若者の投資のきっかけが仮想通貨でもいい。ただしリスク(ボラティリティ)も考えて!

水瀬ケンイチ

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「投資のきっかけは仮想通貨? なぜ若者はビットコインを買ってしまうのか」という記事が、ITmedia ビジネスオンラインに掲載されています。



投資のきっかけは仮想通貨? なぜ若者はビットコインを買ってしまうのか (1/3)

「投資のきっかけは仮想通貨のリップルを買ったことです」。金融庁は貯蓄から投資へのシフトを促し、各社が若年層向けの投資商品や金融教育を推進している。ところが、若者にとって投資の入り口になっているのは皮肉にも仮想通貨だ。


詳しくは、上記記事をご覧いただきたいのですが、若者の投資のきっかけが仮想通貨になっている理由は、「少額で購入できるから」ということのようです。

「大手取引所のCoincheckでは、すべての仮想通貨を500円から購入できる。GMOコインなら、ビットコインは86円から購入が可能だ」とのこと。

私も10代~20代は貧乏だったので、元手が小さくても増やせる(可能性がある)対象に魅力を感じるのはわかります。元本割れする可能性を受け入れた上で、リターンを目指すという行動は、元本保証の預貯金しか知らない人たちよりも、より豊かな経験を得られるでしょう。

ただ、20代で投資を始めてリーマン・ショックの大暴落を生き延び、40代になったおっさん投資家の私が、今の若者に伝えたいことがひとつだけあります。

リターンだけでなく、リスク(ボラティリティ)とセットで見てね!

ということです。リスク(ボラティリティ)とは……

資産価格の変動の激しさを表すパラメータ(価格の変動幅の比率)のことをいい、またオプションでは、原資産価格が1年間でどの程度変動するかを年率(%)で表示したものをいいます。

ボラティリティとは|金融経済用語集より)


通常、年率の期待リターンを中心に、(正規分布を前提に)プラス方向とマイナス方向に同じ可能性が釣鐘形に広がるベル・カーブを指します。

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Wikipedia より)

難しいことはさておき、大事なことは、プラス方向だけでなく、マイナス方向にも同じ分だけ可能性が広がっているということです。単純に言えば、大儲けの裏には、同じ分、大損する可能性を抱えているということです。

投資のリスク(ボラティリティ)は、上記ベル・カーブのグラフでいうところの1σのことを指します。仮に期待リターンが0で、リスク(ボラティリティ)が年率10%だとすれば、1年後のリターンがプラス10%からマイナス10%の範囲内に約68%の確率でおさまることを表します。

株や債券と同様に、異なる資産クラスを横並びで比較できる、実に便利な指標です。

ところが、ビットコインをはじめとする仮想通貨の関連サイトで、検索上位に出てくるサイトをひととおりチェックしたところ、不思議なことに、リスク(ボラティリティ)の数値に関する情報がほとんど出てきません。

特定期間のリターンの大きさを強調するものばかりで、リスク(ボラティリティ)に関する情報が極端に少ないことを懸念します。

上記コラムにも登場する仮想通貨の大手取引所 Coincheck のサイトでは、「ビットコイン(BTC)を含む様々な仮想通貨は歴史も浅く、今後の予想は難しいですが、2019年1月時点においては、FXや株よりもボラティリティは高いと言えます」と明言しています(該当記事)が、その数値自体は語られていません。

ようやく数値を探し出したとしても、「30日ボラティリティ」「60日ボラティリティ」といった、株式や債券と比較しづらい不自然な期間の数値ばかりが出てきて、「年率」のボラティリティの数値がなかなか出てきません。

計算に将来の推測要素が入る「期待リターン」と違い、「リスク」(ボラティリティ)は、過去のデータさえあれば Excel 等で計算することができるので、年率のデータが計算できないということはないはず。

かなり深くもぐって探していると、仮想通貨ではなくFXのサイトで、仮想通貨の年率のリスク(ボラティリティ)を計算して比較しているサイトがかろうじて見つかりました。

米ドル・円:8.5%
日経平均株価:11.5%
ビットコイン:94.6%

FXとビットコインのボラティリティを比較!衝撃不可避の結果に..|海外FX実践記 より)



上記の情報が確かならば、ビットコインには、為替や株の10倍近くのリスク(ボラティリティ)があるということです。

ビットコインの華やかなリターンに目を奪われていると、同量のリスク(ボラティリティ)のマイナスリターンをくらい、あっという間に退場させられてしまうことになりかねません。

不動産や絵画や骨董品などと違い、いつでも売買できて(流動性が高く)、リターンとリスクを数値で横並びに比較できるのが、株・債券・通貨などの証券投資のメリットでもあります。せっかく仮想通貨も同列で比較できるのに、比較しないのはもったいないです。

それでも、若者が仮想通貨のハイリスク・ハイリターンのワクワク感に、まさに身を投じたいと思うことは否定しません。

先ほど、若者の投資のきっかけが仮想通貨になっている理由は少額で購入できるからという分析で、「大手取引所のCoincheckでは、すべての仮想通貨を500円から購入できる」とありました。若い時には、大金の元手を用意することができないことは、学生の時に時給800円のファミレスでバイトしていたのでわかるつもりです。

ただ、お金の使い方の対象をもっと拡げて見てみれば、たとえば、誰でも口座開設できる大手ネット証券なら、国内外の株や債券に分散投資できる投資信託の積み立てで「毎月100円」から投資できることは、知っていて損はないと思います。私が若者だった頃は、そこまで利便性の高い制度は存在していませんでした。

それに加えて、2018年から始まった「つみたてNISA」という非課税制度を活用すれば、利益や分配金に対する税金が非課税という「特大クラス」の特典があります。非課税期間は毎年投資してから20年間と長期間であり、今の若者にとても向いている制度になっていると私は思います。

繰り返しになりますが、言いたいことは、「リターンだけでなく、リスク(ボラティリティ)とセットで見てね!」ということです。

え? 商品のリスク(ボラティリティ)が高いのは承知の上で、投資金額を抑えて仮想通貨に投資しているので問題ないって?

そこまで考えて仮想通貨に投資しているのであれば、あなたは立派な投資家です。おっさん投資家から言うことは何もありません。

ご武運を!👍

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Posted by水瀬ケンイチ