買呼びかけや広告の引き揚げもありうる」という話があったとのこと。

これは、生損保業界にとって不都合な掲載内容への圧力だと思います。がんばって出版した東洋経済新報社には拍手をおくりたいです👏

私は健康保険には加入していますが、それ以外の民間の保険にはほぼ加入していません。現在、共働きで子どもがいないため当面の保障が少なくてすむという事情があります。

それに、春になるとなぜか社内に入り込み、声をかけてくるきれいなお姉さん(保険のセールスレディ)には、あまりかかわりたくないという思いが強いです。

<ご参考>
2018/04/01 新入社員の皆さんへ、梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーからのメッセージ (2018年版) - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)

東洋経済の記事で「検討に値する保険」と書かれていた保険にさえ、どれにも加入していないので、保険の備えが少なすぎるかもしれません。

ただ、幸いにして、生活費の2年分以上の生活防衛資金と、投資信託・ETF等で運用している資産があります。まとまったお金が必要になる事態になったら、これらを使って対処していけばいいかなと考えています。

もちろん、人によって家族構成や仕事内容次第では、保険が必要なこともあるでしょう。

ただ、保険は長期的に多額の費用を支払うことになります。持ち家に続く「大きな買い物」になるので、必要性を冷静に判断して加入する必要があるなとあらためて思いました。


週刊東洋経済 2018年11/24号[雑誌]

東洋経済新報社 (2018-11-19)
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Posted by水瀬ケンイチ