2020年米国大統領選後の株価動向は気にしない
水瀬ケンイチ
2020年11月3日に行われる米国大統領選挙が、現行の共和党トランプ大統領か、民主党のバイデン前副大統領か、世界の注目になっています。
トランプ大統領のナショナリズム継続を懸念する報道もあれば、バイデン氏が大統領になったら増税により株価は25%下がるとの報道もあります。いったいどうなってしまうのか。
そんななか、バンガードのWEBサイトに、個人投資家向けの「米国の大統領選挙が投資家に及ぼす影響」についてのコラムが掲載されています。
バンガード・インベストメンツ・ジャパン WEBサイト
2020/08/25 米国の大統領選挙が投資家に及ぼす影響
詳しくは上記コラムをご確認いただきたいのですが、結論は「与党が変わってもリターンはほぼ同じ」「月次パフォーマンスの分布はほぼランダム」となっています。
過去150年のデータで見る限り、年率複利リターンは共和党大統領の期間(94期間)は年率+8.2%、民主党大統領の期間(65期間)は年率+8.4%と大差ありません。
同時に、投資家は株式市場のボラティリティが予備選挙中に上昇することも期待しないほうが良いといいます。全期間のボラティリティ(リスク)は15.7%であるのに対して、大統領選挙の前後100日間のボラティリティ(リスク)はそれぞれ13.8%に下がっています。
これらが意味することをひらたくいうと、米国大統領選挙で一発大逆転の大儲けは期待できないだろうということです。
政治は数多くの変数の1つにすぎないため、切り離して考えることでは知見を得られないという至極冷静な意見です。
現在のトランプ大統領にしても、2016年の大統領選挙の際は、世界中のアナリスト、ストラテジストが「もしトランプが大統領になったら株価は暴落する」と断言していました。トランプ大統領誕生で実際に一瞬暴落したものの、その後は大方の予想に反して株価の暴騰「トランプ・ラリー」が続いたのは、そんなに大昔の話ではありません。
私はこういう「不都合な真実」はいつまでも忘れないようにブログにしっかりと記録しています。
人の株価予想などそんなものだと、私も経験上、理解できます。
2016年の当時も、バンガード・インベストメンツ・ジャパンはWEBサイトのコラムで「大統領選後のメディア報道が気になりますか?気にしないための4つの原則」というコラムを発信して、冷静になることを呼びかけていました(当ブログの該当記事はこちら)。
そもそも、「株価はランダムウォークしている」と割り切っているインデックス投資家からすれば、たとえ米国大統領選挙であっても、その状況に応じて頻繁に売買することでリターンを高められるとは考えないでしょう。
今回の米国大統領選挙でも、世の中がより良くなることを期待しながら、今までどおり、世界中に分散したインデックスファンドを愚直に積み立て続けるのみです。
余談ですが、インデックス投資の古典的名著である「ウォール街のランダム・ウォーカー」にも大統領になる前のトランプ氏が登場しています。リサーチ業務と投資銀行業務の利益相反についての話のなかで、「不動産王ドナルド・トランプ」の名前が出てきます。
この記述ではまるで悪役ですが、トランプ氏が大統領になった後の米国の株価は、皆さまご存知のとおり絶好調です。
インデックス投資の古典的名著ですら人物の評価についてはこれですから、人の株価予想など当たらないものなのだと思い知らされるエピソードだと思います。
P.S
「ウォール街のランダム・ウォーカー」最新版の原著第12版では「不動産王ドナルド・トランプ」の部分が、「大統領になったドナルド・トランプ」に書き換えられているものの、その後に続く趣旨に変更はないので「潔いな」と思います。
2020/08/25 米国の大統領選挙が投資家に及ぼす影響
詳しくは上記コラムをご確認いただきたいのですが、結論は「与党が変わってもリターンはほぼ同じ」「月次パフォーマンスの分布はほぼランダム」となっています。
過去150年のデータで見る限り、年率複利リターンは共和党大統領の期間(94期間)は年率+8.2%、民主党大統領の期間(65期間)は年率+8.4%と大差ありません。
同時に、投資家は株式市場のボラティリティが予備選挙中に上昇することも期待しないほうが良いといいます。全期間のボラティリティ(リスク)は15.7%であるのに対して、大統領選挙の前後100日間のボラティリティ(リスク)はそれぞれ13.8%に下がっています。
これらが意味することをひらたくいうと、米国大統領選挙で一発大逆転の大儲けは期待できないだろうということです。
政治は数多くの変数の1つにすぎないため、切り離して考えることでは知見を得られないという至極冷静な意見です。
現在のトランプ大統領にしても、2016年の大統領選挙の際は、世界中のアナリスト、ストラテジストが「もしトランプが大統領になったら株価は暴落する」と断言していました。トランプ大統領誕生で実際に一瞬暴落したものの、その後は大方の予想に反して株価の暴騰「トランプ・ラリー」が続いたのは、そんなに大昔の話ではありません。
私はこういう「不都合な真実」はいつまでも忘れないようにブログにしっかりと記録しています。
トランプショックが1日でV字回復してその後もトランプ・ラリーが続く過程で、大統領選予想を盛大に外し、悲観論を煽っていたメディアや識者がしりすぼみ的に静かになっていく様には失笑を禁じえませんでした。
(大みそかだよ!2016年 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー的、3大ニュース - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)より)
人の株価予想などそんなものだと、私も経験上、理解できます。
2016年の当時も、バンガード・インベストメンツ・ジャパンはWEBサイトのコラムで「大統領選後のメディア報道が気になりますか?気にしないための4つの原則」というコラムを発信して、冷静になることを呼びかけていました(当ブログの該当記事はこちら)。
そもそも、「株価はランダムウォークしている」と割り切っているインデックス投資家からすれば、たとえ米国大統領選挙であっても、その状況に応じて頻繁に売買することでリターンを高められるとは考えないでしょう。
今回の米国大統領選挙でも、世の中がより良くなることを期待しながら、今までどおり、世界中に分散したインデックスファンドを愚直に積み立て続けるのみです。
余談ですが、インデックス投資の古典的名著である「ウォール街のランダム・ウォーカー」にも大統領になる前のトランプ氏が登場しています。リサーチ業務と投資銀行業務の利益相反についての話のなかで、「不動産王ドナルド・トランプ」の名前が出てきます。
不動産王ドナルド・トランプの会社がカジノ事業の資金を調達するため、「タジ・マハール」債を発行しようとした時のことだ。「金利が支払われる可能性が低い」として、そのアナリストは債券の引き受けに反対するコメントを出した。激怒したトランプが、「訴えてやる」と証券会社に脅しをかけたため、この勇気あるアナリストは即刻クビになってしまったのだ(果たせるかな、その後タジ・マハール債は債務不履行に陥った)。
「ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理」(バートン・マルキール著)より
この記述ではまるで悪役ですが、トランプ氏が大統領になった後の米国の株価は、皆さまご存知のとおり絶好調です。
インデックス投資の古典的名著ですら人物の評価についてはこれですから、人の株価予想など当たらないものなのだと思い知らされるエピソードだと思います。
P.S
「ウォール街のランダム・ウォーカー」最新版の原著第12版では「不動産王ドナルド・トランプ」の部分が、「大統領になったドナルド・トランプ」に書き換えられているものの、その後に続く趣旨に変更はないので「潔いな」と思います。
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