短期投資家にとって必要な情報と、長期投資家にとって必要な情報
水瀬ケンイチ
世界中の株価チャートを頻繁にチェックすること、全銘柄の騰落をヒートマップでいち早く一覧表示すること、FRB議長や日銀総裁の発言を逐一チェックすること、今回の下げは過去何番目であるかを調べること。
こういう情報収集に精を出している方々がいるのは知っています。短期投資家にとってはありがたい情報でしょう。
でも、それは長期積み立て投資家にとって毎日チェックする必要ある?
もちろん、世の中に必要のない情報なんてないと思います。どんな情報でも必要としている人がいるとは思います。しかしながら、長期積み立て投資をしている人にとって、リアルタイムに収集し続ける必要があるかどうかは別問題です。
SNSを見ていると、「長期分散投資家」「インデックス投資家」 「焦らず急がず淡々と」などとプロフィールにうたっていながら、上記にあるような情報を朝から晩まで投稿しているアカウントが見受けられます。それを見た別のアカウントが「え?やばいの?」「そんなにおおごとなの??」とビクついている様子も見受けられます。要注意だと思います。
久々の下げ相場で興奮なさっているのかもしれませんが、「焦らず急がず淡々と」と言いながら、ナイアガラの滝に見える短期チャートをSNSに投稿し続けるのは「言行不一致」です。焦っているし、急いている。本当は自分が不安だから、ヤバいと思っているから、瞬発的なインパクトがある事象に反応し続けるのです。
見ている人が混乱するだけでなく、いたずらに焦って不安になってしまう恐れがあるにもかかわらず、喜々としてそれをやっているように見えます。
語弊を覚悟で言えば、フザけて毎朝「おはぎゃあああ」と騒ぐアカウントと同じく、長期積み立て投資家にとって「百害あって一利なし」だと思います。
短期で値上がりする銘柄を見つけられるかと、売り時を逃さないことがポイントの短期投資と、長期的な成長を期待できるかがポイントの長期投資では、いつも心に留めておくべき情報は異なります。
友人の理学療法士(リハビリの先生)によると、短距離ランナーに求められる筋肉である「速筋」と、長距離ランナーに求められる筋肉である「遅筋」はまったく違うそうです。同じように、短期投資家にとって必要な情報と、長期投資家にとって必要な情報とはまったく違うと思います。
暴落相場で興奮して短期投資家に変身したニセ長期投資家の投稿を、リアルタイムでチェックするのはおすすめしません。
そんなことをするくらいなら、投資の古典をくり返し読みこむ方が、学びと新たな気づきと得られると、20年近い投資経験をもってお伝えしたいと思います。どんな分野においても、「時の洗礼」を受けて今なお残る古典には価値があります。
古今東西のバブルとその崩壊について、いちばん赤裸々に詳しく書いてある投資本は、「ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理」(バートン・マルキール著)だと思います。全15章のうち、じつに第1章~第4章を、バブルの歴史のふり返りに費やしています。
その結論が、インデックスファンドのバイ&ホールドです。
当ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」でも昔から、日本のインデックス投資家のための「売らずに我慢するテクニック」について研究してきたし、拙著「お金は寝かせて増やしなさい」には、私個人の過去の暴落相場の経験を存分に盛り込んできました。
それでも、長期積み立て投資の有用性を信じられなくなってしまったのであれば、やはり回帰すべきは古典です。
SNS全盛の時代においては、情報の取捨選択がますます重要になってきたなと思います。「いつもどおり」を取り戻すためには、どんなことでもする価値はあると思います。
SNSを見ていると、「長期分散投資家」「インデックス投資家」 「焦らず急がず淡々と」などとプロフィールにうたっていながら、上記にあるような情報を朝から晩まで投稿しているアカウントが見受けられます。それを見た別のアカウントが「え?やばいの?」「そんなにおおごとなの??」とビクついている様子も見受けられます。要注意だと思います。
久々の下げ相場で興奮なさっているのかもしれませんが、「焦らず急がず淡々と」と言いながら、ナイアガラの滝に見える短期チャートをSNSに投稿し続けるのは「言行不一致」です。焦っているし、急いている。本当は自分が不安だから、ヤバいと思っているから、瞬発的なインパクトがある事象に反応し続けるのです。
見ている人が混乱するだけでなく、いたずらに焦って不安になってしまう恐れがあるにもかかわらず、喜々としてそれをやっているように見えます。
語弊を覚悟で言えば、フザけて毎朝「おはぎゃあああ」と騒ぐアカウントと同じく、長期積み立て投資家にとって「百害あって一利なし」だと思います。
短期で値上がりする銘柄を見つけられるかと、売り時を逃さないことがポイントの短期投資と、長期的な成長を期待できるかがポイントの長期投資では、いつも心に留めておくべき情報は異なります。
友人の理学療法士(リハビリの先生)によると、短距離ランナーに求められる筋肉である「速筋」と、長距離ランナーに求められる筋肉である「遅筋」はまったく違うそうです。同じように、短期投資家にとって必要な情報と、長期投資家にとって必要な情報とはまったく違うと思います。
暴落相場で興奮して短期投資家に変身したニセ長期投資家の投稿を、リアルタイムでチェックするのはおすすめしません。
そんなことをするくらいなら、投資の古典をくり返し読みこむ方が、学びと新たな気づきと得られると、20年近い投資経験をもってお伝えしたいと思います。どんな分野においても、「時の洗礼」を受けて今なお残る古典には価値があります。
古今東西のバブルとその崩壊について、いちばん赤裸々に詳しく書いてある投資本は、「ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理」(バートン・マルキール著)だと思います。全15章のうち、じつに第1章~第4章を、バブルの歴史のふり返りに費やしています。
その結論が、インデックスファンドのバイ&ホールドです。
第十二版へのまえがき
本書を世に出してから、四五年以上の歳月が流れた。初版の中で私が発したメッセージは、「個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンド・マネジャーが運用する投資信託に投資するよりも、ただインデックス・ファンドを買ってじっと持っているほうが、遥かによい結果を生む」という単純明快なものだった。株式市場を構成する幅広い銘柄からなるポートフォリオを買ってじっと持っているほうが、高い運用コストと頻繁な銘柄入れ替えに伴う売買手数料で投資家のリターンを確実に目減りさせる、プロの運用する投資信託に打ち勝つ可能性が高い、と主張したのだ。
それから四五年以上がたった今、私はこの考え方に一層確信を持つようになった。というのも、それが今では実際の運用結果によって裏打ちされているからである。
「ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理」(バートン・マルキール著)より
当ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」でも昔から、日本のインデックス投資家のための「売らずに我慢するテクニック」について研究してきたし、拙著「お金は寝かせて増やしなさい」には、私個人の過去の暴落相場の経験を存分に盛り込んできました。
それでも、長期積み立て投資の有用性を信じられなくなってしまったのであれば、やはり回帰すべきは古典です。
SNS全盛の時代においては、情報の取捨選択がますます重要になってきたなと思います。「いつもどおり」を取り戻すためには、どんなことでもする価値はあると思います。
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