今後、「ない袖は振れない」が増えてくる公的年金・健康保険などの社会保障分野
水瀬ケンイチ

公的年金について、現在もらっている人も金額が減っていくという記事が掲載されていたので取り上げます。
年金、もらっている人も減っていく 重み増す自助努力|マネー研究所|NIKKEI STYLE
将来、自分がもらう公的年金がどの程度先細りするかは日本経済次第――。厚生労働省がこのほど公表した年金制度の将来見通し(財政検証)が突きつけた現実だ。経済が順調に推移すれば年金支給水準は今より2割弱下がるだけで収まるが、どんどん低迷していくよ…
上記記事のなかで、以下の指摘があります。
「若い人は大変だなあ」。すでに年金を受け取っている人や定年間近の人で、こんなふうに思う人がいれば認識を改めるべきだ。人ごとではないからだ。
少子高齢化を乗り切るために、いったん受け取り始めた年金についても金額を抑える仕組みなどが適用される。61.7%という現時点のモデル世帯の所得代替率がずっと維持できるわけではなく、もっとも経済が成長するケースでも25年後の90歳時点では41.9%まで下がる。シニア世代はこういう点も頭に入れておきたい。
そりゃ、そうですよね。
現在の年金の「賦課方式」は、世代間の相互扶助であるため、超・少子高齢化を迎え、少数の若者が多数の高齢者を支えなくてはならないことばかりが強調されている風潮があります。
しかし、賦課方式であるということは、iDeCo(個人型確定拠出年金)のように自分のお金を自分の資産として積み上げる「積立方式」ではないのだから、現在もらっている年金が、「将来ずっと同じ金額をもらい続けることができる権利」であるかのように考えるのも、また間違いです。
言うまでもなく年金の原資は限られています。年金は保険であり、相互扶助の支え合いなのだから、少数の若者だけに負担を強いるのではなく、多数の高齢者も相応の負担を負うという話になるのは自然です。
「ない袖は振れない」
今後、このように政府与党が開き直って、野党を含めたマスコミが大騒ぎして炎上するシーンが、公的年金・健康保険などの社会保障の分野では増えてくると予想されます。
しかし、それこそない袖は振れないので、炎上したから社会保障は現状維持、というわけにはいかはないでしょう。自助努力をしてきた者とまったくしてこなかった者で、老後の生活水準に大きな差がつく。そんな世知辛い世の中が待っています。
収入、あるいは収入源を増やし、余剰資金をできるだけ手間をかけずに運用で増やしながら、自分の人生を楽しむ。
その結果、できた手持ち資産の範囲内で、将来は暮らせばよい。低コスト生活もよし、年令に関係なく働いてリッチな生活もよし。手持ちの資産の範囲内で暮らすのは、年金をもらっている高齢者も同じです。
国が、制度が、といっても仕方がありません。各人が「自分ごと」として決めることだと思います。
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