コロナ相場環境下のインデックス投資家の「誤解」を一発で解く考え方

水瀬ケンイチ

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ダイヤモンド・オンラインに、インデックス投資家がコロナ相場の環境下で何をすべき、あるいはすべきでないかについて、よくある「4つの誤解」を解きながら説明する記事が掲載されています。

山崎元氏の記事です。



コロナ相場でインデックス投資家はどうすべき?「4つの誤解」を解く

コロナショックによる株価の大幅下落に対して、「投資のチャンスかもしれない」と考える個人投資家が少なくないようだ。また、最近投資を始めた人はインデックスファンドで投資している投資家が多い。そこで、インデックス投資家がコロナ相場の環境下で何をすべき、あるいはすべきでないかについて、よくある「4つの誤解」を解きながらご説明する。


詳しくは上記コラムをご覧いただきたいのですが、要旨をむりやりまとめると、インデックス投資家にとって以下の4点は誤解だという話です。

(1)インデックスファンドは全般的に下げ相場に不向きだ
(2)下げ相場ではきめ細かなリバランスが必要だ
(3)経済の見通しを考えて投資を行うべきだ
(4)不確実性が大きいときには一時投資を休む方がいい

山崎氏が仰るとおり、(1)~(4)はすべて誤解です。

一般的な個別株投資やアクティブファンドへの投資をやっていると、特に、(3)と(4)は正しい常識のように感じるかもしれません。でも、インデックス投資においては、(1)~(4)はすべて、よくある誤解だと私も思います。

上記コラムでは、誤解をひとつひとつ丁寧に解説してくれているので、詳しくはそちらを読んでいただきたいと思いますが、私は少し別の観点から。

私は、短期的な株式市場の動きは「ランダム」だと捉えています。

「いや、良い決算発表が出れば株価は上がるし、悪い決算発表が出れば株価は下がるじゃないか」という反論がすぐに来そうですし、そうなることも多いと思います。

企業の決算予想が当たれば、株は儲かるのでしょうか。

残念ながら、そう単純なものではありません。

時として、ピカピカの良い決算なのになぜか売られる企業があるし、赤字でボロボロの悪い決算なのになぜか買われる企業もあります。それどころか、良い決算も悪い決算も関係なく、ほぼすべての企業の株が一斉に、突然、暴落したりします。

それは、「他の投資家がどう評価するか」という要素が大きいからだと思います。

毎年、巨額の利益を出してコンプライアンスもしっかりしているエリート企業が、良い決算を発表しても、皆がそれを当たり前と捉えれば「織り込み済み」として株価は動かないか、あるいは「サプライズなし」として株が売られ株価は下がります。逆に、赤字続きでダメダメな会社が、赤字額が減ってマシになることは皆にとって「サプライズ」であり、まだ赤字でも株価は上がります。

もちろん、企業の財務やビジネスの動向を分析して株価が上がりそうな銘柄を選定したり、投資タイミングを図ることは無意味ではありません。

しかしながら、他の投資家たちがその銘柄をどのように評価するかという、いうなれば「他人次第の不確定要素」が株価に与える影響が、素朴な投資家が考える以上にデカいのだと思います。

しかも、投資家たちは強気になったり弱気になったりして、考え方や評価は一貫していません。

市場参加者の皆が恐怖に駆られて「とにかく逃げろ!!」となれば、合理的な理由など無視され、市場全体があっという間に暴落します。逆に、皆が「俺も乗り遅れないように株を買わねば!!」となれば、特に理由などなくても、市場全体がバブル相場のように暴騰します。

他の投資家を出し抜いて、株を安く買って高く売るためには、他の投資家が市場や企業の財務やビジネスの状況をどこまで織り込むかを予測して、その裏をかく必要があります。

この「裏をかく」というのも、厄介です。

ジャンケンみたいなもので、相手がグーを出すとわかっていればパーを出せば必ず勝てますが、自分がパーを出すことを相手に予測されてチョキを出されれば負けてしまいます。さらにその裏を書こうとして自分がグーを出せば、相手がパーを出した場合に負けてしまいます。

今の株価が、市場や企業の財務やビジネスの状況をどの程度織り込んでいるのかを、正確に把握する手段はない。ある一定期間、ある銘柄については織り込み状況が完璧に把握できたような気がしても、未来永劫それが有効という保証はない。

なぜなら、市場参加者は、新規参戦と退場がくり返され新陳代謝でどんどん入れ替わるし、HFTのアルゴリズムだの、最新のAIだの、新顔がどんどん出てくるから。

こうして投資家同士の果てしない「裏かき合戦」の結果、短期的に市場はランダムにフラフラ動くだけ、となります。好材料で上がるだけでなく下がることもあり、悪材料で下がるだけでなく上がることもある。納得いかないかもしれませんが、そういうものだという実感が私にはあります。

「ランダムなものに賭けて投資しているなんて、インデックス投資も半丁博打(はんちょうばくち)みたいなものじゃないか」

今度は、そういう声も聞こえてきそうです。

しかし、短期的にはフラフラとランダムに動いている市場も、長期的に見るとプラスの方向に動いていく傾向が見られます。

それはあたかも、べろべろに酔っ払った千鳥足のおっさんが、右へ左へランダムにフラフラしながら、時には電柱に頭をぶつけたり、道端で立ち止まってリバースしたりしながらも、最終的には自宅方向に向かうのに似ています。

この方向性が、株式クラスが持っている年率 5~6% の期待リターンというわけです。

株式市場全体の期待リターンがプラスの理由は、資本主義経済の成長のおこぼれだと私は考えています。山崎氏はリスク負担の対価であるリスクプレミアムだとよく説明されていますね。

考え方は少々違いますが、いずれにしても期待リターンはプラスであるという点は一致しています。

だから、短期的な市場の動きにいちいち理由を求めることはせずに、たとえ一時的に大きな損失を抱えたとしても、長期で市場全体に連動するインデックスファンドに積み立て投資を続けていれば、長期的には酔っ払いが自宅に引っ張られるように、インデックスファンドのリターンはプラス方向に向かっていく。

株式市場は短期的には「ランダム」だが、長期的には「プラス」の方向性(期待リターン)をもつ。

そう考えて、私は世界中に分散したインデックスファンドをドルコスト平均法で積み立て投資をして、バイ&ホールドで長期保有しています。

いま現在が下げ相場なのか上げ相場なのか、本当は誰にもわからない。ましてや、将来の株価見通しなど、本当は誰にもわからない。不確実性(ボラティリティ)の大小ですら、将来になってみないと計算すらできない。なぜならば、短期的には市場は「ランダム」だから。

この理由だけで、冒頭の(1)~(4)はインデックス投資においては誤解だといえるのではないでしょうか。

あくまでも私見ですが、そう思います。長文失礼しました。


P.S
しいていえば、(3)のリバランスだけは、自分自身のリスク許容度に関する話なので、市場のランダム性とは少し違う話かもしれません。ただ、市場はランダムだからこそ、厳密かつ頻繁なリバランスは、それが吉と出るか凶と出るか、市場動向次第であまり意味がないということはできるかなぁ。
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Posted by水瀬ケンイチ