100万回暗唱しましょう「外貨の高金利は通貨安で相殺される」

水瀬ケンイチ

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「高金利で有利だ」と勧められて買った新興国債券が、通貨安で損失になっているという話。



高金利外債に潜むリスク 長期で為替差損の傾向|マネー研究所|NIKKEI STYLE

国内の超低金利が続くなかで運用資産を増やしたいときに目が向くのが外貨建て資産。資金の一部を外貨で運用するのは長期の資産形成に役立つ一つの考え方だ。しかし、金利が高いからと外国債券に投資したのに数年後には損失を負っていたということもよくある。


もう何百回出てくるのか、この話題。新興国通貨の高金利は、長期的にはインフレにより為替レートが通貨安になり、高金利は相殺(そうさい)されてしまいます。

日本人が日本で生活している場合、トルコリラやブラジルレアルなどの新興国通貨の名目金利が高いからといって、それがそのまま利益になるわけではありません。

日本で使うために円に戻すことが必要であり、その際の為替の交換レートで、高金利分は相殺されて儲からないどころか、高金利なんて吹っ飛ぶくらいの為替差損を被る場合が少なくありません。

「金利が高くてお得だと証券会社に勧められたのに……」。香川県在住の50代主婦が、トルコリラ建て債券で運用する投資信託を買ったのは2014年秋。当時10年物債券の金利は年10%近くあり、高額の分配金を受け取れると期待した。

しかしその後トルコリラの為替相場が対円で大きく下落。為替差損が生じた結果、これまで受け取った分配金を考慮してもなお4割元本割れしているという。

高金利外債に潜むリスク 長期で為替差損の傾向|マネー研究所|NIKKEI STYLEより)


上記の NIKKEI STYLE の記事にある「購買力平価」が長期ではかなり強力に働くことがわかっています。

金利が高い国の通貨や資産に投資すれば有利だと考えがちだが、必ずしもそうではない。高金利の国では通常、物価上昇率(インフレ率)も高い。物価が上がれば通貨1単位で買えるモノの量は減る。「購買力が低下すると、他通貨に交換する際の為替レートも長期的に下落しやすい」(龍谷大学の竹中正治教授)

2つの国の物価を参考に妥当な為替レートの水準を測る考え方を「購買力平価説」という。基準となる時期を決め、それ以降の2国間のインフレ率格差を反映して理論値を計算する。

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高金利外債に潜むリスク 長期で為替差損の傾向|マネー研究所|NIKKEI STYLEより)


一方で、購買力平価については、短期の為替予測には役に立たないとも言われています。実際の為替レートは、数年単位で平気で乖離したままになったりします。

たとえば、レバレッジをかけたFXの短期トレードの場合は、購買力平価はほぼ役に立たない(というか使うと危険)だと私は思います。

しかし、長期では、トルコリラやブラジルレアルなどの新興国通貨だけでなく、基軸通貨の米ドルでも購買力平価の力が強く働くことを、以前、以下の記事で思い知りました。

購買力平価は大正初期から成り立っていた

日経電子版に、金利と為替についての良記事が掲載されています。日経電子版 > ライフ > 家計 > 点検個人マネー高金利通貨はずっと上昇する? 外貨投資の誤解(1)詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、無理矢理ひと言でまとめると、「高金利通貨は下落して日本円との金利差は消える」ということです。いわゆる購買力平価説です。それを長期のデータを用いて解説しています。一例ですが、これは日本債券と外国債券の総合リ...


約10年前のブログ記事で恐縮ですが、円ドルにおける購買力平価が大正初期から成り立っていたという記事です。グラフが鮮烈でした(当時の画像が小さくてスミマセン)。

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(日経電子版 2010/05/24 より引用)

株式などリスク資産への投資は、「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」と言われているとおり、リスクを引き受けなければリターンもないものです。

しかし、いくら引き受けてもその分リターンの向上が見込めるわけではない、報われないリスクがあります。それが外貨を保有すると背負う「為替リスク」です。いわば、「ハイリスク・ノーリターン」です。

私自身は、為替リスクのことを、外国企業の株式(外国株式)やインデックスに投資するために渋々引き受けざるを得ないもの、として認識しています。先進国株式クラスと新興国株式クラスのインデックスファンドに投資することにともなって、渋々、外貨の為替リスクを引き受けています。

あたかも名目金利がそのままリターンになるかのように誤解させるセールストークをする金融機関も悪いとは思います。でも、新興国通貨の高金利がそのまま日本円の利益になるという誤解は、投資家側の無知でもあると思います。

本日(2019年4月12日)、日本円の預金だと金利が年 0.01% とか 0.001% ですが、トルコリラだと金利が年 14% です。

だから、トルコリラを買えば日本円で預金するよりも1,400倍とか14,000倍儲かる?

そんなことで簡単に儲けられるわけないでしょう。この世にフリーランチ(タダ飯)はないのですから。10回でも100回でも1000回でも100万回でも暗唱しましょう。

「外貨の高金利は通貨安で相殺される」

投資に損はつきものですが、避けられる損をしたくなければ、覚えておきましょう。

特に、リーマンショックの円高で絶滅したかに見えたミセスワタナベよろしく、いまだにFXで高金利通貨ロングでスワップポイントちゃりんちゃりんとか思っているそこのアナタにこそ、暗唱してほしいです。

「外貨の高金利は通貨安で相殺される」
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外貨の高金利は通貨安で相殺される
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Posted by水瀬ケンイチ