モーニングスターさんが、ベンチマークの配当込み/配当除く問題を取り上げてくれた!

水瀬ケンイチ

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モーニングスターに、「『配当除く』指数に勝っているファンド、「配当込み」指数で比較すると…」という記事が掲載されているので取り上げます。



【アナリストの視点】「配当除く」指数に勝っているファンド、「配当込み」指数で比較すると…

投資信託のベンチマークとは、ファンドのパフォーマンスを評価する際の比較対象となる指標のことである。


上記記事の重要ポイントは以下のとおりです。

  • TOPIXの配当込みと配当除くでは、10年間で40%の差になる
  • TOPIX(配当除く)をベンチマークにしているアクティブファンドのうち、64%はベンチマークのTOPIX(配当除く)には勝っているように見えるが、TOPIX(配当込み)には負けている
  • 投資家はベンチマークによる相対比較をする際には「配当込み」指数で行うべき


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モーニングスター [ アナリストの視点(ファンド) 「配当除く」指数に勝っているファンド、「配当込み」指数で比較すると…  2019-08-08]より)


そう!! そのとおり!!

まさに「我が意を得たり」です。ようやく、ようやく、モーニングスターさんでも、ベンチマークの配当込み/配当除く問題を取り上げてくれました。

ベンチマークが「配当除く」指数の株式投信は、実際には原資産である株式から配当が出てくるため、ベンチマークとの差異が大きくプラス方向に出るのが当たり前です。ベンチマークに関係なく、投資先の株式から年2~3%の配当が出てくるのですから。

投資家はベンチマークによる相対比較をする際には「配当込み」指数で行うべきなのです。

アクティブファンドの「ベンチマークを上回ことを目指す」運用というのは、本来、「配当込み」指数であるべき。実際には株式から配当が出るのに、「配当除く」指数を運用のベンチマークにして、「ベンチマークを上回ったアクティブファンド」などと喧伝するのは、平たく言えば「ズル」なわけ。これをアクティブファンドにおける「ドーピング」と称している方もいらっしゃいました。

私は10年くらい前から、「ベンチマークと連動することを目指す」はずの多くのインデックスファンドが、なぜか「配当除く」指数をベンチマークにしていること、恒常的にベンチマークから乖離(上ブレ)し続けていること、それを一部の投資家が「良いインデックスファンド」と評価していたことに、大きな疑問を抱いていました。

ベンチマークの配当込み/配当除くに無頓着で、「儲けるために投資してるのだから、なんでもいいからベンチマークを上ブレするのは良いことだ」と主張する読者の方々が相当数いました。かなり手練れの投資家でも、そう仰る投資家さんがいました。

そこで、当ブログで定期的に記事にしてきたインデックスファンド比較記事を、2015年から「配当込み」指数連動ファンドと「配当除く」指数連動ファンドに分けて比較するようにしました。その上で、「配当込み」指数連動ファンドと「配当除く」指数連動ファンドは、ベンチマークとの乖離の多寡で比較できない(優劣はつけられない)と説明し続けました。

新シリーズ!「低コストインデックスファンド徹底比較」開始。まずは説明書き

ここ数年でインデックスファンドの低コスト化が進み、インデックス個人投資家にとって、どれを選んだらよいかうれしい悩みをかかえるようなよい投資環境になってきました。その一方で、断片的で誤った比較情報も散見されるようになりました。そこで、新たに「主要な低コストインデックスファンド徹底比較」として、信託報酬、実質コスト、ベンチマークとの差異、実績リターンという複合的な観点で、インデックスファンドを比較して...



何年か主張し続けているうちに、ようやくそれらの方々も「配当除く指数連動ファンドのベンチマーク上ブレはドーピング」だと理解してくれるようになってきました。

世の中的にも、だんだんと新規設定のインデックスファンドは、「配当込み」指数をベンチマークにするものが増えてきました。「これは良い傾向だ」と思いながら見守っていました。

すると、驚くべきことに、「配当除く」指数連動のインデックスファンドを提供してきた運用会社で、運用中のほぼすべてのインデックスファンドのベンチマークを「配当除く」から「配当込み」に切り替えるという「偉業」を打ち立てる運用会社が出てきました。

そんなことができるのか! 三菱UFJ国際投信、「eMAXIS」「eMAXIS Slim」「つみたてんとう」シリーズ等のインデックスファンドのベンチマークを「配当込み指数」へ変更

(三菱UFJ国際投信 WEBサイトより)三菱UFJ国際投信は、「eMAXIS」「eMAXIS Slim」「つみたてんとう」シリーズ等のインデックスファンドのベンチマークを「配当込み指数」へ変更すると発表しました。これは英断!!...



これには驚きました。大変なことをするものです。でも、投資家の立場に立ってみれば、わかりやすい方向の改善だと思いました。

前述のとおり、株式投信は実際には原資産である株式から配当が出てくるため、投資家にとって、「配当除く」指数がベンチマークであることは、投資家がファンド比較において優劣の判断を誤りがちというデメリットはあっても、メリットは何もありません。

いつの間にかインデックスファンドの話になってしまいましたが、アクティブファンドの「ベンチマークを上回ることを目指す」運用の実績に対しても、同じように、「配当除く」指数がベンチマークであることは、投資家が優劣の判断を誤る可能性があるというデメリットはあっても、メリットは何もありません。

冒頭のモーニングスターの記事が指摘するように、投資家はベンチマークによる相対比較をする際には「配当込み」指数で行うべきなのです。

ずっと前から言ってるじゃん!記事にするの遅いよモーニングスターさん!(拍手喝采しながら👏👏👏)

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Posted by水瀬ケンイチ