「投信エキスポ2020」基調講演でのポストコロナの資産運用法が興味深い!

水瀬ケンイチ

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モーニングスターのサイトに「投信エキスポ2020」(2020年9月12日開催)での朝倉智也社長による基調講演が掲載されています。



投信エキスポ2020イベントレポート 基調講演1

ポストコロナはこれまでの資産運用法を再考する


「ポストコロナはこれまでの資産運用法を再考する」というタイトルで、とても興味深い内容でした。動画も、まとめ記事も、資料もぜんぶ公開されていますので、ご興味があればぜひ見てみてほしいと思います。

朝倉社長の主張の要点は以下の3点。
  1. バリュエーションの高い米国株式の比率を抑えて、中国を中心とした新興国株式への比率の拡大を検討する。
  2. 期待収益率の大幅な低下により、ポートフォリオ全体の債券比率は抑え、かつ債券は国債に加えて投資適格社債等を組み入れる。
  3. 10年以上続く米ドル高の修正と、米実質金利の継続した低下に備えて、金(為替ヘッジ)を組み入れる。

個人的に、1番目も2番目も3番目も、条件付きで納得。興味深いと思いました。

いま米国株式一本足打法が大流行していますが、直近10年程度調子がよかった資産クラスに全振りするというスタンスは、長期分散投資においてはナンセンスだと思います。

投資は自己責任ですので、自分の責任で何に投資するのも人の勝手ですが、たとえ直近のパフォーマンスが良かったとしても、それは亜流、あるいは自己流であることは意識するべきだと思います。王道の投資法やその動向を知ることには意義があるはずです。

国際分散投資の基本は、国内株式・先進国株式・新興国株式にバランスよく投資することです。

ただ、世界の株式時価総額加重平均の比率(国内株式:先進国株式:新興国株式=1:8:1)ではなく、新興国株式をオーバーウェイト(国内株式:先進国株式:新興国株式=1:5:4)せよというのが朝倉社長の主張でした。


新興国株式40%という根拠として、2030年には世界のGDP構成比で中国が米国を抜くというIMFの経済予測を用いています。

ただ、GDPと株価は、正の相関はあったとしても、きれいに比例するとは限らないところが難しい。経済成長が十分に予測されて株価に織り込まれてしまえば、経済成長しても株価は上昇しない(むしろ下落する)ことがありえます。いわゆる「成長の罠」がどこまで影響するのかが読めません。

新興国株式40%がよいかどうかはわかりませんが、まったく組み入れず米国株式100%というのはよろしくないと私も思います。私は時価総額加重平均の比率よりも、新興国株式をすこし多めに保有しています。

2番目の投資適格社債、3番目の金(ゴールド)の組み入れについては、申し訳ありませんが、朝倉社長の資料からだけでは、良し悪しを判断できません。

たしかに、世界的な超低金利(一部マイナス金利)により、債券クラスの収益率は非常に低下しています。だから、債券クラスを国債だけでなく、少しでもリターンが期待できる投資適格社債と金にもあわせて投資しつつ、「為替ヘッジあり」を選ぶことで為替リスクをヘッジするという考えはよい考えかもしれません。検討に値すると思います。



しかし、私が債券クラスに求めるのは株式クラスのリスク(ボラティリティ)を吸収するクッションの役割です。リターンを求めるあまり、リスク(ボラティリティ)も上がってしまっては本末転倒なのです。

大変申し訳ないのですが、モーニングスター朝倉社長の資料は精緻なデータが豊富ですが、いずれもリターンに関する補強データばかりで、リスクに関するデータがほとんど出てきません。

たしかに、標準偏差で表せるリスク(ボラティリティ)は「目安」でしかありませんが、だからといってリスク(ボラティリティ)の観点を全部かなぐり捨てて、経済予測にのっとったリターンの観点のみで資産配分を決定してよいものでしょうか。

前述の新興国株式40%の話にも通じるところがあります。リターンだけでなく、リスク(ボラティリティ)も考えなくては評価できません。

債券クラスについて、国内債券に投資適格社債(為替ヘッジあり)、金(為替ヘッジあり)も加えた場合のポートフォリオ全体の期待リターンとリスク(ボラティリティ)を数字で知りたい。

そのバランスが、国内債券だけの場合よりも良いなら、実践を検討するに値すると思います。

とはいえ、投資適格社債(為替ヘッジあり)も金(為替ヘッジあり)も、あまりデータがネットで公表されていない資産クラスです。期待リターン、リスク(ボラティリティ)、主要な資産クラスとの相関係数を、今後、自分でも調べてみたいと思います。

私も、現在債券クラスとして投資している個人向け国債のパフォーマンスが物足りないのは、完全に同意ですので。


P.S
ブログ記事中、リスクにいちいち(ボラティリティ)という表記をくっつけていて鬱陶しいと思われたかもしれません。リスクには「危険」という意味もあり、そちらの意味の話ではないことを明確にするために、すべてのリスク表記に(ボラティリティ)を付けました。鬱陶しくてごめんなさいね。
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Posted by水瀬ケンイチ