インデックス投信シリーズ残高推移のグラフを見ながら、今までの歴史をふり返る

水瀬ケンイチ

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日経電子版に「インデックス投信シリーズ、残高1.5兆円」という記事が掲載されています。右肩上がりのインデックス投信シリーズ残高の折れ線グラフが印象的です。

インデックス投信シリーズ、残高1.5兆円

「日経平均株価」や「東証株価指数」など指数に連動した運用成果を目指すインデックス投資信託の残高が拡大している。中でも運用会社が主にインターネットチャネル向けに「シリーズ」としてラインアップを設けてい






グラフを見ると、投信全体残高が増減しながら微増しかしていないのに対して、インデックス投信シリーズの残高は、二次曲線的な右肩上がりになっています。

インデックス投信シリーズが、年を追うごとにどんどん増えているのがわかります。近年の市場の上昇が加味されているとはいえ、それは投信全体にもいえること。やはり、インデックス投信シリーズが投資家の間で支持を集めているという証拠になると思います。

このグラフを眺めながら、日経記事よりももう少しだけ詳しく、経験してきたことをふり返ってみたいと思います。

2006年頃までは、低コストに国際分散投資しようとすると、比較的低コストなインデックスファンドはあちこちの証券会社に点在しており、ポートフォリオに組み込もうとするとたくさんの証券会社に口座開設をして、それぞれの口座で投資をする必要があり手間がかかりました。(しかも、いきなり繰上償還されたり、取扱廃止されたりが日常茶飯事でした)

2006/06/06 外国株式インデックスファンド放浪記(まとめ)

その後、なぜかインデックスファンドを組み合わせた「バランスファンド」が、比較的低コストでいくつか登場してきました。ただ、バランスファンドで決められた資産配分から動かせず(あたりまえですが)、自分の思いどおりの資産配分を低コストで作ることは難しい時代でした。

しかし、記事にもあるように、2008年頃には住信アセットマネジメント「SMTシリーズ」(これは旧STAMシリーズですね)、2009年に三菱UFJ投信「eMAXISシリーズ」、2010年に野村アセットマネジメント「Funds-iシリーズ」が立て続けに新規設定されていました。中央三井アセットマネジメント「インデックスe」シリーズが新規設定されたのもこの頃です。(※運用会社名はすべて当時のもの)

各資産クラスごとの低コストなインデックスファンドが登場したことにより、投資家は、自分の思いどおりの資産配分のポートフォリオで投資できるようになりました。

また、東証上場の国内ETF、米国市場上場の海外ETFへの投資環境も整ってきました。インデックス投資家にとっては、ようやく選択肢が増えてきました。

2007/11/17 イートレ・マネックス・楽天、低コストインデックスファンド新規取扱開始競争
2009/10/11 インデックス投資環境、三つ巴の戦い - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
2010/03/26 中央三井アセットマネジメントが低コストのインデックスファンドを設定
2010/11/09 野村アセット、インデックスファンド本格展開

一部のインデックス投資マニアたち(私を含む)が、各シリーズのインデックスファンドを、ひとつの証券口座で安定して積み立てはじめました。インデックス投資環境が離陸準備期間に入ったといってもいいでしょう。

その後もSTAMシリーズが運用コスト引き下げをしてくれたり、まだ割高だった新興国株式クラスのインデックスファンドを「年金積立」シリーズが運用コスト大幅引き下げをしてくれたり、ニッセイアセットマネジメントから、後にプライスリーダーとなりインデックスファンド業界をリードすることになるあの「購入・換金手数料なし」シリーズが新規設定されたりしました。

2012/02/16 「年金積立 インデックスファンド海外新興国株式」が信託報酬値下げ!クラス最安値の年率0.5775%へ (追記あり)
2013/11/06 ニッセイアセットから外国株式、外国債券、G-REITの低コストインデックスファンド登場 - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)

そして、ターニングポイントは2014年の「NISA」(少額投資非課税制度)と、2018年の「つみたてNISA」(積立型の少額投資非課税制度)の開始だと思います。

金融庁の肝いりで開始された非課税制度に呼応するように、ニッセイアセットマネジメントが「購入・換金手数料なし」シリーズが運用コストを大幅引き下げ、三井住友アセットマネジメントがDC専用だった「三井住友DCシリーズ」を一般販売開始、三菱UFJ投信が超・低コストな「eMAXIS Slimシリーズ」を新規設定するなど、運用コストの低下が一気に進みました。

また、「iFree」「たわらノーロード」など、新たな低コストインデックスファンドシリーズが登場してきました。日経新聞では、2015年は「投信コスト革命」と名付けられていました。

2015/09/14 楽天証券で最も低コストのDC専用インデックスファンドが一般向けに解禁!
2015/11/12 <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドが信託報酬年率0.39%→0.24%など、ニッセイの低コストインデックスファンド3銘柄がさらに信託報酬値下げ!
2015/11/20 DIAMアセットから「たわらノーロード 日経225」(信託報酬年率0.195%)が登場。たわらで祭りじゃ!
2016/08/26 すんごい超低コストインデックスファンド「iFree」(アイフリー)シリーズ登場。設定後もしっかり追いかけますよ

ここから日経記事のグラフでも、インデックス投信シリーズの残高増加が一気にブーストしているのがわかります。

その後も、ニッセイアセットマネジメントの「購入・換金手数料なし」シリーズと、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」シリーズの運用コスト引き下げ合戦は熾烈を極め、年々、運用コストは下がってきました。

昨年2019年だけ見てもこの調子です。

2019/04/18 三菱UFJ国際投信、「eMAXIS Slim」シリーズ4銘柄の信託報酬を引き下げ
2019/05/22 ニッセイアセットの反撃!? インデックスファンド6本の信託報酬を引き下げとの報道
2019/06/03 「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」信託報酬引き下げで0.1%以下に!
2019/12/04 「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の信託報酬がライバル追随値下げ!
2020/01/20 <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドが、運用コスト(信託報酬)引き下げで先進国株式クラスの最安値更新!

投資家にとっては、既存ファンドの運用コスト引き下げであり、本当にありがたいです。昔のように、新しいインデックスファンドが登場するたびに、既存のファンドを売って乗り換えるか検討する必要はだんだんなくなってきました。

そして、現在、インデックスファンドの運用コストは下がるところまで下がり、もはや「頂上決戦」と呼べる水準まで来ました。主要な資産クラスのインデックスファンドは、運用コスト年率 0.1%台かそれ以下で投資することができます。

2020/01/14 【まとめ記事】低コストインデックスファンド徹底比較(19年12月末)高評価インデックスファンド集【全部入り】

超・低コストで繰上償還しないインデックスファンド。

かつて、ほしくてほしくてたまらず、それでも手に入らなかった投資環境が、いま目の前に広がっているわけです。大げさと思われるかもしれませんが、私にとっては夢の世界です。

日経記事によると、足元では、インデックス投信シリーズの残高は1.5兆円まで積み上がったそうです。この金額はすごいと思います。残高も、運用コスト水準も、インデックス投資黎明期からずっと見てきたマニアからすれば隔世の感があります。

それでも、投信全体の約60兆円と比べたら微々たるもの。さらには、日本の個人資産は1400兆円とも1800兆円とも言われており、一般人にとって、インデックスファンドの浸透はまだまだこれからです。

今後も、2024年度に予定されている「NISA」拡充や、「iDeCo」(個人型確定拠出年金)のさらなる普及によって、低コストなインデックスファンドを活用した資産形成は今以上に広がっていくものと思われます。

微力ながら私も、ずっと見届けてきたインデックス投資実践者として、何かのお役に立てるような情報を発信していけたらと思っています。

たとえば、以下のシリーズ記事は、低コストなインデックスファンドをどのように組み合わせて、どのように投資していけばよいのかについて書かれています。ひとつの参考にどうぞ。

インデックス投資の具体的方法 8ステップ

「水瀬さんが考えるインデックス投資の方法って具体的にどんな感じですか?」ブログを始めて8年目、こんな質問をされることが増えてきました。ほとんど毎日インデックス投資に関するブログ記事を書いているのですが、その本数も2,000本を超え、すべてに目を通すのはおよそ無理というレベルになってしまいました。なので、要点がつかみにくくなっているんだろうなぁと推測しています。そんな時に「ここを見てください」と言えるペー...


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Posted by水瀬ケンイチ