積み立て投資のメリットをあらわす秀逸な表現!

水瀬ケンイチ

brett-jordan-POMpXtcVYHo-unsplash_20201024.jpg

日本経済新聞電子版に「人が長期投資するのに必要なもの、それが積み立て」という積み立て投資に関する記事が掲載されています。



人が長期投資するのに必要なもの、それが積み立て

投資の世界で「積立王子」のニックネームを持つ筆者が、これから長期投資に乗り出す後輩の若者にむけて成功の秘訣を伝授するコラムです。早めの一括投資にも一理あるけど…ハジメくんの言うことは確かに一理ある。成


上記コラムはセゾン投信の会長CEO中野晴啓氏が、若者向けに長期投資をレクチャーするというコラムのひとつです。

そのなかで積み立て投資のメリットの話が出てきています。

世の中の投資本やコラムでは、いまだに「積み立て投資(ドルコスト平均法)は有利である」と紹介されることが多いです。特に、初心者向けの情報ではこの傾向があるように思います。

きっとあなたも「ドルコスト平均法は有利である。その理由は○○△△」という説明を見たことがあるはずです。

結論から書くと、積み立て投資は有利でも不利でもないと思います。

積み立て投資は、タイミング投資で買い時、売り時を外して「高く買って安く売る」よりははるかにマシですが、逆に、「安く買って高く売る」ことができず、売り時に売却して逃げられないので相場暴落のダメージはフルに受けます。

まあ、その買い時、売り時というタイミングがその時点ではほとんどの投資家にとってわからないので、タイミング投資は世間で思われているほどうまくいかないケースが大半であり、結局、「積み立て投資は有利でも不利でもない」という結果に落ちつくと私は認識しています。

有利でも不利でもないけれど、会社員の毎月の給料の中から余剰資金を捻出して投資する方法として相性がいいから、積み立て投資がフィットするのだと思います。

さて、上記コラムでは積み立て投資のメリットとしておもしろい表現が紹介されています。

それは、積み立て投資は「感情スタビライザー」であるというものです。

スタビライザーとは、「飛行機・船・自動車などの揺れを減少させ、安定させる装置のこと」(Weblio辞書より)。上記コラムでは、早めの一括投資にも一理あるとしつつ、日々のマーケットの値動きに心が折れたり、ギラギラガツガツしたりしないための感情の安全装置として、積み立て投資が役に立つと説明されています。

感情の安全装置、「感情スタビライザー」。

なるほどなーと思いました。

人は機械ではないので感情があり、感情が邪魔をして理屈どおりに行動することがなかなかできません。これは私も日々実感しています。

感情スタビライザーになることが、定時定額の積み立て投資のメリットだと言い切る。じつに清々しい。

私が以前執筆した本でも、積み立て投資は有利でも不利でもないと書いたのですが、その理由は、だらだらと長文で書かなければ説明できませんでした。抜粋するとこのような感じです。

 ところで、「積み立て投資」(ドルコスト平均法) はタイミングを図って売買することと比べて有利なのでしょうか。これについては、べつに有利でも不利でもないと言わざるを得ません。いくら購入価格が平準化されるといっても、一方で、投資タイミングを無視しているので、相場動向次第では、事後的に見れば投資すべきでなかった時期に、買い続けてしまうということはあり得ます。

 もし、適切な投資タイミングがわかればそれに越したことはありません。「相場の底」で一括購入して、「相場の頂点」で一括売却すれば、効率的にリターンを上げることができるでしょう。

 しかし、この適切なタイミングで売買するのは「言うは易し、行うは難し」の典型で、とても難しいことです。

 なにしろ、アクティブファンドはプロが適切な銘柄を適切なタイミングで売買して、インデックスを上回る収益を目指す運用をしているのに、皆さんもうご存じのとおり、アクティブファンドの 70 ~ 80%はインデックスのバイ&ホールドに勝てないという厳しい事実があるからです。

 プロでも難しいことをあなたはできるという合理的な理由があるならば、そうしたらよいと思います。 結局、市場の動向を予測して投資タイミングを読めでもしない限り、必ず有利になる投資方法などないと割り切るべき だと私は考えます。

(「お金は寝かせて増やしなさい」(水瀬ケンイチ著)より)


理屈っぽいし、人によっては反感を抱くこともある説明だと我ながら思います。

積み立て投資のメリットとして「感情スタビライザー」になるという説明は、タイミング投資との比較云々とかプロでも難しいから云々とかという説明よりも、よほどわかりやすくてスッキリ腑に落ちます。

さすが積立王子。積み立て投資についての表現がこなれています。

昨今、投資についてわかりやすさを優先するあまり、嘘や不適切な表現をしてしまう本やコラムも出てきているなかで、正しくかつわかりやすい表現やたとえ話は価値が高いと思います。

同じことについて説明しても、表現の仕方によってわかりやすさが大きく変わる。日々勉強させていただいています。

関連記事


投資判断は自己責任でお願いします。当ブログの情報により投資判断を誤ったとしても、管理人は責任を負えません。また、当ブログ内容の無断転載を禁じます。

Posted by水瀬ケンイチ