金融庁の新・報告書の出来・不出来にまったく関係なく、私たちはNISA恒久化を堂々と求めてよい

水瀬ケンイチ

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NISA恒久化のための新「2000万円報告書」案浮上との日本経済新聞の報道です。

NISA恒久化には大賛成ですが、NISA恒久化は金融庁の新・報告書の行方次第であるかのような新聞社の論調に、とても違和感を感じています。



新「2000万円報告書」案浮上

老後に約2000万円の備えが必要と試算した金融庁の報告書を作りなおす――。国民の不安をあおったとして政府から事実上の撤回を迫られた同報告書を巡り、足元で修正に向けた議論が浮上している。正式な報告書と


言いたいことはひとつ。

個人投資家の少額投資非課税制度で世界に遅れを取っている日本は、金融庁の既存の報告書の出来・不出来、および、新・報告書の内容に関係なく、お手本にした英国ISAがとっくにそうなっているように、NISAも「恒久化」すべきです。

あたかも「金融庁の新・報告書の行方次第」であるかのような決めつけの日経新聞の報道は、誰の何に対する忖度なのか存じませんが、いち新聞社の勝手な条件付けだと思います。個人投資家はそんな勝手な前提条件を受け入れる必要はありません。

そもそも、NISAは、誰でも享受できた証券優遇税制の廃止(10%→20%)とバーターのような形で出てきた、少額投資非課税制度です。個人投資家のメリットとしては、ものすごく縮小されたバーター施策でした。

しかも、当時の金融業界では、顧客に対して毎月分配&通貨選択型&カーバードコール戦略などの複雑な仕組みで分配金だけを高く見せかけ「分配金利回りランキング」なる珍妙な指標を営業ツールにした高コスト投信の押し売りや、次々と投信を乗り換えさせて販売手数料の荒稼ぎをする「回転売買」など、個人投資家軽視の手数料稼ぎが横行していました。

そこで、NISA制度は、非課税期間は5年間(後にロールオーバーで10年まで延長可能になりましたが)、非課税になる新規投資金額は1年ごとに上限があり1年経たないと増えない、一回投資したら非課税枠が「消費」されて消えてしまい、商品のスイッチングは一切できない制度になるなど、制限・条件がたくさんついた少し歪な制度になってしまいました。

NISA制度がはじまった2014年から、ずーっと歪なのです。今さら金融庁の報告書の出来がどうかとかに関係なく、歪みがあるなら解消するべきでしょう。

繰り返しますが、個人投資家の少額投資非課税制度で世界に遅れを取っている日本は、金融庁の報告書や新・報告書の出来・不出来に関係なく、英国ISAと同じように、NISAも恒久化するべきです。

なお、ひとくちに「恒久化」と言っても、制度の恒久化と、非課税期間の恒久化の2つの意味があります。

「どっちがより重要か」というような議論に持ち込んで、これまた、あたかもどちらか一方しか選択できない排他条件であるかのような勝手な条件付けを前提にした言説を繰り広げる人たちがいます。

客観的に言わせてもらえれば、求められているのは英国ISAのように「両方」です。排他条件ではなく、両立するものです。

日本は遅れているのだから、どっちから先に追いつくかの議論はあっても、どっちかを選ぶしかないという話ではありません。

新聞記者の勝手な条件付け、排他条件化、選択肢の限定化みたいな例は、枚挙に暇がありません。

私たちは、縮こまった選択肢の中から、どれかを捨ててどれかを選ぶような選択を強いられる必要はありません

他の先進国ではとっくの昔から実現している少額投資非課税制度です。物知り顔の新聞記者のセコい狭量に読者まで付き合う筋合いはない。

報告書がどうであろうと関係なく、堂々と、NISA制度の恒久化と非課税期間の恒久化の両方を求めていきましょう。

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Posted by水瀬ケンイチ