暴落のたびに注目されるTAAですが、その後の実績はいつもどおりふるわず

水瀬ケンイチ

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日経電子版に戦術的資産配分(タクティカル・アセット・アロケーション=TAA)と呼ばれるバランスファンドの運用についての記事が掲載されています。



コロナに「勝った」投信 全員が選ぶべき?

■ハナ(29) 入社7年目、メーカー勤務。資産形成に興味がある。話がつまらなくなると、眠る癖がある。■岡根(32) パーソナルファイナンス(個人向けの資産形成論)を教える大学講師。ハナのサークルの先輩


詳しくは上記記事をご覧いただきたいのですが、無理やりまとめると、「昔からTAAで成功し続けるのは簡単ではないといわれ続けてきたように、実際の成績はまちまちであることは理解しておいた方がいい」ということだと思います。

TAAとは、株価が下がりそうな(下がった)時には株式の比率を下げて債券の比率を上げ、株価が上がりそうな(上がった)時には株式の比率を上げて債券の比率を下げ、低リスク&高リターンを目指す運用です。

個人的には、過去の連綿と続くアクティブファンドの運用で目立って成功した試しがない一戦略という認識なのですが、暴落のたびに注目される戦略です。

2008年リーマンショックの時、インデックスファンドで国際分散投資をしていたにもかかわらず大きな損失を被ったことにショックを受けた一部の投資家が、あちこちのインデックス投資ブログのコメント欄に「現代ポートフォリオ理論(分散投資理論)は間違いだった!」とネガティブキャンペーンのような活動をしていたことがあります。

そもそも分散投資理論は「損をしない」理論ではないのですが、当時ネガティブキャンペーンをしていた方々は、被った損失を現実として受け止められなかったのでしょう。

インデックスファンドの資産配分を固定する単純な分散投資を、彼は理路整然と否定するコメントをあちこちに書き込みまくりました。みんなが損失になっていたので同調する人たちも現れました。いわゆる「道連れ」探しです。

ただ、単純な分散投資の代わりに彼らが勧めていたのが、TAAでした。

2008年リーマンショックの大暴落の後、2009年3月以降、株価は空前のV字回復を見せます。TAAのパフォーマンスは単純な分散投資に追いつかず、散々な結果となり、いつしか彼らのコメントも見かけなくなりました。

過去の結果を用いて、現実を否定するのは誰にでもできることです。そこまではいい。しかし、それに代わる新たな投資戦略が本当に有効かどうかは、後になってみないとわかりません。

TAAは、下げはじめたのを確認してから売り、上げはじめたのを確認してから買う。そんな運用です。良くも悪くも後追いであり、いわゆる「稲妻が輝く瞬間」を常に逃す戦略ともいえます。このような態度は、一見、合理的なように見えて、結果的には高くつくものです。

あまりきれいではない言葉を使うことをお許しください。いろいろ言われますが、経験上、「分散投資はクソという批判は勇ましいが、対案はもっとクソ」です。

(ちなみに、この話をこのブログで初めて書いたのは今から8年前、2012年のことです)

2020年コロナショックでも、同じことが繰り返されたと見ています。事前に見れば、TAAはなんとなく良さそうですが、事後になって見れば、単純な分散投資を上回る圧倒的パフォーマンスを上げたという話は寡聞にして聞きません。

資産配分を機動的に変えることによって、リスクを抑えてリターンを得ることを目指す。

「そんな都合のいいことはできない」という事実を、たかだか20年程度にすぎない私の投資経験のなかですら、何度も思い知らされます。

今後、コロナショックの二番底、三番底が来ることも大いに予想されますが、おそらく長期的にTAAだけが大成功して、単純な分散投資が大損するような事態にはならないのではないかというのが、個人的な見通しです。

これからも自己責任で相場を見ていく所存です。





分散投資を批判した後の対案がそれ以上に酷い法則

相場が低迷してくると、定期的に分散投資に対する批判が沸いてきます。過去何度も繰り返され、個人的にはもう見飽きた光景ですが、これらの批判には一定のリズムと法則があるように思います。それは、・分散投資の批判部分は非常にテンポよくかつ論理的・しかし、対案は感情論・感覚論ばかりで論理性に欠けるということです。平たく言うと、「分散投資はクソという批判は勇ましいが、対案はもっとクソ」という法則です。(言葉が汚...


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Posted by水瀬ケンイチ