「つみたてNISA」の運用成績が急回復。「小さな成功体験」を将来の糧に

水瀬ケンイチ

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日本経済新聞によると、「つみたてNISA」の運用成績が急回復しているとのこと。



つみたてNISA、成績回復で含み益(投信観測所)

「老後2000万円問題」の余波で、つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)への関心が急速に高まってきたようだ。つみたてNISAは年間40万円の非課税枠の範囲で毎月や毎日など、定期的に一定額で


少額投資非課税制度の「つみたてNISA」は、2018年1月から始まりました。金融庁の積極的な推進もあって、さっそく、つみたてNISA口座を開設して、つみたて投資を始めた投資家が約100万人もいたようです。

しかし、初年度の2018年12月末時点では、株式市場の相場動向から含み損(マイナス)状態の投資家が多かったようです。金融庁が開催する意見交換会「つみップ」でも、参加者さんに聞くと、「含み損です」「も~マイナスですよ~」と苦笑いする方もたくさんいました。

長期のつみたて投資においては、開始当初は下げ相場の方が、投信を安く仕込める(多くの口数を買える)からむしろ良いという面があるのですが、つみたてNISAで投資デビューをしたばかりの投資家さんは、正直かなり不安そうにしていたのが印象的です。

金融庁の資料でも、短期では資産価格の振れ幅が大きくても、長期では年率の振れ幅は小さくなり、プラスになる可能性が高まるということが書かれていました。参加者さんもそれは頭ではわかっているものの、やはり含み損を抱える気分の悪さのようなものは感じていたと思います。

米中の貿易摩擦に端を発した世界的な株価下落により昨年末には軒並み元本割れしていました。しかし、2019年7月現在で見ると、つみたてNISAの運用成績は昨年末に比べて急回復しています。

一括投資と、つみたて投資の運用成績の違いがわかる図表を引用させていただきます。


上記の図表を見ると、2018年末では一括投資でもつみたて投資でも含み損(マイナス)状態です。ところが、直近2019年7月19日では、一括投資ではまだ含み損(マイナス)であるところ、つみたて投資では早くも含み益(プラス)になっていることがわかります。

これは、2018年の株価が低い時につみたて投資を毎月継続したことにより、投信を安く仕込めた結果、2019年の相場回復の時に一括投資よりも早く一気にプラス化したという現象です。つみたて投資の「プチ」威力がわかるデータだと思います。

このケースは1年半という短い期間を切り取ったひとつの小さな値動きの事象ではありますが、20年、30年という長期に引き伸ばして考えた場合でも、原理はまったく同じです。下げ相場でつみたて投資をやめないで継続すれば、次の上げ相場では運用成績は勢いがついて一気に上昇しやすい。

本来、長期分散投資においては、半年や1年という短期の運用成績に一喜一憂する必要はないと言われます。

でも、やっぱり人間なので、含み損は気分が悪い。次の下げ相場はもっと長く続くかもしれない。投資初心者の不安は募ります。

であれば、この1年半でマイナス状態で気分が悪かったことと、その後の相場上昇による損益急回復を、つみたて投資の値動きの特徴をあらわす「小さな成功体験」として記憶しておくというのはどうでしょう。それは、今後長期にスパンを拡げてつみたて投資を考える際の材料として活用できます。

これぞ、本やセミナーは学べない「実践的」な学びですぞ。

私も2008年リーマン・ショックの大暴落で投資したそばから資産が減っていく恐ろしさと、2019年3月のV字回復の「昇龍拳」っぷりは、その後のつみたて投資の継続において、貴重な成功体験のひとつになっています。

小さな成功体験を積み重ねて、つみたて投資の特徴をしっかりと腹に落とし、来たるべき将来の大暴落に対する胆力の糧にしたいですね。


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