低コスト投信の重要性とそれ以上に重要なこと

水瀬ケンイチ

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日本経済新聞に、投資信託のコストが低いことの重要性について書かれた記事が掲載されています。





投信ゼロコスト化で「数百万円」の恩恵 活用は道半ば

■ハナ(29) 入社7年目、メーカー勤務。資産形成に興味がある。話がつまらなくなると、眠る癖がある。■岡根(32) パーソナルファイナンス(個人向けの資産形成論)を教える大学講師。ハナのサークルの先輩


詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、ザックリと要点をまとめると、インデックスファンドの信託報酬のわずかな差は長期では大きな差になり、アクティブファンドでも信託報酬が低い方がリターンが高い傾向がある、ということ。

(有料記事ですが、無料の会員登録をすれば月10本までは記事を閲覧可能です)

インデックス投資ブログを続けていると、「インデックス投資家は年ゼロコンマ何%のわずかなコストの差について下がった上がったと大騒ぎしているが、投資にはもっと大事なことがあるだろう」とよく揶揄されます。

上記日経記事に良いグラフがあったので1枚だけ引用させていただきます。




1990年1月から先進国株に連動する投信に月3万円ずつ積み立て投資した場合のシミュレーションです。

・低コストインデックス型(信託報酬 年0.1%) 3505万円
・高コストのインデックス型(信託報酬 年1.0%) 2929万円
・アクティブ型の平均(信託報酬 年1.6%) 2606万円
・ラップ口座でよくみらられる水準(信託報酬 年2.2%) 2325万円
(累計積立額 1089万円)

1年で見ると、信託報酬ゼロコンマ数%の差であったとしても、30年間という長期で見ると、1200万円も投資成果が違ってきてしまうのだから、これを「わずかな差」と軽視するのは、いかにも近視眼的で、ものごとの本質を見逃しているといってよいでしょう。

そして、記事のなかではこの数字より、さらに重要なことが書かれています。

つまりリターンの予測は不確実。一方でコストは事前にわかり、投資家が選別できる。自分でコントロールできるものは大事にしないと。

投信ゼロコスト化で「数百万円」の恩恵 活用は道半ば  :日本経済新聞より


私たち投資家は「あのファンドが儲かる!」「この銘柄がもっと上がる」と華やかなリターンにばかり目が行きがちです。

しかし、相場はいわば予想外の連続で「運」の要素すら多分に含んでおり、将来のリターンは不確実なのが現実です。投資家の思惑どおりに相場が動いて儲かる時もあれば、予想外の動きで損失を食らう時もあります。

一方で、コストは事前に確定していて、しかも投資家が自分で選別することができます。コストは投資家がコントロールすることができる「数少ない」要素のひとつです。

「コントロールできることに集中する」というのは、なにも投資に限った話ではなく、生活や仕事など、何が起こるかわからない人生において、うまく生き抜いていくための秘訣のひとつでもあります。

たとえば、古典的名著「7つの習慣」(スティーブン・R・コヴィー著)をはじめ、古今東西のたくさんの自己啓発本に、同様のことが何度も書かれていますよね。

投資において、投資家がコントロールできるのはコストとざっくりとしたリスクまで、リターンはコントロールできないものと心得るのが、物事の道理に近いと私は考えます。


さて、もうひとつの話である、アクティブファンドでも信託報酬が低い方がリターンが高い傾向があるということについては、上記日経記事で使われていたデータの出所が、約2か月前に当ブログで取り上げたブログ記事と同じでした。

日経記事の趣旨も、ブログに書いたことと概ね同じだったのでブログへのリンクをはっておきます。

国内大型株アクティブファンド、信託報酬が高いほどパフォーマンスは悪い傾向

モーニングスターに、信託報酬とパフォーマンスの関係を調べた結果が掲載されています。国内大型株に投資するアクティブファンドを対象として、信託報酬の水準を5段階に分け、それぞれのモーニングスターレーティングの平均値を算出したものです。そこには、わかりやすくも残酷な結果が……...


個人投資家にとって示唆に富むデータは貴重ですし、何度でも活用されて多くの方に届き、気づきになってくれるといいなと思います。

日経田村さんの連載記事「お金を殖やすツボとドツボ」は、長期積み立て投資家にとって有用なものが多いので、毎回必ず読んでいます。ハナちゃんと岡根先生の夫婦漫才(?)も楽しいですし。

前述のとおり、無料の会員登録をすれば月10本まで閲覧可能ですので、ご興味があればぜひ読んでみてください。

以上、低コスト投信の重要性とそれ以上に重要なことについての記事でした。


梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記) | 低コストインデックスファンド徹底比較カテゴリ

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Posted by水瀬ケンイチ