インデックスファンド・ETFに混ぜる個別株は、リスク管理の「盲点」

水瀬ケンイチ

2068583_m_20201027.jpg


トウシルに、ポートフォリオの簡易診断法についての動画が掲載されています。おなじみの山崎元氏の解説です。



[動画で解説]暗算でできる!ポートフォリオの簡易診断法 | トウシル 楽天証券の投資情報メディア

●リスク(標準偏差)の目処と概算法●【例】公的年金の基本ポートフォリオだと?●公的年金ポートフォリオの分析例


詳しくは上記動画を見ていただきたいのですが、個人的な注目は、リスク(標準偏差)の目処です。注目部分を抜粋させていただきます。



ポートフォリオ全体の期待リターンとリスク(標準偏差)を概算する方法が解説されています。

保有する資産クラスごとの期待リターンとリスク(標準偏差)を、保有比率によって加重平均するというシンプルな概算法です。

厳密には、期待リターンは加重平均でよいものの、リスク(標準偏差)は加重平均ではなく、相関係数を加味した計算になり、分散効果がわずかながら働きもっとリスクは低くなるのですが(動画の後半で軽く紹介されています)、とりあえずここでは概算法ということで紹介されています。

【リスク(標準偏差)の目処】
・先進国債券・預金 10%
・新興国債券・預金 20%
・先進国株式インデックス 20%
・新興国株式インデックス 25%
・国内株式インデックス 20%
株式個別銘柄(1銘柄) 35%

このなかで、私が特に注目したのは、上記の太字で書いた「株式個別銘柄(1銘柄) 35%」です。

山崎氏は株式個別銘柄1銘柄だけのリスクは、資産クラスのリスクの概ね2倍だと考えるべきだということを、数々の著書やコラムの中で述べてきたと記憶しています。

ここでは、国内株式インデックスがリスク(標準偏差)20%であるところ、株式個別銘柄(1銘柄)はおよそ1.5倍のリスク(標準偏差)35%だと概算しています。

インデックス投資家にとってはあまり関係のない補足情報で、あまり反応されないことが多いように感じますが、私は今こそ重要な示唆を含んでいると思います。

というのも、全世界の株式時価総額加重平均型のインデックスファンド・ETFに投資するというスタンダードなスタイルから、一歩進んで(後退して)、好きな企業の個別株を1~2つ持ってもいいじゃないか、という意見が若者を中心に散見されるからです。

その個別株も日本株ではなく、多くの場合米国のアップル(AAPL)とかアマゾン(AMZN)といったハイテク株や、エクソン・モービル(XOM)などの高配当株が選ばれることが多いように感じます。

せっかく全世界株式や米国株式のインデックスに投資して、リスク分散によりポートフォリオ全体のリスクが抑えられているのに、そこに1銘柄でリスクが1.5~2.0倍ある個別株が加わります。それが全体に対してそれなりの保有比率を占めてしまうと、ポートフォリオ全体のリスク(標準偏差)がかさ上げされてしまいます。

すると、最大損失率=期待リターン-(2×リスク)が、自分の想定をはるかに上回る状態になってしまう恐れがあります。

これは株式市場の暴落時に「一発退場」してしまう要因となりえます。私はインデックスをメインにしつつ個別株にも投資している個人投資家のうち、上記の最大損失率が過大になっている状態、いわば爆弾を抱えている個人投資家がかなりいるのではないかと懸念しています。

ポートフォリオ全体において、各資産クラスのインデックスファンド・ETFに混ぜる個別株は、リスク管理の「盲点」だと私は思います。

個別株のリスク(標準偏差)の計算方法、ご存知ですか。計算方法はわからなかったとしても、せめて上記の概算数値のレベル感、ご存知ですか。

「そんなことはわかった上で、インデックスをメインにしつつ少額で個別株投資を楽しんでいるんだ」というかたは、ゴメンナサイ。なんの問題もないでしょう。自分のリスク許容度の範囲内であれば、どんな運用をしても問題はないと思います。

今後、問題になりそうなのは、「S&P500最強なんでしょ? そこに好きなアップル株を加えたのでさらに最強!え、違うの?」「ポートフォリオ全体のリスクってどうやって計算するの?私のも計算できるの?」というかたです。

そのようなかたは、上記トウシルの動画をじっくり見て、概算法でよいので、ご自身のポートフォリオ全体の期待リターンとリスク(標準偏差)の目処を計算してみてください。

さらに、そこから計算できる最大損失率の目処を把握しておくと、今後、長期的に継続していく資産運用のなかで、役に立つ時がきっと来るはずです。

好きな企業だから追加する、だけでなく、同時にポートフォリオ全体のリスクへの影響も把握すべし。「備えあれば憂いなし」です。

関連記事


投資判断は自己責任でお願いします。当ブログの情報により投資判断を誤ったとしても、管理人は責任を負えません。また、当ブログ内容の無断転載を禁じます。

Posted by水瀬ケンイチ