フィデリティがすすめる出口戦略「持続可能な引き出し率」は何%?

水瀬ケンイチ

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投資における老後の資産取り崩し、いわゆる出口戦略の情報は貴重です。NIKKEI STYLE にフィデリティがすすめる「持続可能な引き出し率」の情報があったので取り上げます。



老後資産を枯渇させない 資産の引き出し方はどう選ぶ|マネー研究所|NIKKEI STYLE

前回の「老後資産は定率で引き出す 75歳以降は定額もあり」では、資産の引き出し方には多くの方法があり、それぞれに一長一短があることを説明しました。今回は老後資産の投資について考えてみましょう。投資は何歳まで続けるべきでしょうか。フィデリティ…


一般的に、資産形成期はドルコスト平均法での「定額」の積み立て投資が推奨されますが、一方で、資産を取り崩しながら運用する資産活用期は、「定率」の取り崩しが推奨されます。

ドルコスト平均法の「定額」積み立ては、相場が安い時にたくさんの口数を買い、相場が高い時には少ない口数を買うことになり、自動的に効率よく購入ができるという特長があります。

ところが、取り崩しの時は「定額」で売却していくと、相場が安い時にたくさんの資産を売却してしまうことになり、自動的に資産の減少を加速させてしまうことになります。

資産減少を加速させないために、取り崩しでは、相場が安い時には少ししか売却せず、相場が高い時に多めに売却することになる「定率」での売却がよいのです。

積み立てる時は定額、取り崩す時は定率」と覚えておくとよいでしょう。

となると。

次に気になるのが、定率の取り崩しは年に何%がよいのかという話です。

拙著「お金は寝かせて増やしなさい」では、「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)ですすめられていた米国での「4%ルール」を紹介しました。

米国と日本ではインフレ率などの経済条件が違うため、日本の場合を考える必要がありました。詳しい計算は本に譲りますが、結果的に、私は日本でも4%ルールを目安に、各自の経済状況に合わせて調整するのがよいのではないかという考えです。

しかしながら。

老後の毎月の取り崩し金額が、変動するのは煩わしい、できれば「毎月○万円」と「定額」で固定したいという向きもあるでしょう。

前述の NIKKEI STYLE のコラムに、フィデリティが2018年11月に算出した米国や日本など6カ国・地域の「持続可能な引き出し率」が掲載されています。

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老後資産を枯渇させない 資産の引き出し方はどう選ぶ|マネー研究所|NIKKEI STYLEより引用)

日本は67歳で退職、93歳までの寿命を想定。退職時の資産残高の3.9%の金額を、毎年定額で取り崩せるという考え方です。例えば、退職時に5000万円の資産残高があれば、5000万円×3.9%=195万円を毎年取り崩しても、寿命まで資産が枯渇しないという計算になるとのことです。

「定額引き出しでも90%の確率で資産が枯渇しなかった」数字です。「持続可能な引き出し率」という言葉には「率」とありますが、率を掛けて計算するのは退職初年度だけで、その後は毎年「定額」で取り崩すという話ですので、お間違えなく。

出典の元データはフィデリティのWEBサイトにもありました。
「退職準備の指標」その全体像|フィデリティ

ただこれ。

シミュレーションとしてはおもしろいと思いますが、前提となる運用部分がどのようなポートフォリオなのかが判然としない(出典元を見ても「特定の投資または投資戦略を考慮しているわけではありません」と書かれていてよくわからない)です。

また、コラムにも注意書きがあるとおり、このシミュレーションは「過去のデータによるものですから、今後のことを保障するものではない」ところは要注意だと思います。

まあ。

「定率」で資産の4%を毎年取り崩すという話と、「定額」で退職時点の3.9%分を毎年取り崩すという話の数字がほぼ一緒だったのが、偶然かもしれませんが、不思議というか、おもしろいなと思いました。

最後に、繰り返しになりますが、私は、「積み立てる時は定額、取り崩す時は定率」がよいと考えています。フィデリティの定額取り崩しシミュレーションの「持続可能な引き出し率」はあくまでも参考扱いがよいと思います。
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Posted by水瀬ケンイチ